VAIO type Z(VGN-Z90US)にWindows 7 64-bit Betaをクリーンインストールしたが、インストールはうまくいったものの、いくつかのデバイスが使用できない状態となった。中でも致命傷は、グラフィックスがチップセット内蔵のものとなってしまったこと、メモリカードスロット関係すべてが認識されないことの2つで、いきなり魅力五分の四減だと感じている。64-bit版ドライバを持たぬ私なので、もうこのあたりでWindows 7 64-bit版Betaとの付き合いをやめようかとも思ったが、せっかくなのでもうちょっと付き合ってみることにした。
巷の評判では、Windows 7(Beta版)はWindows Vistaよりも軽い、とのことである。だが、残念ながらGeForce 9300M GSが無効となっているので、感触としては明らかにGeForce 9300M GSが有効となっているWindows Vista SP1 32-bit版の方が軽快な動作である。ディスクアクセスが云々とか、動作がもっさりしているとか、何かと悪評の高いWindows Vistaであるが、Windows XPデビュー当時とまったく同じように、自分が必要としないサーヴィス等を無効にするなどして(私はWindows Searchとかインデックス作成を無効にしている)、PCハードウェアもそれなりのものでさえあれば、何でもかんでもWindows 7(あるいはWindows XP)の方がいいというわけではない。むしろ、チップセット内蔵グラフィックスであるか、外部GPUであるかの違いの方が、明快な違いとして現れる。
とはいえ、最初のWindows Vistaのパフォーマンスが低かったのは間違いない。負荷をかけないつもりで実装した新機能の多くが、貧弱なハードウェア(Windows XPリリース頃のPCとか)の上では逆に足かせとなってしまい、先読みするつもりが先読みどころか現在の処理に負荷をかけてしまって結果として遅くなってしまうことや、負荷を軽くしたディスクアクセスにしたつもりが読み取る量が少なくなるため、却ってだらだら時間がかかるディスクアクセスとなり、もっとも遅いもの(HDD)にすべての動作があわせられる等、それなりのハードウェアであれば問題にならないようなものが、OSバージョンアップが遅れたためにハードウェアの更新が滞っていた(購入タイミングでなく、このクラスであればWindows XPが動くという意味において)ことも大きい。
ともあれ、Windows 7が軽いというのは、使用メモリ量が少ないからというのもあるらしい。それでは、ということで定番というべきタスクマネージャで確認してみよう。
64-bit版なので、物理メモリはしっかり約4GB(4025MB)認識されている。そういう点からは、32-bit版よりももったいない感が少ないのだが、いかんせん、他のハードウェアが使えないという方がもったいない。この中で注目すべきは、「物理メモリ」内にある「空きメモリ」の部分である。Windows Vistaをご利用の方は確認するとわかるが、ほとんど空きメモリはないはずである。実際は、本当に空きメモリがないのではなく、キャッシュとして予約されているだけで必要に応じてキャッシュは廃棄され、必要とするプログラムに空きメモリとして予約させるようになっている。だが、Windows 7 64-bit Betaはそうなっていない。大量のメモリが空きメモリとなっており、何が何でも空きメモリを許さないというWindows Vistaの姿勢とは大違いである。これは「空きメモリ」がないないと素人さんがいうクレームへの対応だろうか(苦笑)、それとも別の理由があるのだろうか。ちなみに物理メモリの使用量はWindows Vista 32-bit版とあまり差はないが、カーネルメモリの量は半減とまではいかないが、かなり減っていることがわかる。これも具体的に何が減っているのか定かでないが、注目するところだろう。
さらに詳しく見るために、リソースモニタを確認するとタスクマネージャと違い、見た目がかなり変わったことが確認できる。流行の~というにはアレだが、タブ方式を採用し、メモリに関しても物理メモリをどの程度利用しているのかが棒グラフで確認できるようになっている。これによれば、ハードウェア予約済みで71MBあるので、タスクマネージャで確認できた物理メモリの合計4025MBを足せば、ちゃんと4096MB = 4GBとなるので理解しやすい。他にも色々と見てみたが、リソースモニタは好印象を持った。
そうそう、4GBといえば、64-bit版ということもあり、「コンピューターの基本的な情報の表示」内に表示されるメモリ(RAM)も、ちゃんと4.00GBとなっている。というか、ここは変わらないんだった。システムの種類は64 ビット、とあり、間違いなく64-bit版であることがわかる。
せっかくこの画面を出したので、システム評価こと「Windows エクスペリエンス インデックス」を試してみよう。「システムの評価を利用できません」とあるところをクリックして進めてみた。しかし──
いくつかのテストを終え、「Direct3D 10 Texture Load 評価」に入り、ここでうんともすんとも先に進まなくなってしまった。一定のタイミングでディスクアクセスはあり、システムそのものがハングアップしたわけでもない。しかし、小一時間はこのまま動かず、とても「数分かかる場合があります。」の騒ぎを通り越しているので、いったんやめて電源OFFによるシャットダウンを経て、数分後に電源ONによる起動を試み再びチャレンジしてみたが、やはり同じところで止まってしまう。ここで思い出したのは、Intel社のグラフィックスドライバ作成能力が今一つであること。本当の理由は定かでないが、「Windows エクスペリエンス インデックス」すら完走できないグラフィックスサブシステムは、いくらベータ版とはいえWindows 7 64-bit Beta版を引き続きテストしようという気が起きない。
GeForce 9300M GSが有効にならないなど、既に萎える点はいくつもあったが、まともな動きが期待できないグラフィックサブシステム相手では、さすがに付き合いきれないと判断。せっかくインストールしたWindows 7 64-bit Betaだったが、一度もアクティブ化することなく、アンインストールすることとした。32-bit版であれば、また違った展開を見せたかもしれないが、せっかくWindows 7を体験するのであれば、64-bit版となるだろう。ベータ版で云々するつもりは毛頭ないが、これ以上、32-bit OSをどうこうしようというのは根本的に間違っているだろう。いや、間違っているというよりも、32-bit環境に安住するならWindows XPかWindows Vista SP1(または後継のSP2)で十分だ。
というわけで、私のWindows 7 64-bit Beta体験はあっさり終わった。ハードウェアに対応していないというのはどうにもならない。けっしてWindows 7が悪いわけではないのだが、評論家がいうほどすごいものではないことは確かだ。また、洗練されたユーザインタフェースとか美しい画面周りといっても、それはMac OS Xに比べればまだまだでしかなく、昔のイメージでいうなら、Windows 3.1がWindows 95になろうと頑張っているものと重なる。ま、そんなことはどうでもいいが、間違いないのは私のWindows 7 64-bit Beta体験は大したものではなかったという印象と、アンインストールを実施したという事実である。
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