その1からの続きです。
GPU……NVIDIA GeForce 9300M GS及びIntel Graphics Media Accelarator 4500MHD
けっしてMobile向けGPU最高性能を誇るGPUではないが、それでも1kg台中盤のMobile PCとしての、という前提条件を当てはめるならば、必要十分のGPUといえる。私的には、ビデオメモリが専用で256MB搭載されていることがうれしい。フルHD液晶ディスプレイでの高解像度はもちろん、あまり積極的にやるわけではないが、PC向け3Dゲーム等もビデオメモリの容量制限で切られてしまうことは、多くの場合でなくなることだろう。3DMark06でも、実行できないテストはなく、遅くコマ送りながらも一応完走はできた。Windowsエクスペリエンスインデックスの3D性能では、5.1という数値であるので、激しい3Dゲームでなければ、実用上問題が発生するケースはほとんどないものと思われる。では、GPU-Z 0.2.7での結果を示しておこう。
以前に、GPU-Z 0.2.6で確認したところ、Unknownが多くて参考にならなかったため、新バージョンの0.2.7と利用してみたが、あまり結果は変わらないので、SiSoftware Sandraを利用した情報もあわせて示しておく。
あまりに長いので、もう一つ断片情報を示す。
GPU-Z 0.2.7とSiSoftware Sandraを併せ見ると、GeForce 9300M GSのスペックはだいたい以下のようになるだろうか。
- GPUコアクロック……580MHz
- DDR3メモリクロック……702MHz DDR
- メモリバス幅……64-bit幅
- シェーダクロック……1.35GHz or 1.45GHz
- 専用ビデオメモリ容量……256MB
一方、GM45チップセット内蔵のグラフィックス GMA 4500MHDも忘れてはならない。これがあることで、GPUの消費電力を大幅に落とすことができるようになっている。では、こちらもGPU-Z 0.2.7での結果を示しておく。
GeForce 9300M GSとGMA 4500MHD、これらをSPEED・STAMINA切り替えスイッチにより、OSの再起動を伴わずにGPUの切り替えとそれに連動した省電力プロファイル(電源プラン)の変更ができるのは大変ありがたい。しかも注意書きではデータが飛ぶ恐れがあるので、すべてのアプリケーションを閉じて行うよう「指導」されるが、実際にデータが失われる事象にまだ出会っていない(切り替え前にセーブすることはお勧めする)。つまり、アプリケーションを起動した状態(作業中の状態)でスイッチを切り替えることが可能!なのである。
具体的な流れを示すと、SPEED・STAMINA切り替えスイッチをSPEED側からSTAMINA側に切り替えると、以下のようなダイアログボックスが表示される。
面白いのは、「やめるときは、スイッチを元の位置に戻してください」とあることで、「OK」ボタンを押す前なら、スイッチをSPEED側に戻せばこのダイアログボックスが消え、切り替えをなかったことにしてくれる。切り替える場合は、このまま「OK」ボタンを押すと、
一応、脅迫(苦笑)のダイアログボックスで警告されるが、ここでアプリケーションソフトウェアを終了させずに「OK」ボタンを押せば、そのまま切り替えするステップに移行する。もちろん、実行中のアプリケーションソフトウェアがなければ(切り替えプログラムがあると判定しなければ)、このダイアログボックスは出てこない。
一連の切り替え作業(画面が一瞬ブラックアウトしたり、モード切替の表示が出る等)が終わると上記のような「VAIO 省電力設定」が表示される。ここで「設定変更」ボタンを押すと、説明にあるように設定の変更が可能になるが、そうでない場合は右上の×ボタンを押して単に閉じるだけで問題ない。
従来のOS再起動を伴うGPUの切り替えは、機能としては面白く目新しいものであったが、実際にはほとんど利用しなかった。なぜなら、再起動してまでGPUを切り替える必要性を感じなかったからである。しかし、作業環境をそのまま維持しながらスイッチ一つで手軽に切り替えられる、しかもその時間は10~20秒程度(切り替えそのものは10秒前後)と短く、スリープさせそれを復帰させる程度と変わらないので、外出時には頻繁に切り替えるようになった。以前は、電源プランなどあまり気にしていなかったが、これだけ簡単に気軽に切り替えられるようになると、電源プランのカスタマイズまで徹底的に行うようになり、結果としてバッテリ稼働時間がさらに延びるという、副作用まで生ずるようになった(苦笑)。やはり、どんなに優れた機能であっても、それを使おうと思わせるものがなければ、活きた機能とはならないのだ。言うは易く行うは難しではあるが、私自身、このマシンから見習うべき点は多いと感じている。欠点をあげるとすれば、ダイナミック・ハイブリッドグラフィックスとやたらと長い名前であることだろうか(苦笑)。せっかく素晴らしい機能なのだから、もっとアピールしやすいネーミングが求められると思う。
では、この項の最後に主な3D関係のベンチマークテストの結果を示しておく。設定は、GPUはGeForce 9300M GSとし、電源プランはすべて「バランス」にして行った。ベンチマークテストはすべてデフォルト値である。
以上からわかるように、3Dの性能は「それなり」でしかない。もっとも、ハイエンドGPUの消費電力を鑑みれば、このクラスのMobile PCに搭載することが間違いなので、そういった中では仕方のない部分ではある。ただし、ゆめりあベンチマーク等、5年ほど前のベンチマークテストの結果を見れば明らかなように、2~3年ほど前の3Dゲームくらいを動かすならば、何の問題もないだろう。専用ビデオメモリが256MBあるので、最新の3Dゲームをプレイするのでなければ、ビデオメモリの容量不足で起動することもできないという事態は避けられるだろう。
一方のGMA 4500MHDについては、わざわざ3Dのベンチマークテストを行うまでもない。以前の統合GPUよりも性能が高いと喧伝してはいるが、どんぐりの背比べでしかないので、GeForce 9300M GSと比べるまでもないからである。
メモリ(RAM)……DDR3 SDRAM(PC3 8500、1066MHz)2GB x 2 = 4GB
GM45 Expressチップセットのウリの一つは、DDR3メモリのサポートにある。しかし、DDR3専用ではなく従来のDDR2もサポートされていることや、性能面で大きな差はあまり体感しにくいこと、加えて価格差はそれなりにあることから、あまり普及しているとは言い難い状況にある。しかし、Mobile PCにおいては、DDR3を採用するメリットは少なくない。先にもふれたように、DDR3は動作電圧がDDR2よりも0.3V引き下げられているだけでなく、省電力機能も時代の要請に応じて、DDR2よりもサポートするモードが増えている。つまり、高性能だけでなく、低消費電力という相反するメリットは、積極的にMobile PCに採用されてしかるべきものといえる。デメリットはDDR2よりも価格が高いというもので、これはNettop等、低価格が至上命題といえるPCには採用されるものとはいえない。
搭載されているDRAMチップ及びSO-DIMMはElpidaのもので、SO-DIMMの型番はEBJ21UE8BAU0-AE-E(256M words × 64 bits, 2 Ranks)、データレートは1,066MHz(7-7-7)動作、DRAMチップは基板上に16枚搭載されている。このSO-DIMMは2枚搭載できるので、2GBのものがあれば最大4GBまで搭載可能となっている。ちなみに私は4GBを搭載したものを利用しているが、32-bit版のWindows Vistaを利用しているので、いうまでもなく4GBのうち、1GB分は溝に捨てているようなものである。余った1GBをRAMディスクとして利用できるGavotte Ramdiskドライバが非公式に提供されており、私も試しで入れてはみたが、休止状態に移行できないというのはMobile PCとしては少々辛いので(スリープから18時間経過後に休止状態に移行させなければいいのだが…)、今のところ常時利用しようとは考えていない。本音を言えば、この1GBはグラフィックスのデバイスドライバでサポートし、いわゆる共有ビデオメモリ(キャッシュレベルで十分)として利用される分として割り当てられればありがたいと思う。Intel社なら、この程度の仕事はそう難しくないと信ずる(苦笑)。DDR3メモリの速さを確認するために、Gavotte Ramdiskドライバを利用したRAMディスクにおけるCrystalDiskMark 2.1の結果を示しておこう。
以下、その3へ続く。
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