これもiPad Airと同じパターンといってしまえばそれまでだが(苦笑)、出張の際、ふらっと立ち寄った書店で購入した雑誌「新建築」の別冊。特集は「郊外のサステナビリティ」の文字と、特異な街路パターンが特長の横浜市青葉区美しが丘の一部の航空(空中)写真、さらに写真では見にくいが浮き彫りのようになっている多摩田園都市の計画地を示す、このあたりのことに興味を持つ者なら、つい手に取ってしまう素晴らしいデザインと装丁のものである。まぁ、価格は本体3,048円とそれなりではあるが…。
新建築、といえば大正期より続く月刊誌で、この種の雑誌の中ではトップクラスのものであり、毎月掲載される建築家からの投稿作品は優れたものが多いことでも知られる。とはいえ、ジャンル外の私が購入するわけだからそれなりの理由はある。それはサブタイトルからうかがえるように、東急電鉄の源流である田園都市株式会社から歴史をさかのぼり、多摩田園都市の歴史と現在までを語っていること。そしてそれ以上に大変素晴らしい写真が掲載されていることによる。
本誌22~23ページでは、田園都市株式会社最初の分譲地である「洗足」からきちんと取り上げられている、内容は私視点では詳しいとは言えないが、メインは多摩田園都市であり導入部の歴史をふれていることにおいては必要十分だろう。写真、図、本文、キャプションの配置も優れている。
メインは、多摩田園都市の土地区画整理事業地の歴史と現状。これまで58地区におよぶ土地区画整理事業が実施されており、すべてではないが重要な、画期的なものはすべて取り上げられている。上写真は本誌68~69ページで、表紙にも採用された元石川第一地区を紹介したもので、このような形で野川第一、恩田第一、保木、赤田、嶮山第一、元石川大場、荏子田の各地区が取り上げられている。
このほかにも見るべきところが多いが、私的にさらに特筆したいのは、この手の雑誌(書籍)に見られがちな歴史記述誤りが(今のところ)まったく見られないところである。単なるマニヤや下手の横好きが横行する旅行(散歩)系・鉄道系の雑誌、書籍とは一線を画し、そういう点も含め、さすが「新建築」だと唸るしかない素晴らしい作品だと感じた。といったところで、今回はここまで。
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