YOMIURI ONLINEにこんな記事が掲載されている。それは「尖閣の中国名表示削除を…グーグルに自民要請」というもので、概要は
自民党は13日、検索最大手の「グーグル」に対し、同社の地図サービス「グーグルマップ」で、尖閣諸島の表記に併記されている中国名を削除するよう申し入れた。
グーグルマップ上では、尖閣諸島と同諸島の魚釣島について、それぞれ中国名の「釣魚群島」「釣魚島」が併記されている。
同社の日本法人を訪れた小野寺五典「影の内閣」外務担当は「中国と領有権問題が存在する領域であるかのごとき表記で誤りだ」として、日本語表記のみにするよう求めた。
とのこと。私は別に尖閣諸島について何でもかんでも中国の肩を持つわけではないが、正直、このニュースが事実とするなら同じ日本国民の一人として恥ずかしい気持ちでいっぱいである。日本は、世界的視点を持てない島国根性の国民だと思われはしないかと…(政治家は建前上は国民の代表)。
いうまでもなく、Googleマップは世界規模のサーヴィスであり、けっして我が国ローカルのサービスではない。それは日本語表記だけでなく、ハングルや中国語(簡体字など)、様々な言語で見ることができることからも明らかであり、URL等から判断してその国の言語(表記)に合わせた対応によって、地名をその国の表記に変えているものも少なくない。今回、小野寺五典氏が噛みついたのは、おそらくこのことだろう。
ご覧のように、ゴシック体風での表記は我が国のもの、明朝体風での表記は中国のものである。島の名前はどちらも「釣魚島」と同じだが、我が国では「尖閣諸島」と表記し、中国では「釣魚群島」と表記する点が異なる。つまり、領有権云々の問題ではなく、国それぞれ固有の表記上の問題に過ぎないのだ。
もう一つ、こちらは島の名前すら異なる。我が国では「久場島」、中国ではまったく違う名称となっている。だが、こんな例は我が国においても珍しいものではない。正式名として定義される前は、それこそ地域によって異なる地名など当たり前のようにある。これが国が異なる同士(つまり公式名として統一されがたいもの)では、名前が違ったっておかしくも何ともないのである。
もっといえば我が国の国名も、私たちは日本や日本国としており、アルファベット表記ではNIPPON等としているが、西洋諸国はJAPANやJAPON、アラブ諸国ではアラビア語表記(たぶん「にほん」や「にっぽん」とは読まないだろう)など、各国によって表記はもとより呼び方すら違う。逆に我が国も、例えばUK(United Kingdom)をグレートブリテン及び北部アイルランド連合王国、イギリス、英国などとしており、こういう部分はお互い様と言える領域だろう。
さて、振り返ってGoogleマップである。Googleマップは日本向けのローカルサービスも展開はしているが、日本だけの島国根性サーヴィスではない。世界規模のサーヴィスである。よって、我が国向けの表記以外に中国語表記もあれば、英語表記など多くの表記をサポートしている。そういうものに向かって、『「中国と領有権問題が存在する領域であるかのごとき表記で誤りだ」として、日本語表記のみにするよう求めた』というトンチンカンな話が事実であれば…。
とはいえ、Googleマップ側にも問題が全くないわけではない。というのは、東シナ海に浮かぶ島々のうち、このように両方の並記がされているのはここだけなのである。よって、自民党のいうことも一里はあるわけで…。
追記(2010年10月14日):前原外務大臣も自民党と同様の趣旨のようなので(以下略)。
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