Windows 8がいまいちだというのは、主観としても客観としても感ずるところであるが、これを覆そうと早くもWindowsの次期バージョンが取りざたされている。コードネームはWindows Blue。Windowsカラーが「青」だというのは、印象としてはWindows 3.xあたりからそのような感触を抱いているが(ウィンドウのタイトルバーであるとか、起動画面であるとか、ブルーバック画面であるとか…)、コードネームにBlueを採用するあたり、何となくであるが原点回帰風だと感ずる。
さて、そのWindowsだが、ご存じの方はご存じのように現在のWindowsはいわゆるWindows NT系であり、あの大ヒットしたWindows 95とは異なる系列である(インタフェースの皮が同じものを被っているだけで中身は完全な別物)。その最初のWindowsは今から30年ほど前に発表され、出るぞ出るぞといわれながら延期を繰り返して、ようやく1985年にバージョン1.01としてデビューを飾った。それから20世紀終わりのWindows Millennium Edition(俗に言うWindows Me)まで、不整合な形で16-bitの母屋に32-bitを継ぎ接ぎして延命を図ったWindows。DOSとの完全な決別はならずに、以下のようなバージョンが登場した。
- Windows 1.0
- Windows 2.0
- Windows 2.1
- Windows 3.0
- Windows 3.1
- Windows 95
- Windows 98
- Windows 98 SE
- Windows Me
小数点以下第2位以下のバージョンやOSR等といったパッケージに出ない(出にくい)ものを除けば、初代のWindows 1.0からWindows Meまで8世代。メインバージョンはWindows 1.0からWindows 3.1までは、バージョンナンバーがそのまま製品名として入っているのでいいが、Windows 95以降はそうでないので製品名にバージョンナンバーを補完すると、
- Windows 1.0
- Windows 2.0
- Windows 2.1
- Windows 3.0
- Windows 3.1
- Windows 4.0 (Windows 95)
- Windows 4.1 (Windows 98)
- Windows 4.1 (Windows 98 SE)
- Windows 4.2 「4.9は自称」(Windows Me)
というように、事実上は第4世代となる。1.0でリアルモード、2.0でスタンダードモード、3.0で完成された386エンハンストモード、4.0で疑似32-bitモードをサポートしたと言い換えてもいいだろう。4.0(95)以降は、ハイブリッドかつアクロバティックな32-bitモードは複雑怪奇ということもあって、OSカーネルやコア的な部分は手を入れられず、機能拡張や新規格等への対応がほとんどで小数点以下第1位が上がっていくだけとなる。最後のMeは、自称バージョン4.9を名乗るが、Windows 2000のNT系5.0よりも0.1少ないという意味でしかなく、実質4.2あるいは4.15程度でしかない。以上のように、初期のWindowsは第4世代で終わったことが確認できよう。
続いて、Windows NT系列を見ていこう。これもまずは製品名から列挙すると、
- Windows NT 3.1
- Windows NT 3.5
- Windows NT 4.0
- Windows 2000
- Windows XP
- Windows Vista
- Windows 7
- Windows 8
というように、こちらはいきなりの3.1からスタートする。無論、そんなはずはなく、この3.1の意味合いは、
- Windows 3.1とユーザインタフェースを合わせ、ヒット製品に名前も似せるためにWindows NT 3.1とした。
- OS/2 2.xの後継OSであるOS/2 3.0開発プロジェクトを引き継いだことから、OS/2から通算して3.1とした。
とあるが、まぁどちらにしても真の意味でのバージョンナンバーではなく、Windows NT 3.1が事実上の1.0だとなる。よって、Windows NT系列は表向きの製品名と表向きのバージョンナンバーに加えて、真のバージョンナンバーが存在するのである。これを併記したものを以下に掲げると、
- Windows NT 1.0(Windows NT 3.1)
- Windows NT 1.5(Windows NT 3.5)
- Windows NT 2.0(Windows NT 4.0)
- Windows NT 3.0(内部バージョン 5.0、製品名Windows 2000)
- Windows NT 3.1(内部バージョン 5.1、製品名Windows XP)
- Windows NT 4.0(内部バージョン 6.0、製品名Windows Vista)
- Windows NT 4.1(内部バージョン 6.1、製品名Windows 7)
- Windows NT 4.2(内部バージョン 6.2、製品名Windows 8)
というように、こちらも事実上第4世代であることがわかる。DOS/Windows系では、新モードが加わる毎にメインバージョンナンバーを新しくしていったが、Windows NT系はスーパーバイザモードとユーザモードの変更(役割分担を含む)によってメインバージョンナンバーを新しくしている。これは最初のOSカーネルの出来が素晴らしいと言うこともあるが、これだけ巨大なOS(サーヴィス群)ともなると、世代を重ねていくこと自体が難しくなっているとも言えるだろう。
さて、このように比較してみると、どちらも第4世代から小数点以下しかバージョンが上がらなくなっており、その回数も増えていることがわかる。そして、Windows 8を継ぐコードネームWindows Blueも内部バージョンは6.3と言われており、事実上第4世代がそのまま継承されることとなるだろう。さらに数え方にもよるが、Windows NT系も9製品目を迎えることとなり、これはDOS/Windows系の9製品目とも重なる。確かにWindows NT系もOSカーネルを刷新するとも思えず、アーキテクチャとしても64-bit化したものの、ハードウェア基盤のx86からx64への移行が32-bitへの移行とまったく異なるほど簡単に移行できているので、大きな刷新も求められない。
時代がWindows(PC)の時代ではなくなってきているだけでなく、OSの世代としてみてもそろそろ限界に近づいているようにも感ずる。とはいえ、Officeのバージョンは15まで来ている(実質は14)ので、単なる数え方の違いだろ、と片付けることもできる。そんなこんなで今回はここまで。
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