その2からの続きです。
液晶ディスプレイ……13.1インチ 1600 x 900(WXGA++)TFTカラー液晶(クリアソリッド液晶)リッチカラー・LED
これは、高解像度というメリットだけで語ることは不可能である。私自身、最初にVAIO type Zの諸元を見たときは、高精細なパネル採用でうれしい!というものでしかなかった。確かに、SONYのWebサイトには、新開発のクリアソリッド液晶だの、リッチカラー・LEDが云々だの、NTSCカラーがどうのこうの等、パネルの発色等についてもアピールはしている。だが、これまでもこの手の話は再三再四、騙されてきた(期待が高すぎたのかもしれないが)ので、そんなに期待はしていなかった。だが、しかし。これは現物を見ることを強くお勧めする。有機ELパネルなどとの比較はともかくとして、従来のノートPCやデスクトップPC用に販売されている液晶ディスプレイの画面しか見たことがない方なら、間違いなくVAIO type Zの液晶ディスプレイの画面の美しさに感動することだろう。それだけのインパクトがこれにはある。
また、ディスプレイへの写り込みもほとんど、というかまったく気にならない。うまく表現できないが、反射光が拡散し、まぶしくない程度にまで抑えられるといった感じか。パネルはつるぴか(てかてか)でもなく、またノングレアとも言い難い、何ともいいようがない素晴らしい表面処理で、はだか蛍光灯が設置されている部屋でも問題ない(無理矢理写り込みさせることは可能だが、それでは画面自体が見えなくなる)。
発色の良さと相まって、高精細な画面は、私自身、これまで見てきた液晶ディスプレイとは一線を画している。ただし、動画を見るにはあまり向いていない。Blu-ray Disc搭載モデルもあり、BD再生も本体のみで可能だが、本当にBlu-rayを鑑賞するつもりなら、外部ディスプレイ(テレビ)を接続する方がいいだろう。なので、私は自宅にPLAYSTATION 3があることから、そしてバックアップ用にBDの書き込みも行わないことから(いずれ、SDメモリ等でこのくらいの容量には到達するだろう)、Blu-ray Disc搭載モデルを選択しなかった。
ちょっと脱線してしまったが、動画再生には向いていないものの(あくまで優れた液晶テレビ等と比較して)、静止画では大変美しい。思い起こせば、Windows Vistaを使用してからブラウン管(トリニトロン管)ディスプレイを使っていないことに気付いた。せっかくWindows Aeroできれいになったグラフィカルインタフェースも、あまり発色のよくない液晶ディスプレイで見ていたのがもったいなく感じる。何だか、これまで一体何を見させられていたんだろうかというほどに、いい意味でショックを味わってしまった。これを見た後、以前のtype SZの液晶画面を見たが、さらにtype Zの良さを再認識できた。高精細+リッチカラー万歳(苦笑)。
気になる点としては、ディスプレイを開く角度が145度くらいまでしか開かないので、180度開くのに慣れているようなユーザ、あるいはどうしても180度開かないとだめだとするユーザにはお勧めできない。
HDD……Hitachi Travelstar 7K200(HTS722020K9SA00)
2.5インチ、7,200rpmの200GBのHDD。本音を言えば、PLAYSTATION 3に換装した320GB版を載せたかったのだが、ラインナップになかったのでやむを得ない。SSDという選択肢は、最初からなかった。やはり第一に容量不足であること。ただそれ以上に、価格破壊と容量増大が間違いなくHDDよりも進むだろうから、高い金を出してまで嫌な思いをしたくないという消極的な理由もある(苦笑)。案の定、2008年夏のIDFでは、Intel社が高速でおそらく安価となる大容量のSSDを発表した。フラッシュメモリの大手製造元が本腰を入れてくれば間違いなく大容量化+価格低下が進むだろう。そして、SSD専用のSATAデバイスドライバがサポートされれば、HDDからの移行も間違いなく視野に入るはずだ。
なお、HDDでもWindowsエクスペリエンスインデックスでは、5.1という値なので、システム全体からすればボトルネックであるが、まぁそれほど悪い値ではないだろう。5,400rpmのHDDを選択しなかったのも、マイクロプロセッサの選択でTDP 25Wモデルでなく、TDP 35Wモデルを選択したことと同じ理由だ。
HDDのデフォルトのパーティションは、3つに分けられている。一つは不可視属性(EISA構成)で、いわゆるリカバリー領域として、6.72GB確保されている。残りの二つはいずれも可視属性で、それぞれCドライブに178.13GB、Sドライブに1.46GB割り当てられている。これを合計すると186.31GBとなり、HDD固有の数え方である200GBとほぼ一致することが確認できる。あと、ハードディスクプロテクション機能については、私の使い方なら切っても問題なさそうだが、縁起物ということでデフォルトのまま利用している。
ちなみにWindows Vista固有の機能(正確にはWindows Server 2003から類似機能はあるが、コンシューマ向けのOSとしては固有。Home Basic Editionなど安価なバージョンには未搭載)としてシャドウコピー機能をここでふれておこう。これは、一種の余計なお世話機能であり、Windows XPを動かすのが精一杯のPCには重荷にしかならない機能だが、わかって使う分には大変便利でありがたい機能である。シャドウコピー機能を一言で言えば、データのバックアップ履歴及びデータそのものを自動的に保存するもので、シャドウコピー領域として確保されているサイズを超えない限りはしっかり対応してくれる。無論、元データを削除した後でも、ファイル名を覚えていれば、あるいは覚えていなくてもどのフォルダに保存しておいたか見当がつけば、最新のものではないかもしれないが(データ保存タイミングに依存するため)、バックアップから復活させることが可能である。
なお、シャドウコピー領域がどの程度確保されているかを確認するには、管理者権限で実行したコマンドプロンプトから、VSSAdmin list ShadowStorageと入力すれば確認できる。こういったことからもわかるように、余計なお世話機能はWindows Vistaの至る所に見ることができるが、中にはシャドウコピー機能のような大変ありがたいものも少なくない。しかし、マシンパワー及びハードウェアリソースが必要なのは自明なので、それ相応のPCでなければ恩恵を受けるどころか、足を引っ張ることにしかならないのである。
では、この項の最後はCrystalDiskMark 2.1のベンチマークテストの結果を示しておく。基本的にはデフォルトの設定だが、一つだけ容量を50MBから500MBに変更した。
続いては、HDDのプロパティを以下のように設定変更した。
通常はライトバックキャッシュのみ有効にされているが、さらに「拡張処理能力を有効にする」にチェックを入れて計測した。
わずかだが、パフォーマンスアップしたように見えるが、誤差の範囲にしか見えないとも言える。実は、最初に50MBのデフォルトの状態で行ったのだが、差がはっきりと出なかったので500MBとした。何となくの気分的な違いでしかないように思うかもしれないが、Mobile PCのように停電に強いPCでこそ、「拡張処理能力を有効にする」にチェックを入れたいと思う(苦笑)。
光学ドライブ……DVDスーパーマルチドライブ(松下 UJ-862AS)
スーパーでマルチな光学ドライブで、Blu-rayや今は亡きHD DVDを除けばありとあらゆる光学メディアに総対応。とはいえ、特にこれといって可も不可もない。なぜなら、利用するのは専らソフトウェアのインストールに使う程度となっているからである。バックアップメディアは、安価になったSDカード等でまったく問題がなく、長期保存のためだけにDVD-R等に焼く程度だろうか(とはいえ、約2~3年のペースでPCを乗り換えるとしたら、メモリカード等のバックアップメディアで実質問題ない)。
だが、光学ドライブがないとソフトウェアのインストールができないものもあるのは事実で、ほとんど使いはしないが、なくなっては困るものである。外付け…、う~ん、そこまで割り切れない(苦笑)。なお、動作音については、風切り音はかなり大きく、このPCが発する最大の騒音となるだろう(スピーカーから発する音を除く)。
その4に続きます。
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