Intel社が今月初頭に発表した第4世代Coreプロセッサ(コードネームHaswell)の登場によって、各社からいわゆる2013年夏モデルが次々と発表されている。発表前までは、Ultraboook仕様の隆盛によって(そしてIntel社自身が後押ししていることもあって)大したものは出てこないだろうからと見送り気分だったのだが、いざ製品群が出てくるとやはりどうしようかな、と考えるというありがちな展開(苦笑)。
さて、それはともかくとして、HaswellがUltraboook仕様に適合したプロセッサ(というよりはそれに合わせてUltraboook仕様が策定されたというべきか)ということもあって、デスクトップ向けPCよりもMobile系PCの方に力が入っているように見えるが、PCの周辺情勢を見ればそれもまた自明であるだろう。いよいよマイクロプロセッサに統合されたグラフィックス(GPU)は、ローエンドからミッドレンジまで確実に歩を進め、Mobile PCであれば必要十分なレベルにまで到達した感が強い。この結果、外付けGPUが搭載されるモデルは、よりパワフルなGPUを搭載することが求められるゲーミングモデルと称されるような大型のデスクノートPCのみとなってきた。この傾向が強くなってきたのは、Ultraboook仕様のみならず、Haswell内蔵GPUの実力の賜物だと言わねばならないだろう。もはや、CPU内蔵グラフィックスはおまけでもなく、また省スペース化による犠牲でもなく、そこにあるから仕方なく使うものではなくなったのだ。
とはいえ、Haswell内蔵グラフィックスは従来のマイクロプロセッサと異なり、複数のバージョンがある。曰く、GT1、GT2、GT3及びGT3eである。デスクトップPC向けHaswellは言い方は悪いが、正しい使用法(あるべき姿)のHaswellではないので、GT3及びGT3eが内蔵されたモデルは現時点では(おそらく今後も)存在しない。外付けGPU(グラフィックスカード)が当たり前(に装着可能)のデスクトップPC向けプロセッサにはGT2で十分であり、簡単に後からグラフィックスアップグレードが望めないMobile PC向けプロセッサにこそGT3以降が求められるのである。そして、なかなか難しいのがプロセッサナンバーを一瞥しただけでは、搭載されている内蔵グラフィックスの違いがさっぱりわからないことで、しっかりとスペック表を見ないと見極めできないのが辛いところだ。
例えば、SONYの発表したVAIO Duo 13を例にとると、店頭モデルはCore i5-4200Uが搭載されるが、内蔵グラフィックスはGT2(Intel HD Graphics 4400)である。しかし、オーナーメイドモデルであればCore i7-4650Uが選択できるようになり、この内蔵グラフィックスはGT3(Intel HD Graphics 5000)となる。ただし、もう一方の選択肢となるCore i7-4500Uを選んでしまうと、こちらはGT2(Intel HD Graphics 4400)と変わらずだが、GPUの最大動作周波数ではCore i5-4200Uが1.00GHz、Core i7-4500Uが1.10GHzと、0.1GHzの差であるが違いがある。整理すると、
- Core i7-4650U = Intel HD Graphics 5000, 定格0.20GHz / 最大1.10GHz
- Core i7-4500U = Intel HD Graphics 4400, 定格0.20GHz / 最大1.10GHz
- Core i5-4200U = Intel HD Graphics 4400, 定格0.20GHz / 最大1.00GHz
といった感じで、これはなかなかわかりにくいだろう。正直、素人さんお断り、といった印象である。VAIO Duo 13のみでこの有様なのだから、他機種、他メーカーとの比較となると、ますます混乱の極みとなってしまうわけだ。
だが、以前から当blogで愚痴っているように(笑)、Mobile PCにある程度のパフォーマンスを求める私なので、本当であればQuadコアのプロセッサを求めたい。15インチ級ディスプレイを搭載して2kg以上というのを我慢すれば、もちろん今でも選択肢として存在する。だが、VAIO Duo 13とかVAIO Pro 13などの、おっと思わせるようなモデルは、すべてDualコア。それどころかTurboブーストでは3GHzという最大値は示すものの、定格では2GHzすら届かない。いや、もちろん最高スピードでドライブすることなどそうそうない(ビデオエンコードとかもしないので)とは頭ではわかっているのだが…だがしかし(苦笑)。
HaswellでQuadコアとなると、TDPが最低でも37Wクラス(例えばCore i7-4702HQ)のものしかない。CPUとGPU、さらにはメモリコントローラ合わせて37Wというのは、10年程前のMobileプロセッサでは優秀な部類に入るが、薄型軽量化が進む現代ではこんなものは入る余地がない。それどころか、VAIO Duo 13やVAIO Pro 13に搭載されるCore i7-4650U等は、TDPが15Wしかないのだ。x86(x64)プロセッサでこの値というのは、かつてを知る者からすれば驚異的なものだが、つまりはそういう時代になってきたとなるのだろう。スタイリッシュなMobile PCが搭載するプロセッサは、TDP 15Wまでのレンジで求めなければならない。
とはいえ、今使っているVAIO Z21は、プロセッサは二世代前のSandy Bridgeこと Core i7-2620Mで、定格2.70GHz動作。Turboブーストでは3.40GHz動作となる。内蔵グラフィックスはエンジン数ではるかに及ばないが、動作クロックは定格0.65GHz、最大1.30GHz。TDPは35W。なるほど、2Wの差があるとはいえ、HaswellではQuadコアを載せようと思えば載せられるのだ(Ivy Bridgeでも載せられるモデルがあるがグラフィックス性能が…)。
──、とここでいったん中断。
なかなかその条件を満たしたスペックは難しそうですよね。
haswellが器用貧乏とはいえ単体である程度のグラフィック機能を保持してしまった以上、高くても買うというユーザーのパイは減るでしょうから、メーカーに頼らざるを得ないノートは尚のこと厳しいかなと…
そうすると、いつまで経っても買えないことに。
新型CPUに手を出すというマニアの渇望を満たすには、いっそ、高性能なキーボード付きタブレットと割り切れば、選択肢が。
ギミック次第で色々変形できる機種も多いですし。
私も拘りが満たされないと買わない主義でしたがZ11がもう限界なので、画素数的にはオンリーワンである富士通のWU1/1(UH90/Lの直販モデル)でお茶を濁すことにしました。バッテリーが外せないとか、この画面領域で内蔵グラフィックチップ平気かとか、かなりの不安はありますが、そこは目を瞑ることに(^^;;;
(来月から海外なので、間に合わなければキャンセルという条件での発注ではありますが)
投稿情報: 夢望騎士 | 2013/06/17 11:02
コメントありがとうございます。
3200x1800のIGZO液晶パネル、確かに惹かれるものはあるのですが、Toshibaのアレを見送ったことや、そしてご指摘のとおり大丈夫かその内蔵GPUで──ということから選択肢に残りませんでした…。
記事を書いた途中で放置しているのも、どうにもこうにも方向性に逡巡しているところでして。事実上のZとSのハーフと言えるVAIO Pro 13もいいなぁと思いながら、何でGT2どまりやねん、と。GT3を載せているのは変形ギミックのVAIO Duo 13のみで、こいつを売るためにPro 13にはGT3載せてないんぢゃねと穿ってみたり。現在使用しているZ21のキーボードが今いちなので選ぶならVAIO Pro 13だけど、GT2というところがひっかかって、それぢゃGT3のVAIO Duo 13かというとタブレットモードになったからといって1.3kgもあったら重いだろ!と自つっこみを入れてみたり。
こんな状態なので、勢いでいってしまいそうなのがコワいところ。AlienwareなどいわゆるゲーミングノートPCも一時期は検討しましたが、どうにもダサい(かっこいいという方ごめん)。結局のところ、C10までプロセッサ等が眠ることができるQuadコアプロセッサはないので、今選ぶなら妥協するしかないのでしょうね。
う~む。
投稿情報: XWIN II | 2013/06/18 06:53