考えていたよりも早く出された、STAP細胞にかかわる理研の最終報告書。当然、時間がかかると自ら主張していたものが、早くなった理由は自らの都合に他ならない。その理由は、特定国立研究開発法人に指定されたいという国と理研の双方の思惑があり、国会開催中にけりを付けたい──何でもいいから幕引きをはかりたいからだ。
こういう思惑があるので、もはやSTAP細胞の有無などどうでもよく、小保方晴子さんの行った愚かな行為を断罪し、禊ぎをし、理研はきれいになりましたとしたい。無論、理事長以下幹部に責任などない(仕方なくのものはあるだろうが)。
こういう展開になれば、自明だが、小保方晴子さんが黙っているはずがない。組織の中でうまくわたっていこうというのであれば、黙っているという展開だろうが、これまで周りを振り回してきた自意識過剰の方であれば──しかも「悪いことなどしていない」と倫理観が欠如しているならば、反論するのは当たり前だろう。
組織 VS 個人…。よくあるパターンで、ようやく既存の大手マスメディアの出番が来たといった印象だ。STAP細胞発表時からの記者の勘違いに基づくおかしな報道はなりを潜め、社説含めて切り込み鋭く、社会正義(正義という言葉は使いたくないが常套句と言うことで)を糺すという姿勢も悪くない。最早、小保方晴子さんだけを悪者(スケープゴート)にするだけではおかしい、理研もそれ相応の罪はあるはずだ、という論調が大半で、私も得心できる。
だが、しかし。肝心のSTAP細胞はあるのかないのかという点については、何ら明らかとなっていない。あれだけ大々的に打ち上げたものをこの短期間で再検証困難とは言え、これで最終報告書とは恐れ入る。小保方晴子さんという個人が行ったというのであればともかく、理研という組織をバックに…いや組織内の人が行ったのであるのだから、理研はSTAP細胞についてはっきり結論をつけるべきだ。となれば、最終報告書はあまりに稚拙で、論文の限定された6か所だけでなく、どうしてこうなったという顛末まで含め、時間をかけ検証すべきとなる。その上で、堂々と特定国立研究開発法人の指定を受ければいい。こんなつまらないことを拙速に行って、多くのまともな研究者の足を引っ張るのはいかがなものかと感じつつ、今回はここまで。
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