来るべきものが来たという感じ。係わる業界に身を置くものとしては、明日は我が身の念を思いつつ、我が国の製造業空洞化への対応も考えねばならないとも思い、一社あるいは業界だけで克服できるものでもない。しかも世界は寡占がすべてであり、その上メーカそのものも淘汰が繰り返される。10年前のDRAMシェアを思い起こせば、その生き残りをかけたすさまじさがわかるというものだ。当然、世界シェア第三位のエルピーダメモリがこうなってしまうのも、様々な逆風(歴史的円高や経済成長減速など)が原因とはされるが、それだけの問題ではないのは明らかだ。
マスコミは日の丸半導体の凋落としているが、比較の対象としているのが昭和末期、西暦でいえば1980年代末期のこと。PCの世界でいえば、Windowsは2.xであり日本語版はあるにはあったが普及なんて絶対に言えなかったし、マイクロプロセッサもi80486登場前夜で主流は80286系、16-bit時代であった。我が国のPCもPC-9801シリーズが全盛だったので、そういうあまりにも古い時代でどうだったかといわれても何を言っているんだ?という感覚。
既にそんな世界でないのは自明で、半導体産業そのものがDRAM事業と心中するようなものでもない。事実、Intel社は1980年代にDRAM事業から撤退し、マイクロプロセッサ事業に特化。知的所有権を米政府と共に前面に打ち出すようになり、今ある繁栄の基礎を築いた。もし、Intel社が半導体事業の中核にDRAMを置き続けていたなら、ここまで力を維持することができたのか…。歴史にIFはないが、考えさせられる事例である。
DRAMは今後も半導体産業として、IT産業の基幹として位置づけられるのは間違いないが、その事業にこだわり続けて良いものか。公費を投入した上でのこの状況は、こだわりだけで片付けることができないのではないか。そういう思いを抱きつつ、今回はここまで。
そもそも、エルピーダは、設立当初のときにもう苦しかったんですよね。
投稿情報: isumio | 2012/02/28 11:14