2か月程前に頂戴したリクエストにおこたえして、今回から池上電気鉄道（現 東京急行電鉄）の旗ヶ岡駅（現 旗の台駅に併合）の歴史について語っていきたいと思う。このシリーズは、これまでの慶大グラウンド前駅（現 千鳥町駅）、雪ヶ谷駅（現 雪が谷大塚駅）、桐ヶ谷駅（現 大崎広小路駅～戸越銀座駅間にあり廃止）と同じく、池上電気鉄道の駅の歴史について、できる限り既存の文献を鵜呑みすることなく、現場と資料に基づいて記していくつもりである。もちろん、書く以上は自論も交えていくが、その取捨選択は読者の皆様にお任せしたい。では、早速始めていこう。
旗ヶ岡駅のプロフィールは以下のとおりで、おそらく争いはないだろう。
続いて、旗ヶ岡駅の駅名について。これも多くの文献では最寄りの「旗ヶ岡八幡」あるいは、旗ヶ岡八幡の旗ヶ岡の故事（11世紀前半、源頼信が平忠常追討の際、当地で旗揚げをして祠に戦勝を祈願し、成就したことに基づく）に由来するとされているが、これを覆す有力なものはないので「旗ヶ岡八幡」に由来するとして問題はないだろう。だが、旗ヶ岡を地名とする見解については、旗ヶ岡八幡周辺を俗称的に呼ぶことはあっても、いわゆる公式の地名として存在したことは明治以降一度もない。例によって、いい加減な記述の多い日本語版Wikipediaでは「地名も荏原郡荏原町大字中延字旗ヶ岡で、池上電気鉄道開業時に設置された駅も「旗ヶ岡駅」だった」（2009年11月1日確認。下行の「駅名の由来」を参照）とあるが、旗ヶ岡駅の存在した所も旗ヶ岡八幡の存在する所も「荏原郡荏原町大字中延字四段田」であり、類似の字名（地名）としても現旗の台駅がある辺りを「荏原郡荏原町大字中延字旗ノ台」とするものがあるだけで、荏原郡荏原町大字中延の字に「旗ヶ岡」というものは明治以降（中延村あるいは平塚村以降）までさかのぼっても存在しない。つまり、誤りである。
（なお、大字名、小字名が地名のすべてとは言い難い側面があるのは事実だが、旗ヶ岡を大字に属する字と表記するのは誤りであると強調しておく。）
旗ヶ岡駅のプロフィールは以下のとおりで、おそらく争いはないだろう。
- 1927年（昭和2年）8月28日 池上電鉄により、雪ヶ谷駅～桐ヶ谷駅が延伸開業し、途中駅の一つとして旗ヶ岡駅が開業。
- 1934年（昭和9年）10月1日 目黒蒲田電鉄が池上電鉄を吸収合併し、目黒蒲田電鉄の池上線の駅となる。
- 1951年（昭和26年）5月1日 大井町線の旗の台駅（旧名 東洗足駅）に統合。
続いて、旗ヶ岡駅の駅名について。これも多くの文献では最寄りの「旗ヶ岡八幡」あるいは、旗ヶ岡八幡の旗ヶ岡の故事（11世紀前半、源頼信が平忠常追討の際、当地で旗揚げをして祠に戦勝を祈願し、成就したことに基づく）に由来するとされているが、これを覆す有力なものはないので「旗ヶ岡八幡」に由来するとして問題はないだろう。だが、旗ヶ岡を地名とする見解については、旗ヶ岡八幡周辺を俗称的に呼ぶことはあっても、いわゆる公式の地名として存在したことは明治以降一度もない。例によって、いい加減な記述の多い日本語版Wikipediaでは「地名も荏原郡荏原町大字中延字旗ヶ岡で、池上電気鉄道開業時に設置された駅も「旗ヶ岡駅」だった」（2009年11月1日確認。下行の「駅名の由来」を参照）とあるが、旗ヶ岡駅の存在した所も旗ヶ岡八幡の存在する所も「荏原郡荏原町大字中延字四段田」であり、類似の字名（地名）としても現旗の台駅がある辺りを「荏原郡荏原町大字中延字旗ノ台」とするものがあるだけで、荏原郡荏原町大字中延の字に「旗ヶ岡」というものは明治以降（中延村あるいは平塚村以降）までさかのぼっても存在しない。つまり、誤りである。
（なお、大字名、小字名が地名のすべてとは言い難い側面があるのは事実だが、旗ヶ岡を大字に属する字と表記するのは誤りであると強調しておく。）
旗ヶ岡という駅名は、既に名が失われてから60年近く経過しているものの、意外にと言っては失礼だが、旗ヶ岡という名前は旧旗ヶ岡駅周辺にかなり残っている。旧旗ヶ岡駅前から続く道路では、旗が岡商店街と名乗っているし（上写真参照）、最寄りの昭和大学の学祭名は旗ヶ岡祭という。旗の台よりも目立たないのはやむを得ないが、由来となる旗ヶ岡八幡は東急大井町線荏原町駅が最寄りであるので、駅名由来の旗ヶ岡が旧旗ヶ岡駅周辺に残っていることは、それだけで素晴らしいことだと思うのだ。
といったところで、今回はここまで。
わぁ～待望の「旗ヶ岡駅」シリーズ始まりました。
ありがとうございます！続きを楽しみに待っています。
つい先日、この場所に行って、私も写真を撮ってきました。
子育観音があるんですよねぇ～妙なところにあると思ったら、ほぼこの駅と同時につくられて、これは移転できないというか、しなかったようで、まるでマンションの一画に、無理無理残されているって感じでした。
なお、「回想の東京急行２」の巻末に「旗ヶ岡駅の写真は未発見」とありますが、この写真は、「昭和大学５０年記念写真集」に、入り口の写真２枚、プラットホームの写真、周辺の商店街の写真があります。ただ写りが悪いのが残念なのですが。
投稿情報: りっこ | 2009/11/05 19:56
りっこ様、コメントありがとうございます。
「昭和大学５０年記念写真集」。なるほど、私も確認してみます。
旗ヶ岡駅関連の資料はそれなりに集めてありますが、写真ほど有用な資料はないので、今から見るのが楽しみです。
なお、その2は今週末に執筆予定としております。
今後とも、よろしくお願いいたします。
投稿情報: XWIN II | 2009/11/06 07:05
すみません。
「子育地蔵」の間違いでした。訂正させていただきます。
なお、「昭和大学５０年記念写真集」は、京急新馬場の品川区立図書館に所蔵されております。（ご存じかなと思いつつ……）
このシリーズ、今週末にまた読めるんですね。楽しみにしております。
投稿情報: りっこ | 2009/11/06 17:50
りっこ様、コメント＆情報ありがとうございます。
品川区立図書館は、なかなか行く機会がありませんが、何とか確認してみたいと思います。昭和大学の方が近いんですが、一般人は入れないだろうし。
投稿情報: XWIN II | 2009/11/12 20:13
おはようございます。旗ヶ岡シリーズ、本当に楽しみです。わくわくしながら読んでおります。
昭和大学は、昭和大学５０年記念館（という名前だったと思います）は、一般の人でも入れます。結構いろいろ資料があり、おもしろかったのですが、上記の写真集は、ちょっと見当たりませんでした。あったのかもしれません。当時の航空写真があり、興味深かったです。
投稿情報: りっこ | 2009/11/13 07:49
りっこ様、コメントありがとうございます。
昭和大学50年記念館、旗の台駅をおりてすぐですね。戦前の航空写真（戦後のものは米軍の空撮があるので珍しくないですが）は珍重物なので、見てみたいものです。どうやら、土曜日はあいているようなので、近いうちに行ってみるつもりです。情報ありがとうございました。
投稿情報: XWIN II | 2009/11/18 07:16