Microsoft社がWindows Vistaの轍を踏まないよう、必死になっているWindows 7のプロモーション。いわゆる0.1バージョンアップの目標は、Windows 3.0におけるWindows 3.1、Windows 95におけるWindows 98(Windows 98SEが完成形だが)と同じく機能追加よりもブラッシュアップが中心となっている(意図的に、Windows 2000とWindows XPは入れていない。当時を覚えている方には言うまでもないだろうが…)。
よって、Windows 7(バージョン6.1)がWindows Vista(バージョン6.0)よりも速くなっているのは当然であるが、これだけでは不十分ということで、ついに「Windows 7はWindows XPよりも速い」というパフォーマンスデータを提示するようになった。
起動時間
29.19秒 Windows 7
32.93秒 Windows XP
40.17秒 Windows Vista
シャットダウン
11.19秒 Windows 7
12.17秒 Windows Vista
14.32秒 Windows XP
ファイル(100MB)をサーバからコピー
9.52秒 Windows Vista
9.56秒 Windows 7
11.00秒 Windows XP
大きなファイル(100ページのPDF)を開く時間
0.24秒 Windows 7
0.42秒 Windows Vista
0.44秒 Windows XP
マイクロソフト謹製のベンチマークテスト公表内容によれば、4つのうち3つが1位となっているのがWindows 7で、残り1つがWindows Vista。一方、4つのうち3つが最下位となっているWindows XP、残る1つがWindows Vistaとなっている。内容はともかく、ここにMicrosoft社の言い分が込められているのがわかる。これまでMicrosoft社が長年の間喧伝してきた「Windows XPよりWindows Vistaは優れている」という主張はそのままに、そのWindows Vistaを超えるのがWindows 7であると読み取れるようになっている。また、Windows VistaがWindows XPよりも一部劣るところでさえ、Windows 7はWindows XPよりも速くなっているという主張も忘れていない。ただ、Windows 7が何もかも1位になるとやらせっぽくなるので、わずかの差ではあるがWindows Vistaに負ける部分も用意しておこうという、ベンチマークと言うよりは「営業」そのものなのである。つまり、Intel社やAMD社の新マイクロプロセッサのベンチマークよろしく、都合のいいものを寄せ集めて「演出」しているに過ぎない。
なので、このベンチマークテスト結果に対して、あれこれ言うこと自体が意味を成さないが、あえて一つ言うとするなら、計測PCのスペックが「Core2 Duo 2.4GHz、メモリ2GB」と示されている点だろうか。Windows XPは7年半以上も前のOSであるので、要求ハードウェアも次のようなものだった。
- 300MHz以上のx86(Pentium) 互換プロセッサ(600MHz以上のPentium III及びAthlon、700MHz以上のCeleron及びDuron推奨)
- 128MB以上のRAM(256MB以上推奨)
最低と推奨を掲げたが、これからもわかるようにWindows XPにとっては「Core2 Duo 2.4GHz、メモリ2GB」というのはオーバスペックである。また、データは掲げられていないから推測でしかないが、Core2 Duo搭載ということはチップセットもそれなりのものが搭載されているはずで、2001年頃の標準的なPCのチップセット(440BX、i815、i845等々)を思い起こせば、周辺機器もデータ転送速度等も隔世の感があるほどに差がついている。つまり、Windows XPは最新ハードウェアで動作させるには、ハードウェアの性能を引き出してそれを効率的・効果的に利活用するには、あまり向いていないというわけである。
では逆に、Windows XPの要求ハードウェアでWindows 7を動作させたらどうなるだろうか。Windows 7 RCの要求するハードウェアは、
- 1GHz以上のx86(32-bit)かx64(64-bit)プロセッサ
- 1GB(32-bit)か2GB(64-bit)以上のRAM
なので、この時点でWindows XPにとっては既にオーバスペックである(苦笑)。製品版では、もっと軽いエディションが出るだろうからハードウェア要件はもう少し引き下げられると思うが、そうなってこそようやく同じ土俵でWindows XPが勝負できるというものだろう。マイクロソフト謹製ベンチマークでは、自転車と自動車を高速道路で競争させているようなものだが、せめて高速道路ではなく、信号の多い一般道や曲がりくねった道などで競争させてほしいものである。
では、そろそろまとめに入ろう。
Windows 7は、間違いなくWindows Vistaをブラッシュアップしただけあって、Windows Vistaよりも「快適」であるのは疑いない。しかし、Windows XPを引き合いに出すなら、「営業」臭するやり方よりも、素直に現行の最新ハードウェアでは力不足であることをもっと強くアピールした方がいいように思う。もっともこれは「一般報道関係者向けに行われた包括的説明会」であるため、「営業」臭が強い方が無知な記者諸君には呑み込みやすかったという、マイクロソフト営業の判断が働いたと言うべきだろうか。
とはいえ間違いないのは、どんなにWindows 7が「快適」だと言ったところで、Windows XPにちょうどいい昔のPCでは、どこまで「快適」となるのか疑問符がつくのは当然だと言うことだろう。
いつのOSでも、限界に挑戦してみたくなるようです。
VAIO Uに入れてみたらどうですか?
うちのVAIO UはOpenOffice3.01日本語版を入れて、友人にあげたので
試せません。
Windows7 で低スペックの限界に挑戦!Part2
http://pc12.2ch.net/test/read.cgi/win/1241780519/
(転載元)
Windows 7 @ ウィキ
http://www15.atwiki.jp/win7/
投稿情報: Nikapyon | 2009/05/26 08:43
Nikapyon 様、コメントありがとうございます。
VAIO Uか、懐かしいですね。あれは7年前、7、ということはWindows 7(こぢつけ)。VAIO UはプリインストールOSはWindows XP Home Editionでしたが、Windows XP Professionalをクリーンインストールしたら起動時間が速くなったとか、色々試したことが思い出されます。Crusoeのもっさり感がWindows 7で解消されるのか!(されないでしょう)というのも、面白そうですが、大変残念ながらVAIO Uは旧家に置いたままなのです。取りに行くのは憚られるので、試せないのが残念。
投稿情報: XWIN II | 2009/05/26 19:35