「ハイゼンベルクの不確定性原理を破った! 小澤の不等式を実験実証」ということで、新聞各紙の一面にもとり上げられているように、物理学界をはじめとして多くの世界にその地位を確立していた「不確定性原理」に綻びがあることが実験で確認された。詳しくは、先に掲げた日経サイエンスのリンク先を参照いただきたいが、最初に私が「小澤の不等式」を知ったのは日経サイエンス誌2004年9月号に掲載された記事で、このときは正直どうなんだろう?という想いだった。ただ、眉唾モノであるかないかと言うよりも私の心に引っかかっていたのは、高校~大学在籍時に持っていた初学時の虚心坦懐な心で量子力学、特に不確定性原理のあたりを学習した際、アインシュタインとボーアの議論から「どうもボーアの言い分はまやかしではないか」と感じていたことからだった(端的に言えば、ミクロの世界における観測による逃れることのできない「擾乱」と同じくミクロの世界における「不確定性」は同じ土俵で測ることができないんじゃない?という疑問)。そういう引っかかるものがあったからこそ、7年半ほど前の日経サイエンス誌の記事が目にとまり、そして今回の実証実験の報にふれて「嗚呼、やっぱりそうだったのか」という流れである。
とはいえ、大人になるということは、物事に対して虚心坦懐な心は失われ、大方の学説は邪説にしか見えなくなり、鉄板とされる理論・原理等を受け容れて学習してきたのも事実。大人になる(卑近には試験をクリアする)とはそういうことなのかもしれないが、こういった疑問についてとことん追求した結果がこのような大成果につながった(ノーベル物理学賞級)わけで、素直に(それこそ虚心坦懐に)敬意を表しつつ、私にはこのような生き方はできないとも感じながら今回はここまで。
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