高価な限定版を買うなど、楽しみにしていたドラッグ オン ドラグーン3(以下、DOD3)。しかし、年末にその期待は完全に裏切られ、我慢してプレイをするのももう限界。他にやることがないならプレイするかもしれないが、名作の名を受け継いだ駄作。ここまでつまらない手の込んだゲームは久しぶりだ。
一応、セールストークとしては、
「シナリオはヨコオタロウ氏、キャラクターデザインには藤坂公彦氏、サウンドは岡部啓一氏(MONACA)と、シリーズではお馴染みのスタッフにより、独特の世界観はもちろんのこと、新たなシステムも追加。」
ということだが、これらを統括した責任者出てこいと言うくらい、うまく組み合わされていない。プロデューサーの責任は重大だと思う。では、何がどうダメなのか。以下に列挙してみよう。
- 断片的な情報しかなく、ゲーム内で完結できないシナリオとキャラクター。
- 爽快なアクションというのは最初だけで、後半は処理落ちで当に手も足も出ず。
- 何もかもが一本道で、マルチエンディングをなぞるところまで一本道。
- ゲームシステムがこなれておらず、役立たずなもの(削られた残骸?)が多い。
- 一括ロード(=ロード時間が長い)するにもかかわらず、移動方法が限定されている(=逐次ロードで問題ない)。
- 最悪な内輪受けネタ満載。
書いていて気が重いが、それぞれについて思うところを書き殴っていく。
断片的な情報しかなく、ゲーム内で完結できないシナリオとキャラクター
正直、これは攻略本や資料本、解説本の類が別途存在する前提でつくられているのではないか、と思うほどあまりに断片的すぎる情報。説明的台詞を長くしゃべってくれとか、ナレーションで背景説明してくれとか、そういうのではなく、シナリオの展開で見せてほしいのだが、そういうものがほぼないに等しい。そのくせ、できないことに対する説明はやたらと充実しており、ドラゴンに騎乗できない理由は「乗ると臭いから」、いつも閉じ込められてしまう(ステージクリア型にしたってシチュエーションの変化くらい見せようよ)理由は「気にするな! 大人の事情だ!」などなど。そして、キャラクターについても数行解説があるだけで、ストーリー(シナリオ)の中ではただのお馬鹿さんでしかなく、その上、プレイヤーキャラのお供としての個性すらない(さすがに姿形や声は違います)。しかも台詞は下ネタ満載で、これはさすがに何かの間違いだろうと思ってゲーム雑誌などを読んでみたところ、わざとそうしているような印象であり、これは同人的な作品なのかと…。と、まぁ何を狙ってそうしたのかはさておき、嗜好の問題以前に「補完」情報前提というのが腐った方法だといっておく。
爽快なアクションというのは最初だけで、後半は処理落ちで当に手も足も出ず
最初の方は動きはいいと思ったが、慣れてくると単に動きがいいだけで、プレイヤーの要求するアクション(操作)とは無関係だとわかる(苦笑)。操作性とは、単に動きがいいというのではなく、プレイヤーの操作(コントローラの動き)に追随して狙ったアクションができなくてはならない。だが、本作はそうではなく、画面の動きだけ見ているとスタイリッシュな動きを見せているが、プレイヤーとしてはそんな動きを望んでいないよという勝手なものでしかない。見栄えがいいだけなのだ。よって察しのとおり、カメラワークはプレイヤーの要求するアクションとは無関係に動くため、次にどういう操作をしようかという要求が出しにくい。まぁ、下手にカメラワークがいいと思ったようなアクションができないことが余計に目立つので(馬鹿笑)、そういう点からはバランスが取れていると言えるのかもしれない。それ以上に問題なのは、後半になって敵の数が増えてくると「処理落ち」が頻発し、ひどいときには一切のコントロールを受け付けなくなる。あれだけ低品質のポリゴンモデルを使っているのだから、もう一工夫が必要だろうというのは結果のみを見ている私の戯言で、おそらく開発現場では「処理落ち」しても仕方が無いくらいにとんでもな状況だったのだろう。おそらく、設計レベルで破綻したのではないだろうか。
何もかもが一本道で、マルチエンディングをなぞるところまで一本道
マップは一本道。これはFF13等でもあったことで、昨今のゲームでは珍しいことではない。しかし、本作の一本道は戻ることすらできない(ステージクリア型)。いや、正確に言えば戻ることはできるが、あくまでクリアした後、何度も同じマップにチャレンジできる(戻るというよりは繰り返し)というだけで、単純作業の繰り返し。しかも一本道が複数のステージに区切られているため、さらに単調感は増。断片的な情報しかない細切れシナリオに、この単調な繰り返し作業と思い通りにならないアクション。そして、マルチエンディングだといいながら、これもエンディングの順番が決まっているようなもので、短いシナリオを無理矢理長く見せるだけの滑稽物でしかない。こんな調子なので、仮にゲームシステムが優れていたとしても、相当なストレスが溜まるはずだが、そんな生やさしいレベルではないのが本作だ。
ゲームシステムがこなれておらず、役立たずなもの(削られた残骸?)が多い
本作は、基本一人を操作していくが、お供のドラゴンと途中から加わる使徒という連れが一人いる(シナリオ上は複数いるがアクションゲームとしては一人のみ選択)。ドラゴンも常時使えるわけではなく特定のシーンだけなので、実質、プレイヤーキャラ一人を使っていくことになるが、たった一人を使いこなすシステム周りがダメダメなのだ(呆)。まず、アクションゲームなので大事なものはといえば、レスポンスだが、これが鈍い。狙ったアクションができないというのに加え、レスポンスが鈍いとなればどうすればいいのか…。手順が回ってくるようなシミュレーション系、ドラクエRPG系ならば、まぁ百歩譲って鈍いのも我慢できるが、アクション系では論外だろう。さらに問題なのが、原因はメモリ不足だという結果だろうが、システム設計の破綻だと断言できる「呼び出しメニューの中身の無さ」で、出撃前の情報より劣るのは仕方ないにしても、肝心要な情報まで出さないのは本末転倒だろう。また、逆のケースもある。出撃前の情報で確認できず、武器を装備して出撃して初めて「技系図」(どういう順番でどのボタンを押すと必殺技が出せるというもの)が出るというのは…。装備しないとわからないよ、という意図ではなく、基本設計が破綻した結果がこうなったというもので、言い訳めいたものが後付けで付与される。本作は、実にこのパターンが多い。また、不思議なのは「魔法」が見当たらないことで、「魔法禁止」という制限が示されることがあるのに、どうすれば「魔法」が使えるのさとこれまたストレスフル(笑)。最初にふれた使徒も、開発当時は色々仕掛けはあったのだろうが、犬の散歩についてくる犬でしかなく犬種が違うだけというレベル。
一括ロード(=ロード時間が長い)するにもかかわらず、移動方法が限定されている(=逐次ロードで問題ない)
テンポを大事にするゲームは、最初にすべてメモリ(RAM)に読み込んでおいて、途中のロード時間を発生させない工夫を行うものだが、それは状況による。本作はステージクリア型であるので、そのステージ内のデータ(ポリゴンモデルや台詞、背景テクスチャ等)をすべてRAMに読み込んでおいた方がいいのは間違いない。だが、同じような敵キャラや背景が登場するにもかかわらず、そのすべてを読み込んで(読み込み直して)いるかのような長いロード時間。「英雄伝説 閃の軌跡」のロード時間もやたらと長かったが、バージョン1.02で受忍限度内に改善されたのもこのあたりの工夫を行ったからだと見るが、本作も改善の余地は多分にある。具体的には、本作は一本道であり、さらにそれが細かく区切られているのだから、必要なものだけをロードするなどの選別やマップの構造を工夫する、さらにはステージ出口に近づいてきたときにバックグラウンドで読み込む(逐次ロード)など、様々な方法が採れるはずだ(ドラゴンに乗れないのだから空を飛べずひたすら歩くか走るしかないので移動はシーケンシャルだ)。だが、これも結果論。おそらく基本設計が破綻した結果がこれであるので、最初からこのようなマップ構造やアクション要素でなかったのだろう。様々なものを削ぎ落とし、一括ロードの必要性がなくなったにもかかわらず、ゲームシステム周りはそのまま残された。そう見るのが適当だとしても、あまりに悲惨な結果でしかない。
最悪な内輪受けネタ満載
とどめはこれ。濃いファンがついている作品は、制作者側が気をつけていないと「内輪ネタ」に陥(嵌)ってしまい、それで妥協しようとする。ファンだったら許してくれるよね、という安易な妥協。そして迎合。シナリオやキャラクター情報は他(メディアミックス)で「補完」してくださいね、「処理落ち」は狙ってやっているもので落ちてもいいから多くの敵を出したかったんだよね、一本道なのは意図的にわかりやすいからそうしたんだよね、ゲームシステムは世界観を出すためにあえて不便にしているんですね、ロード時間が長いのは断片的な情報からあれこれ考えてもらうために長くしているんですね………。このような不当な言い分(上にあげたのは私の思いつきです。関係者がそう言っているわけではありません)は、一般的に許されるものではないが、内輪ネタなら許容されることもあるだろう。下品な台詞やそれを「ぴー」で隠すなど、馬鹿で間抜けな演出も所詮出所は内輪ネタだと理解すれば、それへの甘えであると得心できる。
悪口ばかりを書き連ねてしまったが、本当に本作にはがっかりさせられた。アクションゲームとしてだめ、シナリオもシステムもだめ、音げーは最悪。とどめはプログラム開発がいまいち(破綻した設計に基づくのでだめとはしなかった)。1か月の発売遅延ではなく1年遅延させてでも、まともなものを作るべきだった。とはいえ、会社の方針では許されないだろうと思いつつ、今回はここまで。
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