ついに、長年にわたって延期が繰り返されてきたWindows XPのサポートが終了する。既に最新のWindows 8.1であるが、世代的にはXPと8.1の間には1世代しか差はない。考え方はこうだ。
- Windows XP …… 内部バージョン5.1
- Windows Vista …… 内部バージョン6.0
- Windows 7 …… 内部バージョン6.1
- Windows 8 …… 内部バージョン6.2
- Windows 8.1 …… 内部バージョン6.3
内部バージョンとは、ブランド名に出てくる名前やMicrosoft社のいう公式な世代数ではなく、いわゆるカーネルのバージョンナンバーでコマンドプロンプトを起動させると見えるバージョンナンバーである。この内部バージョンの1の桁が変わることは、Windowsの内部機構に大きく手を加えているという「証」で、根本的なところではWindows Vistaをブラッシュアップし続けているのが現状と言える。
したがって、旧世代に属するWindows XPは最早サポートなど望むべくもないとなるのかといえば、そういう理由だけではない。過去のユーザーは思い当たるだろうが、そもそもWindows XPは名前こそ変わっていないが、実際にはバージョンナンバーを桁上げするほどの大きな改良が加えられた。それが、Windows XP Service Pack 2(以下、Service Pack をSPと略す)である。
そもそもWindows XPは、開発コードネームWhistlerと呼ばれる前から、一つの至上命題があった。それは、Windows 2000(内部バージョン5.0)で実現できなかったWindows 9x系との統合である。Windows 2000は、積極的にPlug and Play等をはじめとして様々な機能をNTカーネルに接合していったが、x86プロセッサに密着したWindows 9xは、旧来の16-bitコードと95以降の32-bitコードが混在するハイブリッドで、かつそれがアクロバティックに実装・実行されることから、そのままWindows 2000に持ってくることができなかった。端的にいえば、エミュレートで実行しつつ、それでも困難な場合は「それ専用のプログラムコード」をわざわざ追加して実行するようにした。
さすがに16-bit Windowsのリアルモード(8086/88が唯一実行可能なモード)は、Windows 3.1で廃止されていたが、MS-DOSはまだ健在だった。Windows 95は、32-bitプログラムが実行できるようになっただけでなく、それよりも重要視されたのはDOSの統合に他ならない。完全なDOSがWindows 95には求められていたのだ。
そのようなWindows 9x系を統合する作業は、単にDOSをエミュレートするだけならまだしも、DOSに加えてPCハードウェアへのダイレクトアクセスを何とも思っていないアプリケーションプログラムの動作保証まで行わしめるのは、当然時間がかかる。また、どこまでその作業を行うのかという見切り(メジャーアプリケーションは動作させるとしてどこまでマイナーなものを含めるのかという線引き)も重要だ。このあたりの判断が、Windows XPのプロローグであり、Windows 2000でWindows 9xを統合せず、Windows 98 Second Editionの後継として、あのWindows Millennium Editionを登場させたのだった。要は、Windows XPはWindows 2000の積み残しの課題を解決するために、その産声を上げたのである。
後編(もしかしたら中編)に続く。
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