FIFAワールドカップブラジル大会の一次リーグ予選も、各チーム残り1試合ずつとなった。どこが勝ち上がっていくのか。勝手に展望といってみよう。
グループAは、カメルーンの敗退が決まった以外は、まだ決勝トーナメント進出が決まっているチームはない。現在首位のブラジルは、敗退の決まったカメルーンとの試合が残るのみであり、余程のことが起こらない限りは決勝トーナメント進出確定に最も近い。その余程のこととは、次の二つのケースである。
- メキシコとクロアチアが引分けて、ブラジルがカメルーンに敗北する。例えば、メキシコ0-0クロアチア、カメルーン1-0ブラジル。
- クロアチアがメキシコに勝ち、ブラジルがカメルーンに「クロアチアとメキシコの得失点差+2点」差以上をつけられて敗北する。例えば、クロアチア1-0メキシコ、カメルーン3-0ブラジル。
順当なら、ブラジルとメキシコが勝利するだろうから、この両方が崩れるときにまさかが起こるというわけである。
グループBは、オランダとチリが2勝をあげたことで決勝トーナメント進出は確定した。スペインの敗退は驚かされたが、実際に試合を見ていれば意外でも何でもなかった。オランダ戦のショックを引きずったことがあったにしても、しっかり対策をとってきた方が勝利するという当たり前の結果ともいえる。
グループCは、2勝のコロンビアが決勝トーナメント進出を決めているが、残る1枠を目指して3チームが競う。優位なのはコートジボワールであるが、ギリシャとの直接対決で2点差をつけられて敗北を喫すると予選敗退となってしまう。裏を返せば、ギリシャは2点差をつけて勝つために積極的な攻撃を仕掛けてくるだろう。欧州のチームだけに侮れない実力を持っているので、コートジボワールとしてはまずは先制点だろう。
一方のコロンビア対日本は、必死な日本に対して緩いコロンビアと興味深い対戦となりそうだ。コートジボワールとギリシャが決勝トーナメント進出を賭けて戦っているのを、鳶に油揚げをさらわれるかのように日本が分捕るには、次のようなわずかな可能性を当てにするしかない。
- ギリシャがコートジボワールに1点差で勝ち、日本がコロンビアに1点差以上で勝つ。例えば、ギリシャ1-0コートジボワール、日本1-0コロンビア。
- コートジボワールとギリシャが引分け、日本がコロンビアに2点差以上で勝つ。例えば、ギリシャ0-0コートジボワール、日本2-0コロンビア。
ただし、ギリシャが3点差以上で勝った場合は、日本はコロンビアに2点以上とって勝たなければならなくなる(点差は問わない)。つまり、日本が決勝トーナメント進出確定とするには、絶対にコロンビアに勝つことに加え、ギリシャが最低でも引分け、さらには大きく点差をつけないでコートジボワールに勝ってもらわなければならない。何とも他力本願ではないか。
グループDは、コスタリカが決勝トーナメント進出とイングランドの予選敗退が確定した。残る枠をイタリアとウルグアイが直接対決で決めることになるという、何ともわかりやすい展開だ。得失点差でイタリアがリードしており、引分けでもいいのだが、こういう時ほど引き分け狙いはうまくいかないもの。大変面白い試合となりそうである。
グループEは、フランスが決勝トーナメント進出とホンジュラスの予選敗退が確定した。残る1枠をエクアドルとスイスが狙うが、直接対決は既に終わっている。得失点差で優位に立つエクアドルはフランスと、スイスはホンジュラスとの対戦が残っており、どちらが決勝トーナメント進出を決めるかは何とも言えない。フランスがエクアドルとどう戦うのかがすべてを決めるといったところか。
グループFは、アルゼンチンが決勝トーナメント進出とボスニア・ヘルツェゴビナの予選敗退が確定した。残る1枠を勝ち点4のナイジェリアと勝ち点1のイランが狙う、ということからわかるようにナイジェリアが圧倒的に優位に立つ。直接対決は終わっており、ナイジェリアはアルゼンチンと、イランはボスニア・ヘルツェゴビナとの対戦であり、勝ち点の差はあまり関係がないようにも思える。が、しかし、やっぱり勝ち点の差は大きいと見るべきか。
グループGは、唯一決勝トーナメント進出及び予選敗退が確定していない。しかも、きれいに勝ち点4と勝ち点1の2グループに分れており、さらには残された直接対決が勝ち点4同士と勝ち点1同士。得失点差からポルトガルは相当厳しいが、もしポルトガルが決勝トーナメント進出が確定するには、どうなればいいのか。
- ドイツがアメリカに3点差をつけて勝利し、ポルトガルがガーナに3点差をつけて勝利する。例えば、ドイツ3-0アメリカ、ポルトガル3-0ガーナ。
得失点差を考慮に入れれば、アメリカにドイツが敗れるとなると合計8点差、逆転するには合計9点差を必要とするので、アメリカに敗れてもらう必要がある。その上で合計5得点差をうめることが求められるので、ポルトガル自身はもちろん、ドイツにも頑張ってもらう必要がある。日本の決勝トーナメント進出もきついが、ポルトガルを思えば大したことはないように見える。
グループHは、ベルギーが決勝トーナメント進出が確定した。残る1枠を勝ち点3のアルジェリアと勝ち点1のロシアと韓国が狙う。優位に立つのは勝ち点3のアルジェリアだが、対するロシアも直接対決を制すれば勝ち点4で逆転となり、予断を許せない。韓国はベルギーとの対決で、どれだけ相手が手を抜いてくれるかにかかっているが、アルジェリアがロシアに勝てば目がなくなることから、やはり他力本願といえる。
といった感じで、残り1試合は同一グループの試合は同じ時間帯で行われる(異なるように見えるのは時差の関係)。互いの駆け引きも面白いところで、直接対決で決まらないグループA、グループC、グループE、グループF、グループG、グループHは、最後の最後まで目を離せない展開となるだろう。今週はますます寝不足となりそうだとしつつ、今回はここまで。
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