先月(5月)15日にいわゆるスマートタブレットOptimus Pad L-06Cを購入して、ちょうど1か月になる。当blogでは購入日とあとは1回だけ記事に書いた程度(「OPTIMUS PAD L-06C、ついに手を出してしまった…」)で、その後は全くふれてこなかったが、その通りになっていたわけではなく毎日持ち歩きながら使用している。そこで、この1か月間使ってみた感想をそれこそ徒然と語っていこうというのが、今回の記事である。
で、いきなり結論だが、買ってよかったかと言えば「買ってよかったが必需品とまでは言えない」となり、タブレットマシンとしての感想は「単なるコンテンツ消費マシンであって、これで何かを作ろう(書こう、描こう等など)とはけっしてならない」となる。たぶん、これはこれ以上使用履歴を重ねていっても変わることはないだろう。では、結論を出したので(書いていくうちに話が逸れていくのは自慢ぢゃないが私の十八番であり結論を得ずに終わる可能性を否定できないため)、以下からは思いつくまま書いていく(苦笑)。
まず、なぜタブレットマシンを購入しようという気になったのか。というところから始めていこう。一言で言えば、遅ればせながら流行に乗ってみた、というのが主要因で、iPadでブレイクしたタブレットマシンを後継のiPad 2ではなくAndroidマシンを選択したのは、Apple社の奴隷となりたくなかったという以外には、パフォーマンスで定評のあるnVIDIAのTegra 2搭載マシンを狙ったというものがある。というのは、パフォーマンスが今いちであることは、これまでの私自身の体験(数多くのガジェットや携帯ゲームマシンをさわってきた経験)から、それなりのパフォーマンスが出なければ使い物にならないだろうという判断が働いたことによる。特にそれは、プロセッサ(CPUという意味で)の演算能力よりもGPUの演算能力に大きなウェイトが置かれるものであって、これが期待できるのは事実上2社しか存在しない、つまりnVIDIAかAMD(かつてのATI)となるのである(Intel社を将来的に加えてもいいとは考えているが現時点では2社)。
中でもTegra 2は、nVIDIAが大風呂敷を広げてなければ、という前提には立つが、ようやくタブレットマシンクラスでグラフィックス能力が期待できる統合プロセッサであり、以前から注目していた。そして実製品が登場するに至って、パフォーマンスが目に見える形として眼前に表れてきた。また、Sandy Bridge搭載VAIO Zも出てきてくれなかったというのも副次的な要因となって購入した、という流れとなった(Tegra 2後継のKal-Elまで待とうとも思っていたのだが…)。
では、Tegra 2搭載タブレットのうち、XOOMの選択肢はなかったのかと言えば、もちろん選択肢には入っていた。しかし、Motoloraとau(KDDI)という私にとってのマイナス要素があって、プラス要素は特にないLGとNTT Docomoの組み合わせであるOptimus Pad L-06Cとなった。なので、Tegra 2搭載という視点では積極的な購入指向が働いたが、個別製品となるとそうではないとなる。つまり、Sandy Bridge VAIO Zがもし出ていたとしたら、Kal-El搭載タブレットが出るまで待っていただろう、となるのである。
続いて使用ユーザ、つまり私のマシン使用遍歴を簡単にふれておこう。最も早くコンピュータと呼べるものにふれたものは、NECのマイコンキットであるTK-80が最初である(いわゆるテンキーしかなかった)。それからNECやシャープなどの8-bitマイコンにふれ、キーボード文化をその頃までに学び、16-bit PCを利活用する頃にはASCIIが出していたシリアルマウスによってマウスの洗礼を受けた。もちろん、この頃にはAppleのMacintoshがあってGUI文化は、個人ユーザレベルではMacのみだったが、お絵かき的な補助ツールとしてマウスを体験した。その後、Windowsプログラミングを否応なく経験するに至り、社で購入したMacintoshを学びマウス操作(ユーザレベル及びプログラミングレベル)の極意を学んだ。
そして、DOS、Windows時代でキーボードとマウスを駆使するに至ったが、基本はやはりキーボードであり、任意の範囲指定などではマウスの方が優れた部分もあるものの、やはりキーボード操作の方が慣れとそれ以上に速さという点において便利であるのは現在も変わらない。振り返ってみればキーボード歴は30年以上、マウス歴にしても20年以上はあるのだから当然と言えば当然か。
一方、タブレットのような操作体系、直接ディスプレイに指先あるいはペン先をふれて操作するものは、PCの入力機器として多少のタブレットの経験があるが、それ以外となるとPCでは経験がない。身近なところではNintendo DSであり、古くはWindows CEマシンやPalmなどのいわゆるガジェット的な電子機器で経験はある(もっといえば一番経験しているのは銀行などの自動現金預払機のタッチパネルだが)。直接ディスプレイ表面にふれるインタフェースが優れているのは、カーソル(指し示すもの)が三次元的に移動させることができることに尽きる。
キーボードは組み合わせ操作ができはするが、基本的に一次元の移動。縦方向か横方向にしか移動できない(ジャンプはできるが任意の場所へは難しい)。マウスは二次元の移動が可能で、マウスカーソルは画面上を自由に移動できるが、いきなり右端から左端へは移動できない。ずるずるっと引きずって行かなければならない。だが、直接ディスプレイにふれる方法では画面内にとどまらず、画面の上を飛び越えていきなり右端から左端へ移動させることができる(左端にふれるだけで移動できる)。カーソルは指先やペン先であるので、画面上の任意の位置を指定するような操作は、キーボードでいう文字カーソル(Iビームなど)やマウスカーソルというものがなくてもできるのだ。このことは、PC(Windows)においてキーボードやマウスを入力インタフェースとしながらも、タブレットにも対応させたタブレットPCではまったく操作体系が破綻していたことも今では自明とわかる。要は、一次元や二次元のカーソル移動を前提としているところに、三次元のカーソル移動(ディスプレイの上を飛ぶ見えないカーソル=指先やペン先)を取り込んでしまえば、うまくいくはずがない。
しかし、三次元のカーソル移動にも欠点がある。それは正確さ、というか細かい指定(操作)である。例えば、キーボードの場合、カーソルを1ドット(ピクセル)だけ上に移動させるような操作は、マウスカーソルをキーボードで代替操作が可能であれば、「↑」を1回押すだけでできる。マウスでは、なかなか1ドット(ピクセル)だけ上に移動させるような操作は難しい。そしてディスプレイ上を直接タッチするような操作は1ドット(ピクセル)が大きければ(DPIが大きければ)できるだろうが、高解像度で高精細なパネルであったならまぐれでない限りは不可能となるだろう。
キーボード → マウス → タブレットという進化の過程で、ディスプレイ上のあるポイントを指定する方法は直感的に簡単にできるようになった反面、細かい指定ができなくなった。それが各々のユーザインタフェースの得手不得手であり、これを理解しないまま「同じように」実装してしまうと、ユーザのイライラが募り「もうやめた!」となってしまうのである。例えば、文字列の範囲指定はキーボード時代のインタフェースがタブレット時代まで同じように実現されているが、この結果未だにキーボードを超えることができていない。これを変えるには、まったく新たな革新的な発明が求められよう。以上のことが、最初に書いたように「単なるコンテンツ消費マシンであって、これで何かを作ろう(書こう、描こう等など)とはけっしてならない」という理由なのである。
と、ここまで調子に乗って書いてきたが、ぜんぜんOptimus Pad L-06C固有の話にならないじゃん、と思われた方は正しい(笑)。だが、これも最初の方に書いたようにタブレットマシンであれば、何でもよかったとは言い過ぎだが、PCよりはまったくこだわっていないので、仮にXOOMであったとしてもこのような話になったろう。とはいえ、次回はもうちょっと使ってみた感想を書いてみたいとしつつ、今回はここまで。
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