東日本大震災や政治の混乱、世界史上最速で超高齢化社会に向かっている我が国だが、日本企業の優秀さに支えられ、他国と比べればまだましと思われている結果、対ドル、対ユーロにおける円高傾向が進んでいる。当然、円高基調になればドルやユーロベースの輸入品等は値下がらなければならないが、いやはやまたしても島国根性的な話が漏れ聞こえてきた(馬鹿笑)。
飛ぶ鳥を落とす勢いのApple社が場貸しをしているApp Storeで提供されている、いわゆるアプリ等の価格が何の前ぶれもなしに、いきなり115円から85円に引き下げられた。販売価格の設定はApple社ではなく提供者(社)が行っているが、為替レートによって販売価格が動くとは思っていなかったと曰う我が国の提供者(社)が多いのにはビックリだ。
Apple社は米国法人であり、App StoreはそのApple社が事業を手がけていて、グローバル展開する中で当然基準通貨は自国通貨であるドルで行っている。つまり、App Storeに出品するということは、言い換えれば米国に輸出販売を行っているようなものであって、これさえ理解できていれば輸出が得意な我が国なので、ドの付く素人さん以外には今さら説明するまでもないだろう。円高が進めば、利益が出なくなる(あるいは減る)ということを。
だが、我が国の提供者(社)の中には、この価格改定(正確に言えばレート変更)に納得がいかず、なぜ事前に知らせないのかとか、価格は提供者(社)と話し合って決めるべきだ等とする意見(クレーム)をあげるトンチンカンがいるようだ。価格は言うまでもなく、先にふれたようにApple社が決めておらず提供者(社)が決めているので、意見(文句)は筋違いでしかない。一方、事前に告知なしだったとする意見(文句)はわからないではないが、だったら逆に提供者(社)の都合で価格改定する際、Apple社に事前告知したり相談するかといえばそんなことはないだろう。そこまで互いに価格については縛り合っていないはずだ。
要するに、いつもと同じ結論でしかなくなるが、我が国のルールだけに則った理解だけで世界に乗り出した結果がこの末路と言うだけである。おそらく、App Storeを通じての販売を単にamazonや楽天市場等に出品する程度の気分で行ったつもりなのだろう。さらに相手は、あのApple社である。Apple社が提供する製品とはかれこれ30年以上の付き合いがあるが、「すべてはAppleの手の中にある」という基本理念というか、理解を忘れてはならない。ルールはユーザなどとの協議で決まるのではなく、すべてApple(Jobs)が決める(与えられる)くらいの覚悟を受け容れなければ付き合ってはならないのだ(苦笑)。そう、Apple(Jobs)が右といえば右に! 上といえば上に! 合わせていかなければやっていけない世界なのだ。(合わせることができるのであれば、誰とはいわないが極楽浄土に行ってきたかのようなApple製品等に関するレポートを書くことができるだろう。)
また、日本経済新聞のWebサイトにある「米アップル「アップストア」価格改定の波紋 」という記事内には、
今回のアップルの突然の価格改定について、ある電子出版関係者は「成長途上の市場であるが故の拙速」と分析。アプリの売れ行きを左右する重要な要素である価格決定に関わる話だけに「出版社や開発者と事前に話し合うなど、もっとスムーズに進める策もあったはず」と指摘する。
とあるが、バカも休み休み言えといいたい。拙速どころかあなたの方が稚拙だよ、としか見えず、まったくApple社の体質を理解できていないのはもちろん、だらだらと長時間の協議が好きで決定が先送りされるばかりの我が国の都合に、Apple社が合わせるはずもない。グローバル市場では決定(判断)にスピードが求められるのは自明であって、業界団体ごっこや自身で作った蛸壺の中でしか勝負できない、特に電子出版の関係者諸君は、文句を言うくらいなら全作品をApp Storeから引き上げることをおすすめしたい。
ということで久しぶりに馬鹿笑いができたことに感謝しつつ、今回はここまで。
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