iPad Proを購入した。到着したのは13日金曜日(ブラックフライディ)で、昼休みにちょっと弄んだだけで、実際に自身の前環境を移行したのは14日早朝。コンテンツ量にもよるが、さすがのLightning & USB 3.0の実力発揮でギガバイト級のデータサイズでも苦もなく移行が終わる。昔日を知る者としては、データ転送だけで数時間を要していたのは一体何だったのだろうと思ってしまう。で、データやアプリ、設定の移行を一通り確認し、問題がないことを二度見直していよいよスタート。
まず、デスクトップ、もといアイコンの並ぶ画面だが、巷間言われているように基本iPad Retinaの画面解像度(2048×1536)に依存した設計となっているため、iPad Proの画面解像度(2732×2048)ではアイコンの間隔が開きすぎていて、スタイリッシュなAppleらしからぬダサさ。もっともこのあたりは、Retinaデビューの時と同様に、iPad Proに合わせた形となっていくだろうが、iOS 9が登場してそれなりに経っていることを踏まえれば、せめて「顔」の部分だけは何とかしてもよかったのではと思う。(林信行氏にかかれば、こういうのに対しても好意的勝手解釈をかますのだろうが…苦笑。)
こんな状況なので、他でも原則iPad Retinaでの表示が拡大表示されるというイメージ。コンテンツの「中身」はそれ相応になるが、インタフェース等は対ピクセル倍(拡大)されてしまうので、やたらとメニュー部分が広くなったり、中途半端にDynamic Type機能を実装しているとアイコン間隔同様、文字と文字の載っているメニュー等の「作り」が合わなくなってしまうのだ。このあたりは、固定解像度に依存する画面設計という古くて新しい問題ともいえ、要はそれぞれの画面解像度に絶対依存したものを用意するしか解決する道はない(かっこ悪くてもいいというのであれば、相対座標設定でも何とかはなる)。
「大きいiPad」と評されるのは、第一印象からしてそうだが、12.9インチの4:3パネルは大きく、私が常用しているVAIO Duo 13など、13インチ級のMobile PCの画面サイズとほとんど変わらない。むしろ、短辺のサイズはiPad Proの方が大きい(長い)ほどだ。なので、普段Windows PCで使用している文字サイズ(画面上で見る大きさ)程度まで小さくなってほしいのだが、いかんせん、先にもふれたようにiPad Retinaを大きく拡大しているだけなので、文字サイズが大きくなりすぎてしまう(笑)。確かにこれは「大きいiPad」だと評されても仕方がないところだと感ずる。お年寄りとかにはいいのかもしれない(反面重いが)。イメージ的には、iPad Proというよりは、iPad Bigだろうか。
そして、画面。iPad Air 2からガラス層(液晶パネル、タッチパネル等)が一体化されて、さらに視差が小さくなり見やすくなったが、それを踏襲している。文字等が相対的に大きくされて、アプリ等によってはややシャープ感が失われたものの、それはハードウェアの問題ではなくソフトウェア側の問題なのであり、ピクセル(ドット)あたりの密度は264ppi(pixel per inch)と同様であるため、解像度がそれなりにある写真などでは違いはない。むしろ、同レベルの写真(表示)密度であれば、画面サイズ(ピクセル数)分だけ見える領域が広がるメリットが生まれる。
とはいえ、Webブラウズ等、基本iPadに求めている作業は、画面が大きくなることのメリットは、単に文字などが大きくなるというメリットだけで、情報量を増やしたいという時には、縮小表示させるなどして疑似体験する程度にとどまる。そうなると、続いて気になるのは新聞の紙面を表示できるアプリや電子書籍(特に固定フォーマットの雑誌等)である。これは、実ピクセル数の増に見やすさが直結するはずなので、日経新聞アプリやKindleアプリを使ってみた。結論は一言。「大変素晴らしい!」である。
iPad Proは、概ね新聞紙面の4分の1ほど(紙面二つ折り程度)の画面面積なので、昨今の文字サイズが大きくなっている紙面においては、株式市況の細かい数字を除けば、私的にまったく一面表示で問題なく読むことができる。さすがにiPad Air 2の9.7インチでは、見出し・小見出しは問題ないが、記事内容を読むには辛かった(読めなくはないし、文字の判別はできるが)。それが、特段のアシストなしで読み流すことができるのは大きなメリットだ。また、週刊東洋経済等の雑誌では、ほとんど雑誌そのものと大きさが変わらないため、余計な操作なしで問題なく読める。それどころか、2ページ(見開き)表示にして横向きにすることも問題ない(それでも新聞紙面アプリにおける一面表示より楽)。ほぼA4サイズのiPad Proの真骨頂の一つは、ここにあるだろうと実感できる。
また、いわゆるスキャナ取り込みPDF(電子書籍)は、それなりの高解像度(密度)になると表示そのものが重くなり、PCにおいても一昔前のCPU内蔵GPUでは表示速度が遅く(追随できず)、iPad Air 2では10MB級の画像PDFを表示するのも困難だった(遅延だけでなくアプリ強制終了もよくある。もっともそんな仕事をさせる方が間違っているわけだが…)。だが、iPad Proはまったくそんな素振りは見せない。1ページ10MB超の画像PDFも、画面表示はほぼ一瞬で、微細なところが表れてくる時間も5秒程度(内容によるが、地図のように細かいものでもその程度)。スクロールも問題はない(標準的なPCと同等あるいはそれ以上)。こういうところで、メインメモリ4GBと強化されたGPUの能力を感じることができる。
なので、ちょっとした重い電子書籍など、何の引っかかりもなくサクサクとページめくりができるのだ。それも、きちんと内容を表示して。ここまで体験して、漸く「iPad Big」という印象から「iPad Pro」へと印象が変わる。
さて、とりあえず今回はこの辺にしておこう。愉しみにしていたApple PencilやSmart Keyboardは、まだ届く気配すらない。それらが到着して、真のiPad Proとして語ることができるのだろうが、どちらにしてもまだまだ2~3時間程度では語ることは多くない。今後も気付いた点などは、こんな感じでふれていくとしつつ、今回はここまで。
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