前回は「時刻表(1925年4月号)に見る池上電気鉄道」ということだったので、今回はそのライバルとなる目黒蒲田電鉄をとりあげる。この頃の目黒蒲田電鉄は、目黒~蒲田間の全通を終え、関東大震災後の乗客激増が起こりつつあった時期だが、現在の大井町線や東横線となる接続線はなく、起終点のみが接続駅だった。
ダイヤ改正は大正十四年三月十五日改正とあるので、この時刻表編集締切り直前に改正されたばかりの最新情報となる。かつての目蒲線よろしく、目黒~蒲田間と目黒~奥沢間の折り返し(ただし、早朝から昼まで)と二通りあったことが確認できる。駅名は、目黒、不動前、武蔵小山、洗足、大岡山、奥沢、調布(現 田園調布)、多摩川、武蔵丸子(現 沼部)、鵜ノ木(現 鵜の木)、武蔵新田、矢口(現 矢口渡)、蒲田と13駅あり、昭和初期に開業となった西小山はともかく、大正13年(1924年)5月2日に開業したはずの下丸子駅が掲載されていない。
官報(大正13年5月9日)でもこのようにあるのだが、この時刻表の他ページを見ると、すべての駅が必ずしも掲載されているとは限らない編集方針ともとれる箇所が散見されることから、意図的に外した可能性もある。だが、たった1駅だけをあえて外すというのもなかなか考えにくいので、記載漏れとなるのではないだろうか。
といったところで、簡単にここまで。
時刻表も鵜呑みにできないことがあるので、注意が必要であることがわかります。
三角の連帯駅とは主として国有鐵道の駅までの通し切符を発売している駅のことで、山手線のような頻繁に利用される駅はあらかじめ切符が印刷されていましたが、無地の切符も用意されていて全国津々浦々の駅まで駅員が手書きで記入して発売しておりました。
池上電鉄は連帯契約が無かったようで、やはり高柳氏の影響ではないかと勘ぐりたくなります。
投稿情報: 木造院電マニア | 2015/10/29 20:20
貴重な情報に感謝申し上げます。
△印の連帯駅を見ると、当時、重要だった(逆に見ればそうでなかった)駅がわかります。
今日、急行停車駅でかつ乗換駅でもある「調布」と「多摩川」にはそれがなく、まだまだ発展途上というのがわかります。
池上電鉄については、仰せのとおりかと。
投稿情報: XWIN II | 2015/10/30 18:17
xwin様
今日の急行停車駅が含まれていないことは、関東大震災以後の人口移動の激しさを物語っていますね。
投稿情報: 木造院電マニア | 2015/11/01 13:12