今日(17日)から東武伊勢崎線と業平橋駅は、通称名付与並びに改名した。東武伊勢崎線の一部区間(浅草~東武動物公園間、押上~曳舟間)を愛称(通称)「東武スカイツリーライン」とし、業平橋駅は「とうきょうスカイツリー」駅となった。
「押上」駅も副駅名導入が決まっており、「押上(スカイツリー前)」駅と近日中に実施するとのことだが、東京スカイツリーの運営事業体にかかわる東武鉄道としては、何としてでも東武鉄道を利用してほしいという意欲の表れだとなるだろう。
しかし、改名までした業平橋駅、もといとうきょうスカイツリー駅だが、果たして観光客にはメリットが、利便性はどうなのだろうか。
というわけで、この疑問に応えるべく簡単な路線図(青い★が東京スカイツリー)を作成してみた。もともと、東京スカイツリーの立地するこのあたりは、昭和7年(1932年)9月30日までは東京市外にあたり、浅草(東京市内)への乗り入れを目指す鉄道事業者が殺到する一帯でもあり、様々な路線が交錯していた。市域拡張後、東京市となってからもこの遺産はほぼそのまま残り、市電(都電)廃止後も地下鉄として復活するなど、鉄道稠密地帯となっている。
中でも最近開通した東京メトロ半蔵門線は、東武鉄道(伊勢崎線)と相互乗り入れ(相互直通運転)を行っており、東急田園都市線中央林間駅まで続く首都圏の鉄道大動脈として位置づけられるほどとなった。東武鉄道の都心乗り入れは、東京メトロ日比谷線経由で長年担われており、北千住駅から東武浅草駅までは盲腸線然としていたが、半蔵門線との直通により曳舟駅まで再生したと言い換えることができるほどになった。
だが、業平橋駅、いやとうきょうスカイツリー駅は曳舟駅の先にある。ほんのわずかの差であるが、大動脈からは外れた先にあり、ほとんど距離的に差のない押上駅の方が有利なのだ。
まだ、表記は業平橋のままだが、東京スカイツリーはもちろん、周辺に展開される東京スカイツリータウンも含め、押上駅も至近駅であることは疑いない。それどころか、とうきょうスカイツリー駅は東武鉄道のみでかつ大動脈から外れているが、押上駅は東武鉄道をはじめ、東京メトロ(半蔵門線)、東京都交通局(都営浅草線)、京成電鉄(押上線)が乗り入れており、さらに他社・他線との相互乗り入れを見れば、羽田空港や成田空港からも直通電車が利用できる。当然、都心方面からも同様である。
こういう状況がわかっているからこそ、東武鉄道は路線名に愛称を採用の上、駅名をいかにも的な名称にせざるを得ず、利便性よりも名前で勝負するというわけである。
ただし、浅草観光から東京スカイツリーへ、というルートではわずかに一駅であるが、鉄道を利用してという観光客にはいいだろう。そんなことを考えつつ、今回はここまで。
参考記事:「シンボルで異動する駅名、業平橋駅から とうきょうスカイツリー駅へ」
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