前回は、VAIO Z21にとって辛い話を書いたが、AC電源がぶら下がっていないとダメというのは、実際辛いのだから仕方がない。今回は、前回のPower Media Dockの挙動を受けて、もう少しVAIO Z21本体とPower Media Dockとの「連携」について調べていく。
前回記事で示した簡易図を見ながら復習すると、VAIO Z21が単体でなくPower Media Dockと紐付けされている時は、電源供給がPower Media DockからVAIO Z21側に一方向に成されており、Power Media Dock内のGPU Radeon HD 6550Mが有効となっている。このため、この状態でPower Media Dockに電源が供給されなくなると、VAIO Z21は本体バッテリに電源が切り替わって動作を維持できるが、Power Media Dockはバッテリ稼働ができず(VAIO Z21側からPower Media Dock側に電源供給できない上、Power Media Dock自身は内蔵バッテリを持たないため)、GPUが強制停止してしまう。ここでGPU自動切り替えができればいいのだろうが、それがないためにハングアップしてしまうのだった。
では、VAIO Z21本体をPower Media Dockに接続したままで、Windows 7をスリープ状態に移行させたらどうなるだろうか。
挙動は予想できるように、VAIO Z21本体とPower Media Dockはスリープ状態に移行するものの、IN USEランプ(青色)が点灯状態、つまり電気的に接続が維持されたままだと確認できる。では、この状態でPower Media Dockに接続されているACコンセントを抜いてしまったらどうなるだろうか。
VAIO Z21本体は変わらずのオレンジ色光明滅、スリープモードのままだと見えるが(とはいえ、Power Media Dock側からの電源供給は絶たれたので、本体内蔵バッテリからの給電に切り替わっている)、Power Media DockはというとIN USEランプは消えてしまい、接続が切断されたことがわかる。Power Media Dockに対し、給電されなければ動作できないので切断されるのは当然であるが。
では、この状態からVAIO Z21をスリープモードから目覚めさせよう。熱いキスは不用で、キータッチなどで十分だ(苦笑)。
スリープモードから復帰すれば、VAIO Z21本体の電源ランプは緑色に輝く。適切に復帰処理がされ、Windows 7のデスクトップ画面が表示されるが──
またしてもこのウィンドウ(警告メッセージ)が登場。確かに「正しく取りはずされなかった」(スリープモード中にPower Media Dockの電源を引き抜いたのだから)のは間違いないが、今度はハングアップすることなくスリープモードから復帰でき、しかもGPU切り替えもRadeonからSandy Bridge内蔵GPUに切り替わっている。いきなり動作中にPower Media Dockの電源を抜いてしまうのと、スリープモード時に抜いてしまうのとは挙動が異なることが確認できた。
そして、この状態からPower Media DockのACコンセントを再びつなぎ、様子を見てみると──
IN USEランプが点灯、Power Media Dockにも電源投入されたことが確認でき、ディスプレイにはGPU切り替えの注意が表示。切り替えを認めると内蔵GPUからRadeonへと動的に切り替えることに成功した。
なかなか面白い挙動である。だが、考えてみれば自明の動作でもある。もう一度、今回行ったことを箇条書きで以下に列挙しよう。
- VAIO Z21をスリープ状態に移行。
- Power Media Dockの電源を引き抜く。
- VAIO Z21をスリープ状態から復帰。
- Windows 7復帰後、GPUがSandy Bridgeに既に切り替わっていることを確認。
- Power Media Dockの電源を接続。
- GPU自動(1アクション入るので半自動)切り替えが発動し、内蔵GPUからRadeonに切り替え。
この過程でハングアップなどは発生しない。では、なぜ今回の行為によってハングアップなどが発生しなかったのか。答えは、GPUが動いているか否かという点にあると見る。
つまり、スリープモードにおいてGPU(Radeon)は動作しておらず、ここでPower Media Dockが強制停止しても、GPUは動作していないわけだから問題は発生しない。そして、スリープから復帰する際は、GPU(Radeon)を探しに行くものの存在していない(電源供給されていないため存在しないのと同じ)ことから、プロセッサに一番近いGPU(内蔵)を有効にする。こうすることで、ハングアップすることなしにVAIO Z21がスリープモードより復帰できる。重要なのは、動作中にいきなり切れるのではなく、停止している状態からの「復帰」作業により、GPUを停止から動作に移行させる過程が存在することで、なくなったGPU(Radeon)の代替を探す過程が加わり、内蔵GPUを発見(走査)・有効にできるからである。
ここでハングアップする要因がなくなれば、あとの動作は難しくはない。Power Media Dockの電源を再度入れるということは、VAIO Z21本体にPower Media Dockを接続するのと同じ行為(等価)であるので、動的にGPU切り替えが発動する。これは額面どおりの動作であるので、何ら不思議なものではない。
ポイントは、GPUが生きている状態から突然死してしまうか、死んだように寝ている状態のものをなかったことにすると同時に、プロセッサが相方(GPU)を探す過程が存在することで突然死しないというわけである。つまり、Power Media Dock接続時において、GPU切り替えは動的に切り替えることはできず、静的に切り替えることのみ有効(UNLOCKボタンを押すという行為が静的切り替え)だとなるのである。
結局のところ、Power Media DockとVAIO Z21の「連携」は、電源という命綱がPower Media Dockにありながら、それをコントロールする中枢がVAIO Z21側にあるために「いきなり電源が切れる」という現象に対して、中枢が対応する前に死んでしまうことが致命的だとなる。今回、スリープモードでの検証を行った結果からもそれが裏付けられた。VAIO Z21側に電源(内蔵バッテリより供給)があれば、中枢からのコントロールは突然死しないため、対処が可能であるのだが、そうでない場合は対処のしようがない。端的に言えば、SONYのVAIO Z21開発陣は間抜けだとなるのである。
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