何やら巷間では、あの名作「タクティクスオウガ」のリメイク?とされる『タクティクスオウガ 運命の輪』が、PSPをプラットホームとして登場するらしいという話で盛り上がっているようである。アレから15年。刻は、1995年。一年近く発売が延期され続けたアノ名作は、最初の作品にしていきなり最高峰のタクティカルシミュレーションゲームとして各方面に衝撃を与え、類似のゲームが雨後の竹の子のように現れたが、結局、これを越える作品は出ていないとされるいわく付きの作品である。
無論、当時の私も思いっきりのめり込み、セーブデータの数が少なすぎる状況から、ASCIIターボファイルの導入まで行ったばかりか、アップスキャンコンバータを通してPC用ディスプレイ経由で、それこそ昼夜兼行で味方同士を投石攻撃し続けた…。嗚呼、そうだ。思い出とは、美しいものなのである。「タクティクスオウガ」は、本編(シナリオ)の戦いやワールドマップ移動中の遭遇戦闘以上に重要で、かつ難業を強いるもの、それは味方のレベル揃え作業であった。思えば、この単調というには言葉不足でありながら、単調以上の何物でもないレベル揃えは「タクティクスオウガ」の世界では必須の作業であった。
というのは、よくありがちなRPGやシミュレーションゲームではわずか1レベルの違いはどうという問題はなく、「タクティクスオウガ」のスタッフが後年作成した「ファイナルファンタジータクティクス」でもそのようにつくられていた。だが、「タクティクスオウガ」におけるレベル1の違いは、それこそ1.5~2倍程度の強さ(感覚)に差がつくことから、わずか1とはいえバカにできないこと。それに基づいて、なのだが、レベルの違う相手を攻撃して得られる経験値は、レベルアップに必要な程度得ることができてしまい、無計画に進めていくとアタックチームのレベルにアンバランスが生まれる。しかも、敵のレベルは参戦するアタックチームの最大レベルに揃えられるため、例えば味方のアタックチームのメンバーがレベル15が1人、レベル13が4人で構成されていたとすると、敵はすべてレベル15で揃えられるため(例外有)、単なる遭遇戦闘ですら生死を賭けた最終バトルというほどに厳しい戦いを強いられる。しかも、主人公等はシナリオ戦闘では常に参戦することになるので、下手にレベルを上げすぎてしまうと他のメンバーが完全に非戦闘員扱いとなり、ごり押しすればあっさり勝てる(かもしれない)が、これではあまりにつまらなすぎる。と、まぁ語り始めると長くなってしまうが、一歩間違えば名作どころか駄作になるほど危険な香りに満ちているのだ(苦笑)。
で、つい先日。「ほぼ13年ぶりに魔装機神 THE LOAD OF ELEMENTALをプレイする」でふれたように、「タクティクスオウガ」とほぼ同時期に発売された「魔装機神」のリメイク作品をプレイしたが、これでガッカリ感を覚えたことを記しておこう。残念ながら、というか当然のごとしというべきかは賛否両論あろうが、刻の流れは当時の名作・秀作を旧態依然の作品とまで貶める危険性がある。当時は画期的と思えたゲームシステムも、数多のゲームをプレイしていくことであまりに「単調」感、「陳腐」感を味わってしまうのである。15年、という年月はそれほどまでに長い。あのFF7よりも前!ということだけでも。
そんなことを思いつつ、かつて「ファイナルファンタジータクティクス」を待った私と同じような感覚を抱く今の私があるのもまた事実である。だが、もう夢見る齢ではない。現実を直視できるほどのリメイク作品となっているのか。できはともかく、まずは購入することだけは確実だと言っておこう。
参考リンク
公式サイト
Game Watch記事「スクエニ、PSP「タクティクスオウガ 運命の輪」発売決定 オリジナル版のスタッフが再結集し再構築をテーマに制作」
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