前編からの続きです。
VAIO 505は、スタイリッシュだが、パフォーマンスがいま一つ。これは多くのユーザが感ずるところだったのだろう。VAIO 505が登場してわずか3か月後に、VAIO 505EX(PCG-505EX)と「EX」(たぶんEXcellent)が付記されたモデルが登場した。その後すぐにVAIO 505X(PCG-505X)が登場し、初代505は半年に満たない4か月程度であっという間に旧モデル化した。今では春夏秋冬にPC新モデルが出る時代なので、驚くに値しないが、当時はこんなに早くモデルチェンジ(というかスペックチェンジ)するのは珍しく、パフォーマンスに不満を抱いていた私は、すぐにVAIO 505EXに乗り換えたのだった。主要スペックは以下のとおり。
Processor……MMX Pentium 233MHz(Code name Tillamook)
Chipset……Intel 430TX(Code name Triton)
2nd Cache Memory……256KB(DRAM)
HDD……2.1GB
Memory……32MB(EDO DRAM)
Graphics……NeoMagic MagicGraph128ZV+(VRAM 1.1MB)
Display……10.4-inch TFT LCD(800 x 600)
Battery……1.5~3.0 hours
Size……259mm x 23.9mm x 208mm
Weight……1.35kg
OS…Windows 95 OSR2
VAIO 505とVAIO 505EXの違いは、たったの2点しかない。プロセッサの動作クロックが133MHzから233MHzにアップしたことと、内蔵HDDの容量が1GBから2.1GBに拡大しただけであり、言い換えれば、MMX Pentium 233MHzと2.1GBの2.5インチHDDさえ入手できれば、初代505を505EXにアップグレードすることが可能というわけである。これは、次のように考えることができるだろう。初代505は、これまでにない斬新なデザインのノートPCであるが、どれだけ売れるか見当もつかなかった。なので、価格を低く抑える必要があり、最新のテクノロジを持ったものを搭載することができなかった。だが、結果は大成功(その後、各社から似たようなノートPCが続出したことからも明らか)となり、ようやくハイスペック(=高価格)モデルを出すことがマーケティングレベルからも可能になった。
こういった流れでVAIOノートは軌道に乗り、次々とジャンルを拡大していくことになる。当時言われた「サブノート」というカテゴリだけでなく、初代VAIOが開拓した一般的なノートPCのほか、ハイスペックノートPCと505よりもさらに小型のVAIO C1を生み出していく。ここで、私が505の次に手を出したのは、VAIO C1ではなく、VAIO XR。ハイスペックノートPCの方向だったのである。
なぜハイスペックに流れたか、というのには理由がある。1999年になって、505は大きく二つのZ505系統とN505系統に分かれたためである。Z505は、505では発熱等の問題から実現が困難となったハイスペック指向を実現するため、505の筺体を強化し、薄く・軽くという指向から外れてきた。従来の505の伝統はN505が引き継ぐこととなったが、スペック的にZ505から見れば劣ることとなった。つまり、505のバランス感覚は、ここに到り完全に失われたのである。
後編に続く。
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