これは、SONYのせいというよりは、P6マイクロアーキテクチャを無理やりMobileの世界に持ち込もうとしたIntel社の戦略の余波である。米国基準では、505のような軽量薄型のバランス感覚に優れたノートPCよりも、不細工でもパフォーマンス重視である重量級ノートPCが持て囃されていたからであった。Z505はスタイリッシュなデザインを失い、N505は陳腐なパフォーマンスしか持たず、どちらつかずの中で私が見出したものは、ハイパフォーマンスでかつデザインも斬新なVAIOノートXRの三代目PCG-XR9Sだった。主なスペックは以下のとおり。
- Processor……Mobile Pentium III 650MHz
- Chipset……Intel 440BX
- 2nd Cache Memory……256KB(Processor on-die)
- HDD……18GB
- Memory……128MB(SDRAM)
- Graphics……NeoMagic MagicMedia256XL+(VRAM 6MB)
- Display……14.1-inch TFT LCD(1024 x 768)
- Battery……2~3.5 hours
- Size……308mm x 39mm x 261.2mm
- Weight……2.8kg
- OS…Windows 98 2nd Edition
このモデルの発売は、2000年2月。よって、Windows 98は既に終焉を迎えつつあったので、OSは登場間もないWindows 2000に変更した。これに合わせ、メモリも256MBに強化し、当時としてはだが、大きな満足を得るにいたった。高いだけあって、キーボードのつくりなどもよくできており、ハイスペックノートPCとはこういうものだ!ということを実感できた。また、P6マイクロアーキテクチャPCの最終完成形(Coppermine+440BX)ということもあって、これまでのノートPCよりも安定していたこともよかった点であった。
しかし、大きさ及び重さは、大手のノートPCよりも「やや軽い」ものではあったものの、2.8kgは気軽に持ち運びできるものではなくなった。Z505という中途半端なものを選ぶよりはよかったと思えたが、Mobileとしての使い勝手は、私にとっては完全に失われた。よって、この時期はPC以外のモノ(各種PDAなど)でMobile的な価値を模索した時期でもある。
一方、デスクトップPCは、この頃にはDual Xeon環境を使うようになっており、Windows 2000環境において、PCG-XR9Sではかなりパフォーマンスレベルに不満を覚えるようになっていた。だが、それ以上に不満だったのは画面解像度であった。デスクトップでは1600 x 1200を常用するようになっており、1024 x 768ではあまりに狭すぎたのである。そこで、ハイスペックノートの後継であるVAIO GRシリーズのPCG-GR9Eを購入した。無論、1600 x 1200の解像度を持つ液晶ディスプレイを搭載したものである。主なスペックは以下のとおり。
- Processor……Mobile Pentium III 1.2GHz-M
- Chipset……Intel 830MP
- 2nd Cache Memory……512KB(Processor on-die)
- HDD……40GB
- Memory……256MB(PC133 SDRAM)
- Graphics……ATI Mobility RADEON-D(VRAM 16MB)
- Display……15-inch TFT LCD(1600 x 1200)
- Battery……2~3 hours
- Size……325mm x 37mm x 269.5mm
- Weight……3.3kg(Battery + Optical Drive)
- OS…Windows XP Home Edition
PCG-GR9Eは、大いなる満足を与えてくれたが、一方でXRにはそれほど目立たなかった不満点を大きくあらわにすることとなった。それは、サイズと重量である。解像度に不満があるということで、高解像度の液晶ディスプレイを導入したのだが、15インチという大きさは、設置面積の拡大と同時に液晶ディスプレイのガラス基板の重さが相当あることで、3kgを上回る3.3kgという重量となってしまった。たかが、縦横とも1~2cm程度、重さも500g程度の増に過ぎないが、ノートPCとしての使い勝手という点においては、私にとってとどめを刺されるに等しい増であった。重量については、光学ドライブを外し、さらにバッテリをも外せば2.6kgにまで削ぎ落とすことができるが、これではノートPCとは言えなくなってしまう。もはや、これは据え置き型の代替である、と認識するにいたり、一方で各種PDAには失望したりもして、小型・軽量のノートPCを慈雨の如く待つようになっていった。そこに忽然と姿をあらわしたのが、VAIO Uだったのである。
後編ということで頑張って書き進めてきたが、残念ながらここまで。次回に続きます。
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