2011年も早、今日で5日目。本格稼働は来週明け(成人の日翌日)以降からなのかもしれないが、PC界においてはIntel社の新たなマイクロプロセッサSandy Bridge(コードネーム)の正式発表が控えており、今週から本格稼働と言っても過言ではない。Intel社は、ここ数年は毎年のように新アーキテクチャあるいは新プロセスルールを実現したマイクロプロセッサの投入を続けているが、今年もそれは既に約束されていると言えよう。だが、Mobile PC向けのみを振り返ってみれば、
- 2011年 Sandy Bridge(32nm)
- 2010年 Westmere(32nm。Core名)
- 2009年 Nehalem(45nm)
- 2008年 Penryn(45nm)
- 2007年 Merom(65nm。2006年夏登場)
- 2006年 Yonah(65nm)
- 2005年 Dothan(90nm)
- 2004年 Banias(130nm。2003年秋登場)
というように、マイクロアーキテクチャレベルで見れば、P6改(Banias、Dothan)→ Core(Yonah、Merom、Penryn)→Nehalem(Nehalem、Westmere)→ Sandy Bridgeであり、Intel社が後付けでTick Tockとか言っているものについても(Intel社はこういう後付けのものに対して法則みたいな言い方をするのが好きだが、Mooreの法則→経験則以来の伝統だろう)、Mobileに限って言えばそうなっておらず、むしろMobile専用プロセッサを登場させざるを得なかった背景や、剰えそれがデスクトップ向け、サーバ向けプロセッサに流用するしかなかったことなどを思い起こせば、単なるマーケティング上の綺麗事に過ぎないとなる。ともかく、紆余曲折はあったが、Banias(初代Pentium M)以来のP6マイクロアーキテクチャを改良し続けた結果が今も連綿と続いているのだから、かつてのIntel IsraelのEden氏が今やIntel本社のマイクロプロセッサの技術部門トップに座っているのも当然だし、氏が率いていたIntel Israelのチームが開発を進めているSandy Bridgeへの期待が高まるのもまた当然となるのである。
そんな事情から、私自身はPenryn(Core2 Duo)を搭載したVAIO Zを導入して以降、次にMobile PCを導入するのであればSandy Bridgeが搭載されるまでは見送りするつもりでいた。ところが、予想に反して2010年春に登場したVAIO Zは1920×1080という超高解像度の液晶パネルを搭載したこともあって、Sandy Bridgeまで待つつもりだったものをあっさりと覆され、こうして今もそのVAIO Zをほとんど何の不満もなく利用し続けている。しかし、いよいよSandy Bridgeデビューの日が近づいてきたので、近いうちにこれを搭載したVAIO Zが登場することから、自分の心の整理をするため、新VAIO Zに何を望むかを書いておこうというわけである。結局、ほとんど変わり映えしなくとも導入するとは思うのだが、そこはそれ、まずは自覚することが大事なのだ。
Sandy Bridge搭載ということで、まず何を期待するのか。Mobile向けと言っていいCoreマイクロアーキテクチャと、それに続くややデスクトップ向けに振れたNehalemアーキテクチャ(マイクロアーキテクチャレベルではCoreとなる)と大きく異なるのは、マイクロアーキテクチャレベルからの見直しがさらに進んだことにある。Baniasになった際に大きく手を加えられたP6マイクロアーキテクチャは、Banias以降はそれほど大きく手を入れられてこなかった。もちろん、Macro Ops Fusion等、μOpsレベルからの見直しもなかったわけではないが、本質的にはBanias以来、大きく拡張されてこなかった。ステップアップしたYonahは、Dualコアということを前提に手を加えられ、Meromは64-bit拡張に耐えられるように変更、Nehalemに至っては改良されたHyper-Threadingテクノロジが追加された程度で、本質的な改良とはほど遠いもので、ずいぶん進化は遂げてきたがP6改という表現は、未だに有効なものだろう。
では、そのあたりSandy Bridgeではどうなのだろうか。マイクロアーキテクチャレベルで大きく手が加えられているかどうかは何とも言えないが、Intel IsraelのBanias→Yonah→Sandy Bridgeというラインで見れば、CPUダイという視点では間違いなく大きなステップアップとなる。それは、
- Banias(マイクロアーキテクチャの改良とMobile専用プロセッサという概念)
- Yonah(Mobile初のDualコア)
- Sandy Bridge(GPU統合及びCPUとの密接な連携)
というように、Mobileプロセッサの視点から見て「真の」性能向上に役立つものばかりだ。
と、まぁSandy Bridgeについて語り出すと時間がなくなってしまうのでこのあたりにとどめ、これを搭載するであろう2011年春モデルのVAIO Zに何を期待するかについて書いていく。まずは、スペックから。
- マイクロプロセッサ:Core i7-2820QM(2.30GHz)
- チップセット:HM67 Express Chipset(コードネーム Couger Point)
- 無線LANモジュール:Intel Centrino Advanced-N+WiMAX 6250
- メモリ:DDR3-SDRAM(DDR3-1333) 8GB
- 外付グラフィックス:nVIDIA GeForce GT 540M(VRAM 1.5GB)
- 液晶パネル:1920×1080(LEDバックライト)
- 固定ディスク:SSD(RAID 0、512GB)
- 光学ドライブ:Blu-rayディスクドライブ
- 外部インタフェース:HDMI、USB×4、SD、MMC
外付グラフィックスは、GeForce GT 445Mあたりがいいのだが、あえてここは控えめに(と、1月5日朝に書いたのだが、まさにその日にAMD社とNVIDIA社から相次いで新Mobile GPUが発表。なので、GeForce GT 540Mに書き換えた)。マイクロプロセッサは、ホンモノの4コアを希望。Turbo Boostは期待できることが現行機種で確認できたので、定格クロックが低くてもBoostされれば何の問題もない。そんなことよりも絶対的にコア数を増やす方が難しい、というか不可能(Hyper-Threadingテクノロジではねぇ)なので、ここはVAIO ZにもQuadコアを載せてほしいところである。
そして無線LAN。最近まで無線系を「使えない」とバカにしていた私であるが、ここ2~3年のうちに大きく環境は変貌しつつある。その中でもWiMAXの存在は、場所の問題はまだまだあるようだが、私の日常環境においてはよほどのことがない限りつながらないということはなく(ビルの地下とかは別)、なくてはならない存在となっている。無線LANも昨年後半にルータを変えたことでつながりにくいということもなくなり、5GHz帯を自宅では使用していることもあって、これもなくてはならないものとなった。よって、Centrinoブランドが登場して7年以上経った今日、ようやく私もスペック表に入れる気がしたので入れてみた。
あとはまぁ、現行VAIO Zとほとんどかわるものではないので、プラットホーム刷新以外の部分は目新しいものではない。が、目玉はプラットホーム刷新以外の何物でもないわけだから、これはこれでいいだろう。で、時間がなくなってきたので強引にまとめてしまうと、2011年春モデルのVAIO Zに何を期待するか、となれば「Quadコアプロセッサ搭載」であり、これさえ実現していただければ、おそらく購入に踏み切ることになるはずだ。と宣言しつつ、今回はここまで。
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