今回は、総括編XIII(一応最終回と想定)ではなく、「VAIO Duo 13 | red edition レビュー総括編 Ⅸ」の続きとして、9.5と銘打っておおくりする。内容は、Ⅸの最後の方でふれたWindows 8アプリのCamScannerについて、である。
本機を使い始めて2か月近くを経過したが、だんだんと使い込んでいるうちに第一印象とは異なってくるものが多く出てくる。そのあたりは、総括編XIIIでまとめて書こうと思っているが、今回はCamScannerのみについて語っていく。
総括編Ⅸでは、CamScannerの使い勝手についていい印象を持っていたが、OCR機能を使う段になってがっかり感が溢れ出るのだ。では、どこがどうがっかりなのか。
まずは難易度の高い数式混じりのもの。本アプリでは「ここが期待するところですか?」みたいに範囲を勝手に指定してくれるが、このようにすべてが指定された状態だと、範囲指定すらできないということになる。結果は何となく見えてくるが、まずは任意に指定し直してみよう。
このように範囲を指定して、右下のチェックを押して先に進めると──
自動的に高精細化。ここはOCR機能を使う前提として、デフォルトで切り替わる。ゆがみはあえて残したまま右下の「OCR」ボタンを押すと、この範囲から文字(テキスト)として抽出してくれるのだ。
このようにOCRテキストとして出てくるが、これはそのままクリップボードにコピーが可能。操作体系はかなり便利。だが、肝心のOCR判定による文字が──
はっはっは…。まぁ数式はいかんともしがたいだろうと予想していたが、他の文字部分は…。「項を無視すると」という部分が6文字連続で正しく判定されたのみで、あとは大変厳しい結果といえる。
続いては、難易度を下げて新聞記事でチャレンジ。だが、縦書きである。デフォルトでは、中途半端なところが範囲指定されている。早くもいやな予感がする(微笑)。
範囲は任意指定できるので(矩形として4頂点を任意に設定可能)、文字の部分のみを選択し直す。そして再び「OCR」ボタンを押す。
なかなかいい感じにスキャンできた。さて、OCRの結果は──
やられましたね…(苦笑)。まったく縦書きに対応できていないわけではないと見られるのは、「不燃化の遅れ」「都道府県」「大阪市」という文字列からわかるが、それ以前の判読レベルだ。これはかなり厳しい…いや、やる価値すらないとなるだろう。
ここまで来たら次のチャレンジ。文字が少ない横書きでアタックだ。
ばっちりきれいにスキャンできた。今度こそいけそうと思うが、わかる人からすればこれはこれで難易度が高いとお気づきだろう。
どこで区切っていいかわからないということもあってか、区切りがおかしいが、これまでよりは健闘しているとなるだろう。「宇宙戦闘団・ガンボーイ」までは完全に判別できている。また、これからわかるように明朝体よりもゴシック体の方の判別が得意だということも見えてくる。
ただ、組文字が混じると「助けて~」状態になり、何が何だかわからない(汗笑)。
最後の方はそれとなくわかるレベルであるものの、厳しい結果だといわざるを得ない。また、お気づきのように我が国の漢字ではなく、簡体字が目立つのは出自が中華アプリなので仕方のないところか。OCRについては、国内メーカのしっかりしたところのものでないと役に立たないことが改めて立証されたとなるだろう。
中華アプリであることから日本語は諦めて、英文にしてみよう。
う~~ん……。かなり微妙か。これからわかることは、辞書をつかっていないということ。単にOCRで識別された文字を羅列するのみで前後判定はもちろん、あり得ない単語かどうかの判定すら行っていないことがわかるだろう。辞書を使ってさえいれば、もう少し単語としては的確なものが選択されそうだが、これでは使い物にならない。
以上、CamScannerのOCR機能について見てきたが、これは単純にCamScannerだけが悪いわけではない。まず、本機のカメラで撮影する際のテクニックが物を言う、ということである。うまい人が撮影すれば、私がここで試したよりもまともな結果が出ることだろう。
だが、しかし。日本語OCRとしては、CamScannerを使おうという気は起きない。本の自炊用に導入したScanSnap iX500(「ScanSnap iX500とスタックカッター200DXで「自炊」に勤しむ」記事を参照)に付属するOCRソフトと比較をすれば「天と地」レベルの差がある。無論、フラットヘッドスキャナからの画像とデジタルカメラからの画像とでは、データの正確性に大きな違いがあるが、それ以上に辞書を持たないなどのOCRとして持っているべきものがない(仮にあったとしても適用されていないように見える)のは致命的だ。
簡単にさくっと使うだけならいいが、OCR機能を駆使して使い込んでやろうというところまで期待してはならない。Windows 8アプリとはそういうものだと思いつつ、今回はここまで。
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