前回は、池上線についてのみ見てきたが、今回はそれに続いて大井町線を見ていく。ただし、図表では大井町線という表記はなく、目蒲線の一部としてなされている(前回記事を参照)。では、大井町線部分を拡大して示そう。
全15駅であるのは現在も変わらない。ただし、池上線との接続駅はまだなく、将来旗の台駅となる東洗足駅のほか、終点の二子玉川駅はこの当時は二子読売園駅であり、緑が丘駅と自由が丘駅も「が」表記以前の「ヶ」表記となっている点が現在と異なっているところである。グラフの見方は前回と同じだが、ここでもう一度示しておくと、下が上り(二子読売園→大井町)で上が下り(大井町→二子読売園)を表し、黒い棒が乗車人数、灰色の棒(黒い棒の右隣)が降車人数を表す。そして、白い太い棒は駅間の昭和16年度の一日平均乗車人数を表す(点線は昭和15年度の値)し、点線の間隔は5,000人単位である。
この当時、二子読売園駅は玉川線、自由ヶ丘駅は東横線、大岡山駅は目蒲線と接続していたが、ほとんど大井町駅まで単調増であり、他線との乗り換えはそれなりにあるものの、大井町駅に向かうに従って乗客が増加している(下りでいえば二子読売園に向かうに従って乗客が減少する)ことが確認できる。池上線では、五反田方面と蒲田方面の両端で需要が大きかったが、大井町線はそうでないことがわかる。このことは、乗車客数が二子読売園駅から終点の一つ前の下神明駅になって、ようやく降車客数が逆転することからも明らかだろう。つまり、一方的に乗車客数が増え続けるという流れである。
そして、各駅毎の乗降客数を見れば、ここでも荏原区の圧倒的強さが目に付く。起終点を除けば、中延駅と荏原町駅、戸越公園駅はいずれも荏原区に所属している。だが、興味深いのは荏原区に属する東洗足駅で、この駅に近い池上線の旗ヶ岡駅の乗降客数に比べるとはるかに少ない。大井町線の各駅と比較しても、あの北千束駅とほぼ変わらないというところからして不可思議な結果である。駅間の乗車人数を見てもグラフに間違いはなさそうなので、東洗足駅の人気のなさ(特に旗ヶ岡駅と比べて)については今後の課題としたい。
といったところで、今回はここまで。
東洗足の人気の無さは、多少目黒乗り換えの山手線経由で多少通勤通学距離が長くなっても目蒲線の洗足駅の定期券の方が格好が良いという風潮がありましたので、それが影響しているのかもしれません。
投稿情報: 木造院電車両マニア | 2012/10/22 22:24