ということで、久々に自分の時間が持てそうなので書店をぐるっと回り、気になっていた本を2冊購入した。
一冊は「領域権原論:領域支配の実効性と正当性」(許 淑娟 著、東京大学出版会)で、もう一冊は「プロイセンの国家・国民・地域 19世紀前半のポーゼン州・ドイツ・ポーランド」(割田 聖史 著、有志舎)。両書とも学術出版社系の学術書であり、おいそれと読み進めるものではないとわかっていつつも週末に読もうと決めたのは、最近興味を覚えつつある(というか昔から興味はあったのだが、なかなか深くかかわることができなかった)領域問題について学んでみようと思い立ったからである。
まだ読み始めたばかりであるので、内容については云々できないが、どのような内容かを目次から確認すると、
「領域権原論:領域支配の実効性と正当性」
- 序論
- 第1章 取得されるべき客体としての領域主権 ―― 様式論
- 第1節 様式論の特徴 ―― ローターパクトの議論を手がかりとして
- 第2節 原始取得の法理 ―― 様式論の生成
- 第3節 「無主地」概念の発明 ―― 様式論の基盤と限界
- 第2章 行使することで取得される領域主権 ――「主権の表示」アプローチ
- 第1節 新しい領域法? ―― 実務家の法、学者の法
- 第2節 「主権の表示」概念 ―― パルマス島事件仲裁裁定
- 第3節 「主権の表示」の意義とその継承
- 第3章 「合意」に基づく領域主権 ―― ウティ・ポシ ディーティス原則とeffectivites
- 第1節 領域法への挑戦 ―― 脱植民地化と新独立国家における領域権原
- 第2節 effectivites概念の沿革 ―― ブルキナファソ=マリ事件パラダイム
- 第3節 国際裁判におけるeffectivites概念援用の意義
- 第4節 「植民地独立以降」における領域権原の基盤構造
- 結語
まず、こちらはおおむね近世以降の国家の領域を国際法の視点から、国家の主権の及ぶ範囲として議論を展開していくような印象である。そしてもう一冊、
「プロイセンの国家・国民・地域 19世紀前半のポーゼン州・ドイツ・ポーランド」
- 序論
- 第Ⅰ部 国家と「地域」── 「地域」の「外縁」
- 第一章 ポーゼン州の成立
- 第二章 プロイセン改革における国民代表制度
- 第三章 ポーゼン州議会における国家と「地域」
- 第Ⅱ部 地方行政、公共圏、アソシエーション ──「地域」の「内包」
- 第四章 ポーゼン州の地方統治機構 一八一五年 ― 一八四八年 ── プロイセンにおける地方行政と「民族問題」──
- 第五章 新聞から見る公共圏と「地域」──『ポーゼン大公国新聞』の分析から ──
- 第六章 アソシエーションと「地域」── ゴスティン市のカシノ(一八三五年 ─ 一八四六年)──
- 第Ⅲ部 革命と「地域」── 政治文化の変容 ──
- 第七章 一八四〇年代の国制問題とポーゼン州
- 第八章 一八四八年のポーゼン蜂起と「地域」認識の変容
- 第九章 革命期の国家と「地域」── 二つの国民議会とポーゼン州 ──
- 結論
こちらは19世紀、特にウィーン会議後から三月革命頃までの35年ほどの短い期間、加えてポーゼン州(ポーランド読みではポズナニって感じか)という局所的な地域を丹念に追ったものである。このポーゼン州は、1793年の第二回ポーランド分割時にプロイセン領となるまでは、数百年にわたってポーランド王国(公国)の領土であった。そして、ナポレオン戦争時にはプロイセンの手から離れワルシャワ大公国に移り、ウィーン会議の結果、プロイセン王国のポーゼン州となったもので、このような歴史的経緯のある「地域」が…と、まぁあとは本書を読んでからのお楽しみとしよう。
てな感じで、今回はここまで。
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