半年ほど前に「再び、いや何度か目の微積分学習」という記事を書いたが、この記事のコメント欄で京都大学学術出版会の「微積分学講義」(著者:Howard Anton, Irl Bivens, Stephen Davis。監訳:西田吾郎。訳者:井川満、畑政義、森脇淳)をお勧めいただいた。そのときは、下巻がまだ出版されておらず、上巻と中巻だけだったので購入を見送った。どうせなら、すべて揃ってからの方がいいだろうということ、また既に購入していた本で復習してからにしようということからである。
あれから半年。下巻も登場したことで、上中下と3冊を合わせて購入。ちょっと見た感じでしかないが、こんなことなら最初からこれにしておけばよかったと、多少の悔いを生ずることとなった(苦笑)。
とはいえ、3分冊されているだけあって合計すると軽く1,000ページを超えるが、例によって原著は1冊。邦訳版は第7版をベースにしているが、原著は早くも第10版を数える。3~4年に一度改版されていることから、来年か再来年には第11版が出ることだろう。邦訳によって古くなる、そして分冊されるのが嫌な私だが、2色刷とフルカラーの違いは認めつつ、原著よりも安価な販売価格の設定(北米では本が定価販売でないため一概には言えないが)というところはありがたいものである。本書の構成は、
- 第1章 関数
- 第2章 極限と連続性
- 第3章 微分
- 第4章 導関数を用いてグラフを描くことおよび他の応用
- 第5章 積分法
- 第6章 定積分の,幾何学,科学,および工学における応用
- 第7章 指数関数,対数関数,逆三角関数
- 第8章 積分計算の原理
- 第9章 微分方程式による数学的モデル化
- 第10章 無限級数
- 第11章 微積分学における解析幾何学
- 第12章 3次元空間とベクトル
- 第13章 ベクトル値関数
- 第14章 偏導関数
- 第15章 多重積分
- 第16章 ベクトル解析
となっており、いずれも大学で数学を専攻すれば見慣れたタイトルであるが、上巻が第1~4章、中巻が第5~10章、下巻が第11~16章となっており、各章平均70~80ページはある。密度は濃く、実生活上の問題を扱うなど、我が国の数学の教科書とは大違いだ。そして問題数も多く、この問題に取り組むだけで、ゆとり教育に飼い慣らされた諸君には理系専攻学生でも厳しいだろう。無論、大学をはるか前に卒業した私にとっては、時間もそこまであるものではないので、まともに余暇時間をすべてあてたとしても、一年や二年では終わりそうにない。
しかし、いい教科書であることは確かである。さすがに上巻は簡単な(ように見える)ので、さっさと終わらせ中巻から本腰を入れていこうと気合いを入れつつ、今回はここまで。
最近のコメント