Windows NT 6.1こと、Windows 7(公式名称)のパフォーマンスはなかなかに良好なもののようだ。Windows NT 6.0こと、Windows Vistaの悪評を振り払う使命を帯びたWindows 7は、これまでのWindows同様に、バージョンが0.1上がることでパフォーマンスアップを図っている(一部例外あり)。
大まかにWindowsの歴史を振り返れば、次のようになる(基本的に小数点以下第二位のバージョンナンバは省略)。16-bit/32-bit Windows系と32-bit/64-bit Windows NT系のそれぞれ見ていこう。
16-bit/32-bit Windows系
- Windows 1.0
- Windows 2.0
- Windows 2.1(Windows/286、Windows/386)
- Windows 3.0
- Windows 3.1
- Windows 95(Windows 4.0)
- Windows 98(Windows 4.1)
- Windows Me(Windows 4.9。番外)
32-bit/64-bit Windows NT系
- Windows NT 3.1(実質1.0)
- Windows NT 3.5(実質1.1)
- Windows NT 4.0(実質2.0)
- Windows NT 4.0 Service Pack 4(実質2.1)
- Windows 2000(NT 5.0、実質3.0)
- Windows XP(NT 5.1、実質3.1)
- Windows Vista(NT 6.0、実質4.0)
- Windows 7(NT 6.1、実質4.1)
Microsoft社は、Windows Vistaを最後の32-bit OSとして位置づけていたが(正確に言えば、Windows Vistaを色濃く受け継ぐWindows Server 2008が最後の32-bit OS)、様々な理由によるWindows XPの延命などにも見られるように、32-bit OSの需要はまだまだあり、それどころかWindows Vistaのブラッシュアップの必要性まで指摘される中、Service Packでの対応でなく、新バージョンとして0.1上げる伝統的政策を採った。リストアップしたように、初期Windowsの1.0を除けば、すべてのWindowsに+0.1されたバージョンを確認できる(NT系のバージョンは実質)。そして、事実上4.1が最終バージョン(ようやく完成形)であることも見えてくる(まぁ、これはこじつけのようなもの)。
Windows 2.0 → Windows 2.1
メモリ管理機能(EMS、XMSのサポート等)を大幅に強化。HIMEM.SYSが大きな役割を持つ。
Windows 3.0 → Windows 3.1
徹底的にコードを見直し。Cで記述していたものをアセンブリ言語で記述するなど、泥臭いパフォーマンスアップを徹底。仮想デバイスドライバによるハードウェアダイレクトアクセスを多用。システムリソースの改善。
Windows 95 → Windows 98
新インタフェース、メディアの積極的サポートによる実質的なパフォーマンスアップ。ファイルキャッシュ等の地味な改善。
Windows NT 3.1 → Windows NT 3.5
ハードウェアリソース要求を大幅に削減し、パフォーマンスアップ。
Windows NT 4.0(Service Pack 3まで) → Windows NT 4.0 Service Pack 4
ファイルシステムNTFSを変更するなど、パフォーマンスアップをカーネルレベルでのハードウェアダイレクトアクセスのみならず、ソフトウェアレベルでの改善も手を入れる。
Windows 2000 → Windows XP
これのみ例外。ハードウェアの進化によって、結果的にパフォーマンスアップという形になった。一般的ユーザ向けとして初めてのNT系カーネルだったため、安定性が飛躍的に高まった(Windows 9x系との比較)ことが大きなメリット。Windows Meとの比較においては、パフォーマンスアップと言えなくもない(安定性が天地の差だったので、再起動の手間を含めれば…)。
Windows Vista → Windows 7
メモリ管理機能の大幅な強化。徹底的にコードレベルからのブラッシュアップが行われており、余計なサーヴィスもエディションによって切り分けられる(具体的にどうカテゴライズされるか不明だが、UMPC向け版は1GBのRAMで十分と言うことから間違いない)と思われる。
PDC 2008レポートを書いている古参のライタは、このWindows 7のベータ版を見て、Windows 3.1を思い出しているようだが、まさにMicrosoft社の狙いはそこにあるだろう。10年以上前、Windows 95によってApple社のMacintoshは地に落とされ、Jobs氏の復帰に至るまで茨の道を歩み続けてきたが、このトリガはWindows 3.1によって進み加速させられた。現在、Macは復活しPC(Windows)の領域を浸食しており、WindowsよりもMacOSの方が優れていると、多くのユーザに再認識されているが、まさにWindows 7は勢いを取り戻したMacOSの真似を再び始める。パフォーマンスアップを図るだけでなく、優れたOSを真似る。やはり、Microsoft社にはUIの文化を創造するよりも、それを真似て普及させる方が似合っている。そんな想いを抱きつつ、プラス0.1バージョンを待とうではないか。
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