考えていたよりも早く出された、STAP細胞にかかわる理研の最終報告書。当然、時間がかかると自ら主張していたものが、早くなった理由は自らの都合に他ならない。その理由は、特定国立研究開発法人に指定されたいという国と理研の双方の思惑があり、国会開催中にけりを付けたい──何でもいいから幕引きをはかりたいからだ。
こういう思惑があるので、もはやSTAP細胞の有無などどうでもよく、小保方晴子さんの行った愚かな行為を断罪し、禊ぎをし、理研はきれいになりましたとしたい。無論、理事長以下幹部に責任などない(仕方なくのものはあるだろうが)。
こういう展開になれば、自明だが、小保方晴子さんが黙っているはずがない。組織の中でうまくわたっていこうというのであれば、黙っているという展開だろうが、これまで周りを振り回してきた自意識過剰の方であれば──しかも「悪いことなどしていない」と倫理観が欠如しているならば、反論するのは当たり前だろう。
組織 VS 個人…。よくあるパターンで、ようやく既存の大手マスメディアの出番が来たといった印象だ。STAP細胞発表時からの記者の勘違いに基づくおかしな報道はなりを潜め、社説含めて切り込み鋭く、社会正義(正義という言葉は使いたくないが常套句と言うことで)を糺すという姿勢も悪くない。最早、小保方晴子さんだけを悪者(スケープゴート)にするだけではおかしい、理研もそれ相応の罪はあるはずだ、という論調が大半で、私も得心できる。
だが、しかし。肝心のSTAP細胞はあるのかないのかという点については、何ら明らかとなっていない。あれだけ大々的に打ち上げたものをこの短期間で再検証困難とは言え、これで最終報告書とは恐れ入る。小保方晴子さんという個人が行ったというのであればともかく、理研という組織をバックに…いや組織内の人が行ったのであるのだから、理研はSTAP細胞についてはっきり結論をつけるべきだ。となれば、最終報告書はあまりに稚拙で、論文の限定された6か所だけでなく、どうしてこうなったという顛末まで含め、時間をかけ検証すべきとなる。その上で、堂々と特定国立研究開発法人の指定を受ければいい。こんなつまらないことを拙速に行って、多くのまともな研究者の足を引っ張るのはいかがなものかと感じつつ、今回はここまで。
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「STAP細胞のごたごたから想うこと…」(2014/3/14)
「事実なら… ど素人だった小保方晴子さん」(2014/3/15)
昨夜ご一緒した先輩がおっしゃっていたこと
「あんな扱いされて小保方さんかわいそう って君らは思うかもしれないが、ありゃあたいしたタマだよ。だいたい文系はいざ知らず、理工系の論文なんてものは、どんなものだって99%以上が他人の業績で、その上に独自のものが乗っかっているだけじゃないか。ニュートンだって私は巨人の肩の上に乗っただけだって言ってるだろ?本人に会ったことはないが、僕は小保方さんてのは天才系の人じゃないかって思ってるんだ。富士通のコンピューターの基礎を作った池田さんだって、勤め人としてみたらとんでもない人だったじゃないか。彼女の問題意識はSTAP細胞ができたかどうかに在って、論文を発表するとか、の形式がどうのこうのなんか興味がないんだろう。論文形式の適否と理論なり実験なりの本質的価値とは、なんの関係もない。こんな顛末では、残念ながら、日本は優秀な若き研究者を一人失うことになるんだろうね」
老いたりといえど、かつての名エンジニア。おっしゃること、さもありなんと思いましたのでご紹介させていただきます。
投稿情報: 桜上水confidential | 2014/04/03 06:56
コメントありがとうございます。
私自身理系に身を置き、末席を汚してきた者として、おっしゃるように先人の上に構築していくのは自明の理。ただ、コピペ(引用)や画像処理にしても「やりやすくなった」というのが昨今の状況で、自分自身の頭や手を使わなくなっているのは、物事を理解していく上では致命的でないかと…。
また、範囲指定→Ctrl+C→Ctrl+Vで済むのと、コピー機で紙にコピー→必要部分を切りとる→指定したところに貼りつけ→整形というのと、文献等から書き写すのとでは、同じ「コピペ」であっても頭への残り方が違います。
このあたりの感覚が旧人類(若い頃にそういった環境が前提としてあるか否かという部分での区別)では、そもそも前提として「そこにあるもの」が新人類には「まったくない」わけで、旧はそんな当たり前のことをといい、新はなぜそんな面倒なことをするのかという。
数学科の学生でさえ、微積分における計算力が弱いという評価をよく耳にするのも、そういうところなのかな、と。
投稿情報: XWIN II | 2014/04/05 08:17