我が国だけの原発関連の報道や発表を見ていると、まるでリビアの首都トリポリにいるような錯覚を覚える。カダフィ政権は安泰で、アルカイダと欧米が手を組んで反乱軍を指揮している。この危機に国民は立ち上がるべきだ!と。だが、我が国を始めとして世界各国の報道を見れば、そうでないことは明らかだ。
昨日、東京電力及び政府は「高レベル」放射性物質に汚染された水を海に1万トン以上を不法投棄するとしたが、公式発表を含め、一様にこれを「低レベル」としている(そもそも不法投棄自体が国際法に引っかかりそうだが)。だが、規制基準の100倍以上の濃度でありながら「低レベル」と主張する理由がわからない(比較対象を10万倍とすれば低いには違いないが、そもそも何を対象にすべきかは論を待たない)。近いうちに国民向けの飲食類についても、海にばらまいても影響はないとわかったので規制値を100倍ほど引き上げます、なんてことが起こりうるのではと思う。そう、カダフィは無敵なのだ、と(苦笑)。
言うまでもなく、このような重大決定に東京電力だけがかかわっているわけではない。内閣(官邸)や経産省の原発関係の御用学者が仕切る委員会などは他人事を決め込んだ態度でいるが、何のために東京電力と一体化した組織を立ち上げたのか。危機に対して内部で足の引っ張り合いを続けている様は、滅亡する組織の有り体と同じである。今後、ますます必要な情報は公開されなくなるだろう。カダフィ周辺の側近たちが国外(政権外)に逃亡しているのと何が違うだろうか。
公開されないと言えば、我が国の気象庁が予測している放射性物質拡散シミュレーション(これは世界的に義務づけられているので我が国だけの都合で行っているものではない)も先頃、ようやく官房長官が公開されるべき情報だとコメントしたが、現時点(日本時間5日午前7時)で公開されていない(2011年4月6日午前追記:ようやく公開されました。参考記事「ようやく公開された 気象庁の放射性物質拡散予測資料」)。英国、フランス、ドイツ、ノルウェー等など、各国は公開しているのに、肝心の放射性物質垂れ流しのお膝元の我が国で公開されないのは、国民に対してはもとより世界の人たちに対しても背信行為だろう。これは気象庁単独の判断でないことは、尖閣ビデオを非公開扱いしたことからも自明なように政府の判断が働いているのは言うまでもない。このインターネット全盛の時代に、戦前のような(インターネット夜明け前のような)情報統制を敷くことが求められているはずがない。
(C)DWD
これはドイツDWDの予測。
(C)NILU
これはノルウェー気象庁の予測。これら予測よりも、より確実な予測ができるのが我が国気象庁だと思うのだが…。
このような情報非公開はもとより、場当たり的な漏水対策(高分子ポリマーを採用するといったが、真水用のものを使うなどド素人的対応)など、我が国政府(=東京電力)の対応は目に余るものがある。これをすべて東京電力のせいにしようという態度も気に入らない。非常時に批判はよくないとか、政党の大連立が模索される中、妙な方向に進まないようにするには、まずは正確で的確な情報提供が国民になされなければならないと感ずる。今、求められているのは大政翼賛なのか、と。「大連立=大政翼賛」的なことを本気で考えるなら、統一地方選という茶番をやめた方がいいとさえ思う。
いつも以上にまとまりはないが、今回はここまで。
100倍というのは排出基準比
10万倍は一次冷却水比
とてつもないごまかし
で、今日ようやっと実測値が出ましたが、
排出基準の1億倍だとかなんとか
これが数分で出る分と1万トンの汚染水が同じくらいという…
そらこれに比べりゃ誤差レベルの低レベルですよ
ええ(涙)
投稿情報: AtoY | 2011/04/05 22:15