その中の一つが「○○橋」を「はし」と読ませるのか「ばし」と読ませるのか等と言った読み方、読ませ方の問題である。これは地名などでも、例えば「秋葉原」を「あきはばら」と読ませたのは駅名によるが、元は「あきばがはら」であったので「あきばはら」が正しいという見解があったり、かつての小田急の駅名である「大秦野」を「おおはたの」としていたものが、地元では「秦野」を「はだの」と読むと言うことでこれに合わせたとか、また東京中野区等の「江古田」は「えごた」が本来の読み方だが、駅名が「えこだ」と読ませてしまったため、すっかりどちらが本当なのか(どちらも正解。町名としては「えごた」、駅名としては「えこだ」。なお、近年開業した都営大江戸線の「新江古田」駅は町名に合わせて「しんえごた」と読む)等々、気になって仕方がない人には気になるが、一般的にはどちらだっていいだろう。ただ、どうしても駅名の読み方が一般化してしまうのは、戦前よりも昔より駅名標には仮名表記がされていたことや、鉄道が交通機関であるが故に普及しやすいということだろう。
で、今回はその一例として、東京品川区は大井町駅近くにある「ゼームス坂」を採り上げよう。ここまで読み進めていただければ察しのように、「ゼームス坂」(そもそもJamesの仮名表記がジェームズ、ジェームス、ジェイムス、ゼームズ等多数有)は「坂」を「さか」と読ませるのか「ざか」と読ませるのか、という問題である。
まずは、バス停留所から見てみよう。ということで、東急バスの「ゼームス坂上」停留所である。「James」じゃなくてローマ字表記なのがいまいちだが、肝心の「坂上」の方はというと、「SAKAUE」(さかうえ)とあるので濁音なしである。
一方、この通り名は品川区が独自に「ゼームス坂通り」と命名している。これを見ると「James」ではなくバス停留所名と同じくローマ字表記と統一が取れているが、「坂」の方は「zaka dori」(ざかどおり)とあるので濁音ありとなる。
「ゼームス坂」の下に付くものが異なるから「坂」を「さか」と読んだり「ざか」と読んだりする、ということではないだろう。「ゼームス坂」を「ぜーむすさか」と読むか「ぜーむすざか」と読むかという違いである。なお、今回は写真を取り損ねてしまったが、坂名の由来柱には「ZAKA」とあるので、公的には「ざか」と読ませるのだろう。鉄道の駅名やバス停留所名と異なる、いわゆる現地読みと異なる一つの例がここにもある。ま、それだけのことを確認しつつ、今回はここまで。
赤坂は母音調和の関係かも知れません。他方仙台坂、芋荒い坂、イ音の後は濁るようです。ゼームズ坂は私の年代では濁らないと違和感があります。英語の発音も時代とともに日本語化されるのでしょうか。
投稿情報: 木造院電車両マニア | 2010/06/06 10:48