というわけで、ATOK 2009を発売日に当たる昨日(6日)から導入した。記憶は定かでないが、発売日にATOKを導入したのは、おそらくATOK11か、さもなくばATOK7以来、実に十数年ぶりのことと思われる。なぜ今回、わざわざ発売日に合わせてまで急いで導入する必要があったのか、というのは英語入力支援機能が採用されたからである。英語入力支援機能とは、ジャストシステムによれば次のとおりとされている。
- 簡単に英語入力モードに切り替え
- 英語推測変換機能を搭載
- 日本語の意味から英語を入力
一つめの英語入力モードへの切り替えを「Caps Lock(英数)」キー一つで行うことができるというもの。二つめの英語推測変換機能は、携帯電話等でおなじみの文字を入力するごとに過去の履歴等から候補語を出力し、キー入力の回数を減らすことを目的としたもの。三つめの日本語の意味から英語を入力というのは、読んで字のごとく一種の和英変換機能というものである。
とはいえ、過大な期待を持ってはいけないことは、日本語FEPと呼ばれていた時代から経験済み(「自動変換」を覚えておられる方には言うまでもない)なので、だめならだめでATOK 2008の実力は既知なのでATOK 2009にしても大きな問題は出ないだろうと言うことで導入したわけである。
ATOK 2009も、Windows Vistaみたいに複数のエディションというかバージョンがある。ATOK 2009単体のほか、広辞苑が入っていたり、色んなものが入っているものがある。私は、今回はプレミアム版にした。狙いは「ロングマン英英/英和辞典」のほか、いくつかの電子辞書が搭載されているからである。英語入力支援機能に期待して導入しようというのだから、こういったオプションはあってしかるべきと考えた。
インストールは、さすがに簡単に済む。小冊子にうまくまとめられており、指示通りに行えばよほどのことがない限り詰まることはないだろう。インストール終了後、まずはもう無意味ではあるが、仮名漢字変換実力確認。宣伝にあるとおりのもの4つを実行。
- 現世界記録保持者(げんせかいきろくほじしゃ)
- 第三庁舎に向かった(だいさんちょうしゃにむかった)
- 各事業体の四半期報告(かくじぎょうたいのしはんきほうこく)
- 空港から車で二時間(くうこうからくるまでにじかん)
広告にあるものが変換できなければ、突っ込まれること必至なので初期設定においてここはぬかりがない(苦笑)。では、似たようなものをいくつか試してみることにしよう。
- 全日本記録保持者(ぜんにほんきろくほじしゃ。前日本記録保持者が正しい。文節が「全日本」で切られてしまうため。)
- 第十に庁舎へ出発した(だいじゅうにちょうしゃへしゅっぱつした。第十一庁舎までは対応できたが、第十二庁舎でアウト。ここまで分散した庁舎を持つ企業も少ないが。)
- 確聞社ごとの四半期決算(かくぶんしゃごとのしはんきけっさん。各分社という言葉はあまり使わないが、どう変換するかを確認するために試した。)
- 空港から来るまで三時間(くうこうからくるまでさんじかん。車で二時間に続く、車で三時間で早くも適用できず。)
というわけで、おわかりのとおり仮名漢字変換の実力は、このような変換例での説明は無意味だと確認できる。要は、適切に文節の区切りや前後の文から、適切な漢字を選択したという学習機能が働きさえすればいいのである。MS-IMEがいまいちなのは、まさにこの部分であるのだが、宣伝のためとはいえ、ATOKもこんな広告はやめにした方がいい。素人さんにはわかりやすいのだろうが…。
最後に肝心の英語入力支援機能について、簡単にふれておこう。切り替えがワンキーでできるのはありがたい。しかし、英語推測変換機能については、相当辞書を学習させないと使い物にならないことは予想どおりだった。携帯電話のように文字入力そのものが難渋するものならともかく、日頃キーボードで入力慣れしているところに、推測候補がぶら下がるというのはかなり鬱陶しい。省入力を選択する手間と、通常の入力が完了する手間とどちらが早いかとなると、個人差はあるが、私は省入力を選択する方は絶対に選ばないことがはっきりした。辞書が鍛えられればいいのだろうが、そうでない場合は直近に候補は出てこないし、候補を探す時間よりもキー入力を進めた方が早いし、何よりも思考が遮られない。慣れの問題、なのかもしれないが、推測変換機能は私にとっては使い物になりそうにない。
以上、簡単にATOK 2009について、ファーストインプレ的な感じで書いてみた。ATOK 2008とどこが違うのか、というと正直その差に気づきにくいのは確かである。それよりも自分の入力癖をしっかり反映している辞書があるかないかの方が、使い勝手に大きな差が出る。では導入価値はないのか? これは今しばらく使ってみなければ答えは見えないが、MS-IMEしか使ったことがない方で、かつ多くの文書を入力する方なら、間違いなく導入する価値はあるだろう。と、適当な一般論を述べたところで今回はここまで。
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