小保方春子さんがどや顔をして発表したSTAP細胞。やっかみなどもあるのだろうが、いつも感ずるのは相変わらず酷い報道が多いと言うことだ。さすがにマスコミ取材の当事者になったことはないが、近いところにいたことは何度もあり、その多くが「記者、まったくわかってないな…(呆)」であり、その報道内容も「そうじゃねぇだろ」と立場の違い云々ではなく、曲解、意味取り違え、あらかじめ用意されたストーリーへの無理矢理あてはめ、などなど、どうしようもない救われないものが多い。
もちろん、マスコミに批判精神は必要かつ必須であって、酷いと思うものも受け容れなければならないものもある。
さて、STAP細胞については当blogでは初めてふれるが、発表当初(正確に言えば昨年末辺り)から気になってはいた。そして、今日に至るまでジェットコースターのように上へ下への大騒ぎ状態。何が根本的な原因なのかと言えば、第三者の追試ができていないことに尽きるだろう。小保方さんの素性やら、理化学研究所の足の引っ張り合いやら、様々な陰謀説などはどうでもよく、科学であるのなら「実証してナンボ」でしかないのだ。ここが補強されない限り、いくら論文を補強しようが無意味である。
で、当然私自身も報道というフィルターを通してでしかわからないのだが、それを前提としてなぜこのようなごたごたとなってしまっているのか。勝手な予想を巡らせてみたい。
恋は盲目型
私の思うところ、一番考えられるのは「恋は盲目」のように、限りなく強い思い(想い)が「ないものをあるように見せてしまう」と言うことだ。科学者がそんなはずはないだろうという意見もあるとは思うが、実際、私と付き合いのある大半の科学者は、激しい思い込みがあるのではないかと感ずるほどに「自説(あるいは賛同説)」を盲信している。無論、根拠もなくそう見えるのではなく、科学的な検証、数学的証明などを経た上で「自信を深めている」のだが、それが客観的(第三者グループなど)に評価されていることも重要である。言うまでもなく、思い込みが激しい場合、隘路に落ち込んでしまうのはよくあることで、長い付き合いのある一部の人たちだけで考えられるものは、たいていの場合、盲目状態に起因する過ちが起こってしまう。STAP細胞がある、ある!、ある!!、と突き詰めていく中(ネイチャー編集部とのやりとりもあったろう)で、ないものをあるとしてしまったというパターンだ。
やっかみによる陰謀説
STAP細胞そのものは問題ないが、小保方さんだけにスポットライトが当たり、他研究者あるいはその果実を自分の成果にしたいと邪な考えを持つ者が、論文にけちを付けて取り下げさせ、もう一度問題ない形で論文を出し直す。その時、主要著者は小保方さんではなく別人になっており、STAP細胞の成果はその人に帰結するというパターンだ。とはいえ、こんなにわかりやすい陰謀はないだろうから、もっと複雑な経過をたどる可能性はある。ただし、結論は小保方さんが外された状態となっているのは変わらないだろう。
隠されている製造方法(パラメータ)
当初、簡単に作ることができるとされたSTAP細胞だが、偶然(何らかの意図しない外的要因が別にあるという状態を含む。別名、隠されたパラメータ)の産物だったとすれば、立証は困難だろう。意図するしないを問わず、偶然にできてしまったものを自分たちの行った実験(隠されたパラメータに気付いていない)の結果できたものだという前提で論を進めたならば、第三者が追試不可能というだけでなく、自らも再現困難となる。さすがにそんなことはないだろうと思うが、可能性としてあげておく。
以上、勝手な予想を試みた。STAP細胞に関して、新たな妄言が加わったに過ぎないが、なぜこんなことになったのか。小保方さんには間違いなく説明責任があるので、いつまでも隠れておらず、正々堂々とSTAP細胞を発表したときのように行っていただきたい。
恋は盲目型というのはまさしく病的科学としてカテゴライズされるものですね。
大型予算が付く前に手を打つことができ、地震予知や常温核融合などと同じ道を歩まずに済んだのは科学コミュニティにとって(not 小保方さん個人)の不幸中の幸いというべきでしょうか。
投稿情報: inspirethenext | 2014/03/15 17:20
コメントありがとうございます。
地震予知、嗚呼、あれね(苦笑)。気象予測とは圧倒的に観測情報が足りず、その上、構成する物質・構造も知見も雲泥の差。加えて、事象発生頻度まで異なるものが、予測学問として成立すると考えることだけで、既に科学ではありませんね。予測以前に、地球の内部構造を「予測(予想)」でない形で明らかにする必要があるでしょう。観測できているのは、極々一部の地殻の数kmぽっちなんですからね。
どちらにしても、ES細胞やiPS細胞とは別物だとはっきりしてよかったかな、と。
投稿情報: XWIN II | 2014/03/16 19:26