多くの企業は、セキュリティサービスを利用しているだろう。いわゆる電脳空間でさえもセキュリティが必要な時代なのだから、現実世界でも当り前ではある。だが、このセキュリティサービス会社の個人情報管理はどうなっているのだろう? こう思わせるようなことを先日体験した。
それは、緊急連絡先の登録についてである。自宅のセキュリティサービスであれば、基本的に連絡先は家族等に限定されているため、そうそう緊急連絡先の異動はない。しかし、大企業はそうではない。頻繁に行われる人事異動に伴い、責任者は2~3年に一度は変わるのが一般的だろう。つまり、緊急連絡先の変更はその程度の頻度で行われるものである。
今回、当社でも人事異動があり、複数の事業所で緊急連絡先の異動があった。そのため、警備のところに貼ってある電話番号に連絡し、その緊急連絡先の異動について話をすることとなったのである。
だが、今回はたまたま例年それを担当している人が異動してしまったため、やむを得ず、私が行うことになった(苦笑)。要領がわからなかったので、当社の建物を担当しているセキュリティサービス会社の支社に電話を入れ、どのようにすればいいのかを単刀直入に尋ねた。すると、電話に出た担当者とおぼしき人は、FAXでデータ(緊急連絡先の人名と電話番号)を送ってもらえればいいとなり、FAX番号まで教えてもらった。
ここで素直に指示に従っていればよかったのだが、私は初心者(苦笑)のため、余計なことを聞いてしまった。「念のために伺いますが、今は誰の名前で登録されていますか?」と。
そこで出てきた答えに驚いてしまった。出てきた名前は、もう先々々代の責任者のものだったのである。それも一人だけではなく、登録している全員の名前がそうだったのだ(呆)。ただ、この時点で私は初心者だったため、そこで突っ込むことはできなかった。先々々代の責任者以来、当社がこの手続き(連絡)を怠っていたのかも?と思ったからだ。なので、担当者にこちらが詫びを入れたほどである。
しかし、他の資料を確認してみると、セキュリティサービス会社に当社から毎年、セキュリティサービス会社指定の書式でFAX送信していることが確認できた。今度は、最初に電話した支社の方ではなく、フリーダイヤルの番号の方で緊急連絡先の変更について尋ねたところ、当社から毎年送付していたと思われるFAX情報の内容が登録されていたことがわかった。つまり、セキュリティサービス会社の管理しているデータベースの内容と、当社を担当している支社の持つ緊急連絡先の情報が異なっていたのである。
このことについて、フリーダイヤルの方ではデータベースは一元管理であり、支社毎に違うことはあり得ないという。そうであれば、なぜ先々々代の責任者らの名前が出てきたのだろう。考えられるのは、支社の人間は本社のデータベースを参照しているのではなく、別の「何か」を参照しているとなるだろう。想像するに、紙台帳(ファイル)のようなものがあって、本社のデータベースを参照していないとか、あるいは個別のデータベースを構築し、管理している可能性もある。そんなことを考えていても埒はあかないので、もう一度、セキュリティサービス会社の支社に電話を入れてみた。
私に対し、先ほど電話に出た人は明らかに動揺していた。既に、本社筋からしかるべき話を聞いており、データベースも最新情報に更新されていたにもかかわらず、先々々代の責任者の名前が出てきたのはなぜか? そして、今回更新情報を支社にFAX送信した場合、逆に本社のデータベースは正しく更新されるのかどうか? 答えはまっとうなことをいうが、信用できるはずがない。もし、万が一のことがあって、この支社から緊急連絡先として登録されていた先々々代の責任者のところに連絡がされたとしても、既に定年退職しており、居所さえ掴めていない(当たり前だが)のだから、当社としては対応のしようがない。しかも、本来所持する必要のない個人情報を破棄することなく、そのまま持ち続けるというのはどういう神経をしているのかと思ってしまう。それがセキュリティサービス会社なら、なおのことだ。
このようなことは、たまたま特殊な例外的な事例なのだろうか。それとも頻繁に起こっていることだろうか。機会があれば、セキュリティサービス会社に緊急連絡先などが正しい情報となっているか。そして情報管理はきちんとなされているのか。確認してみるといいだろう。そして、これこそが法人(個人)の自己情報コントロール権の確認にもつながるのである。
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