ガス関連による中毒死はおそろしい。北海道北見市で起きたガス管亀裂は、ちょっと問題外だが、ガス湯沸かし器の不正使用による一酸化炭素中毒は、被害を受けた方はもちろんだが、機器を製造する会社にとってもおそろしいものである。
「想定外」。まさに、この言葉でしか言いようがない。ガスを燃焼させて湯を沸かすということは、燃焼反応によって二酸化炭素等を生ずる反応であるが、換気を絶対に行うべきとされるのは、燃焼時の二酸化炭素増よりも不完全燃焼を阻止しようという目的から来るものである。この不完全燃焼により、一酸化炭素やスス(黒煙)が生じ、一酸化炭素は著しく人体に有害であることから、それ自身も問題だが、ススも気道を遮ってしまうことから、より不完全燃焼を起こしやすい状況を生み出してしまう。よって、換気はもちろん、機器の清掃も安定した運転には欠かすことのできないものである。
が、しかし。一酸化炭素中毒が発生した事例のほとんどは、ガス湯沸かし器やストーブ等を使用する「常識」であるはずのものが励行されていないどころか、極端に悪化した状況となっているものばかりだという。注意書きを読むとか読まないの問題ではなく、こんなものは義務教育(最悪でも高校教育)で理解している内容のはずであり、機器メーカが本来注意すべきものではない。
にもかかわらず、事故が起こると製造メーカは平身低頭になるのは当然の礼であるが、それに対し、製造責任ばかりを追求し、下げている頭をさらに下げさせて自己満足に浸る記者(マスコミ)は一体、あんたら何様だと思ってしまう。読者・視聴者等を煽動する目的ならわかる。そう、煽動とは手段を問わず、流れに迎合し、またそれを加速させるものだからだ。だが、偉そうに社会の公器というならば、追求(追い落とす)だけではなく、本来、行うべきことを怠っているもう一方、に対してもバランスよく追及すべきではないのか、遺族や被害者に対しても。それを憚るのなら、一方だけを悪者に仕立て上げる単純明快な善悪構造を構築するだけでありながら、小泉前首相の行った郵政選挙の批判などできはしまい。
もっとも、個人と企業では力のバランスが著しく偏っているのも事実である。なので、マスコミが個人(市民・国民)の側に立って、加勢するのもよくわかるし、多くの状況ではそうすべきものなのだろう。だが、テレビのようなメディアならある程度はやむを得ないが、新聞や雑誌またはWeb等の文字メディアは、もう少しバランスをとって記事を書くべきではないだろうか。そんなことを思わずにはいられない、ガス湯沸かし器の事故ニュースであった。
古いガス湯沸かし器については、使用する側は「換気」に注意し、作った側は注意を「喚起」することを忘れずに!
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