──と、スイス連邦政府は暫定的ながら事故原因を特定したとのことである。以前にもご紹介した「SCHWEIZER FERNSEHEN TAGESSCHAU」の記事「Unglücks-Lokführer wird nie mehr Glacier-Express führen」によれば、調査責任者Walter Kobelt氏のコメントとして、氷河特急(Glacier Expressを直訳すると急行としか読めないような気がするが、主流が特急表記なので大勢に迎合し、今回も特急表記とする)運転士による速度超過(35km/h制限区間から55km/h制限区間に切り替わる手前約200メートル付近から56km/hで走行)だという。
実際、電車の運転経験がないので何とも言いようがないが、これだけの曲線と起伏のある中、等速度運動ならまだしも加速しつつ速度超過を犯してしまったのだとしたら、そりゃ脱線するだろうと予想はつく。
今回の事故は先頭車両が無事であり、運転手はもちろん各種センサ・レコーダの類がそのまま生き残っていることもあって、比較的早期に運転状況の把握ができたとしても、事故から一週間程度でここまでこぎ着けたのだから、さすが鉄道大国だと思う。運転再開の決断の早さも、我が国のようななさけないヒステリックな対応とは違って、一定の規則に則り問題がないとなればすぐに結論を下すことができるのは、国民性の違いだけでなく様々な理由が背景にあるにしても、見習うべき点は多いように思う。
それにしても──。運転ミスによる事故となれば、再発防止策と言っても手法は限られているわけで、人の行うことなのだから絶対などもない。要は適正なリスク回避以上のものを求めないという態度でいくしかないのだ。
タコメーターの解析で分かったのだろうと思いますが、ブレーカーが作動する寸前迄電圧を急激に上げたのでしょう。次の調査報告が待たれます。
投稿情報: 木造院電車両マニア | 2010/07/31 09:08
タコメーターの解析で分かる程度ことを発表するのに一週間程度とは、遅いと感じます。単にデータを見ればわかることなので、実作業としては数時間もあれば速度データは入手出来ていたと思われます。 また、56km/hまで加速するのにはどのくらいの時間がかかるのでしょうか、56km/hまで加速する時間を含めれば「手前約200メートル」よりも、はるか手前から35km/h制限を超えて運転していたと考えるべきと思われます。本当に「運転ミスによる」のでしょうか、制限速度を超えて運転すると警報が鳴ったり、自動ブレーキが掛かる仕組みはこの国の電車には無いのでしょうか。また、抜き打ちでタコメーターの解析を行い、適正な運転がなされているか、などの社員管理はされていなかったのでしょうか。
投稿情報: 富 | 2010/08/10 18:35
コメントありがとうございます。
たかが一週間、されど一週間。
仰せの通り、結果論からすれば「タコメータ解析」にしては時間がかかりすぎですが、様々な要因を分析し、シロとされた要因を排除した(判定した)結果が「タコメータ解析」であれば、ある程度の時間がかかるのもやむを得ないとは思います。
無論、急にスピードを上げたにしても短距離では無理であるので、かなり手前からだったからか、もともとスピードをあげていたのか。もうニュースにならないのでそれらを知るにはドイツ語で書かれた事故報告書を読むしかないかもしれません…。
投稿情報: XWIN II | 2010/08/10 19:55
コメント有り難う御座います、
日本の新聞にも専門家の意見として性急なキャッチアップが脱線の原因であるとの結論は拙速過ぎではないかと危惧しています。事故報告書は現地のローカル紙にしか(たぶんBRIG)掲載されないので日本の一般紙で読めるかどうかわかりません。
投稿情報: 木造院電車両マニア | 2010/08/12 09:45