前回、前々回に引き続き、今回も時刻表(1925年4月号)をネタに玉川電気鉄道をとりあげる。玉川電気鉄道は、関東最古の私鉄である京浜電気鉄道には及ばないが、それでも明治期に開業した由緒ある路線で、昭和に入って東京横浜電気鉄道に吸収合併され、今日の東急電鉄の一部となっている。もっとも「玉川」線としての名称は玉川線廃止後に新設なった「新玉川」線に継承されたものの、今では田園都市線となっている。路線としては、世田谷線として残ったところが玉川電気鉄道の残滓となるだろうか。
さて、時刻表を見よう。大正十四年一月十八日改正となっている。駅はすべて掲載されていないばかりか、半分以上が未掲載となっている。ということは、ここに掲載されている天現寺橋、恵比寿駅前、渋谷、三軒茶屋、駒沢、新町、遊園地前、玉川、きぬた、世田谷は主要駅だと言い換えることができるだろう。そして、興味深いのは運転系統で、
- 天現寺橋~玉川 (27駅)
- 天現寺橋~世田谷 (21駅)
- 渋谷~新町 (14駅)
- 渋谷~三軒茶屋 (8駅)
- 玉川~きぬた (5駅)
以上、5系統が確認でき、現在の世田谷線にあたるところは、世田谷駅までの部分開業だったことがわかる。また、渋谷駅は主要駅であるものの、扱いは途中駅でしかなく、天現寺橋駅が起点であることもわかる。それにしても、路面電車とは言え、自動車が普及する以前としてみても結構時間がかかることが窺える。天現寺橋~玉川に55分を要すると言うことは、今に喩えると目黒~渋谷~二子玉川に相当するので、高速電車と路面電車であることを差し引いても倍以上かかっていたのだ。(もっとも駅数が27駅──しかも天現寺橋~渋谷で10駅あったので、停車・乗降時間を考えればやむを得ないか。)
といったところで、今回はここまで。
今日の世田谷線に見られるように、駅と駅との距離が短いので、それが平均速度を下げる主な原因だったかもしれません。三宿や上馬のような懐かしい名前はバス停としてのこっています。野砲聯隊や陸軍病院のような軍の施設が多く、軍人さんをよくみかけました。
投稿情報: 木造院電マニア | 2015/11/03 11:53
なるほど。仰せのとおり路線バス同様、停車間隔が多いと自ずと時間はかかりますね。
というわけで、参考リンクと各系統の駅(停留所)数を追記しました。
どうもありがとうございます。
投稿情報: XWIN II | 2015/11/04 06:44
参考リンク有難う御座います。
ついでと言っては失礼ですが色刷りの玉電の沿線案内があったような気がしますが,機会を見て掲載して下さい。デジタルライブラリーでは発見できませんでした。
投稿情報: 木造院電マニア | 2015/11/04 12:17
ついでといってはあれですが、路線図を掲載した記事を新規で掲載しました(時期は大正期のものではありませんが)。
投稿情報: XWIN II | 2015/11/04 18:57