大地震の被害とは別の話題となりつつある福島第一原発の放射線漏れ事故。その状況は最初から悪化していた(致命的であった)とは思うが、初動が今ひとつだったためか、明らかになるまでには過程があった(非常に長い時間がかかった)。放射線量についても、ただちに健康に影響はないといいつつ、比較対象を健康診断等で行う放射線撮影との被曝量で示している点からしてイカサマっぽく映る。理由は自明で、わずかな時間だけ放射線を浴びるもの(健康診断等)と常時放射状態にある放射線を浴び続けるものとでは、単純比較できないからである(測定単位に時間を含んでいるのだから言わずもがな)。にもかかわらず、互いの線量を比較して安全だと繰り返すのは、かつての大本営発表を思わせる。諸外国から情報開示が足りないとされるのも、そういった理路整然とした説明・発表がなく、不信感を募らせているからだ。
こういう有事の際、どうあるべきか。私は企業人であるので、危機的状況に対応するレベルは圧倒的に異なるが、社の危機的状況にどう対応すべきかといえば、以下の点を強調したい。
- 肩書きで仕事をするときではない。英知を結集する。
- できる人がやる。責任だけ肩書きを持つ人がとる。
- 結集した英知は、迅速に行動に移す。ただし、専門家(エキスパート)が。
いっちゃあ悪いが、今の我が国の状況は企業に例えれば、何の知識も持ち合わせていない個人の筆頭大株主が、プロの経営陣、現場の声を聞かず(あるいは聞いても理解できない、誤解しかできない)、自身が株主で会社の所有者だとばかりにやりたい放題をしているようなものだ。これでは有効な策が打てないばかりか、下手をすれば沈没してしまう。政治主導とは言うが、ド素人が主導するものほどこわいものはない。政治屋は通常ですらまともな知識を持ち合わせていないのだから、このような有事の際はプロに任せるべきである。そして、監督し責任だけを負う(現場に押しつけない)。これでいいではないか。
先日CTの撮影を受けた際に、技術者に放射線量のことを聞きましたが、技術者は撮影しないで的確な診断が下せないで死ぬ確立が何百倍か高いですよと言われ、危険を顧みず職場で働いておられる方に対して失礼な質問をしたと深く反省しております。中途半端な知識が危険きわまりないことは歴史の事実が示しています。
投稿情報: 木造院電車両マニア | 2011/03/19 11:10