多忙の中、うれしいニュースが届いた。スウェーデン王立科学アカデミーは本日(7日)、ノーベル物理学賞を米シカゴ大名誉教授及び大阪市立大名誉教授の南部陽一郎氏、高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所の元所長 小林誠氏、京都大名誉教授で京都産業大理学部教授の益川敏英氏に贈ると発表した、とのこと。
高エネルギー物理を専攻した者としては、この受賞は感慨深いものがある。私が偉そうに言えるものではないが、南部先生といえば、やはり「対称性の自発的破れ」だろう。一般読者向けの講談社ブルーバックスシリーズの一冊である「クォーク」を著されているが、この部分の説明は圧巻である。何を隠そう、この本の影響を受けて素粒子物理(高エネルギー物理)の世界に進むきっかけを得た私にとっては、感謝してもしきれないほど、なのである。
そして、小林先生と益川先生といえば、お二人のお名前を冠した「小林・益川理論」だ。最低でもクォークは6種類以上あること、「CP対称性の破れ」(CはChargeの頭文字で「荷電共益変換」の略、PはParityの頭文字で「パリティ変換」の略)を説明するもので、自然界における物理法則で不変とされた対称性(保存則)のうち、弱い相互作用(4つの基本的な力=相互作用の一つ)ではこの対称性が破れていることを理論づけたものとして重要なものである。
と、それはともかく、この受賞によって、湯川先生以来の伝統である素粒子物理学にまた一つ、大きな名誉が追加されたわけで、既にこの世界から抜けてしまった私であるが、まさに心から万歳と叫びたい思いでいっぱいである。
南部先生、小林先生、益川先生、ノーベル物理学賞受賞おめでとうございます。そして、ありがとうございます。
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