本日(1日)、SCEの平井一夫社長(SONYの副社長も兼ねる)はPlayStation Netowork(PSN)個人情報漏洩問題に関する記者会見を行うとのことだが、ここでどのような発表が行われるのか刮目して待つ。として、今回はここまでとするのはアレなので、おまけとしてPSNのルール変更がこっそり変更されている件について述べておこう。
既に一部では話題になっているが「"PlayStation Network"を解約したい」とあるPSNに関するFAQの一つが、新たに4月28日頃までに追加(変更)された。引用すると、
"PlayStation Network"を解約したい
"PlayStation Network"(PSN)は、お客様ご自身で解約することができません。
お客様からお預かりした個人情報は プライバシーポリシー に基づき管理しております。
なお、登録情報の削除をご希望の場合は、インフォメーションセンター までお問い合わせください。
とまぁこれだけ見れば、ああそういうことね、くらいにしか思わない。だが、遅くとも4月26日までにはまったく同じURLに以下のようなFAQが掲載されていた。
"PlayStation Network"(PSN)を退会したい/アカウントを削除したい
”PlayStation Network”(PSN)アカウントの削除や退会はおこなっておりません。
PSNアカウントを使わなくなった場合は、以下の操作をすることで本体に保存されているPSNアカウントの情報を削除することができます。
"PS3"からPSNアカウント情報を削除する方法
1.[PlayStation Network]>[アカウント管理]>[機器認証]より機器認証解除をおこないます。
2.[ユーザー]列より削除したいPSNアカウントを登録したユーザーのアイコン上で[△]ボタンを押しオプションメニューより[削除]を選択します。
"PSP"からPSNアカウント情報を削除する方法
1.[PlayStation Network]>[アカウント管理]>[機器認証]より機器認証解除をおこないます。
2.[PlayStation Network]>[アカウント管理]の位置で[△]ボタンを押しオプションメニューより[アカウント削除]を選択します。
質問の表現が微妙に異なっていることに、まずは注目。現在は「解約」という表現だが、従前は「退会」だった(「削除」に関してはどちらも解答側でふれている)。この文言の解釈の違いは様々だが、間違いなく言えることはどちらも「退会」することはできないということだ。ただし、意味合いは大きく異なる。
従前は「退会」そのものができないというスタンス(つまり「入会」という概念はある)で、PS3またはPSPといったゲームハードウェアに保存されたアカウント情報の削除ならできるとしている。ただし、購入履歴をPSNサーバ上から削除することはできない(ユーザとSCEの商取引関係を示すものなので)ことから、あくまでユーザ側から見た情報削除(のように見えるだけ)対応でしかない。この裏付けは、世界共通サーヴィスのPSNであるので、北米向けの同FAQには次のように書かれている。(日本時間2011年5月1日午前10時現在)
Once a PlayStation Network account is created, you can not delete it. It will remain on the PlayStation Network servers forever. If you wish, you may remove it from your PlayStation®3 computer entertainment system so it is no longer visible.
注目は2番目の文、foreverという単語が見えるが、まさに注目はそこで「It will remain on the PlayStation Network servers forever.」直訳すれば、それ(前文からPSNアカウント情報)は永久に(永遠に、ずっと)PSNサーバに残る、となる。当たり前だが、PSNサーバ上から完全にユーザ情報を削除してしまったら、購入履歴の突合ができなくなるばかりか、ユーザがPSNに復帰してかつての権利行使(アカウント引き継ぎ)すら不可能になってしまうので、北米SCEA(Sony Computer Entertainment America)の解答どおりとなるのである。
以上を踏まえて「退会」という表現が使用されなくなった理由を考えよう。
現在は「退会」という表現が使用されていないことから、これに相対する「入会」という概念が存在しなくなった、と読める。実際、最新のPSN利用規約(第5.0版。2011年1月25日付)には見えない(アカウントの作成による「利用」という表現ならある)ので、唐突に「入会」と「退会」という概念が失われたとは限らないが、あえてPSN個人情報漏洩アナウンス後に書き換えられたことを考慮に入れれば、何らかの意図があってしかるべきとなろう。
おそらく従前は、PSNアカウント情報が永久にPSNサーバに残り続ける「仕様」のため、PSNからの完全離脱はできない、つまりPSNに入ったら(入会したら)出ることはできない(退会できない)という意味合いだったのだろう。だが、PSNの脆弱さが露呈してしまったことで、PSNそのものの「仕様」を見直すこととなり、場合によってはPSNサーバからユーザのPSNアカウント情報とそれに紐付けられた購入履歴等をPSNサーバ(ネットワーク)外に置くことが可能になるのかもしれない(完全削除は先に挙げた理由から不可能と見る)。仮にそういうことが今後可能となれば「退会」という概念を復活させることができるかもしれないが、様々なことを考えれば非効率以外の何物でもないので、いっそのこと「入退会」という概念を喪失させ、単に「利用」と「解約」という表現にとどめたとも読める。どちらにしても個人情報漏洩という事実から、我が国の「個人情報の保護に関する法律」にも今さらながら対応する必要が出てきたとして文言改訂した可能性もあるだろう。
話はもっと単純かもしれない。PSNに接続できなくなってから今日(1日)で10日間にも及ぶが、個人情報漏洩という事実に対し、PSNユーザは個人で何もできない状態が続いている。何か対策を採りたくとも何もできない、というクレームに対して「登録情報の削除をご希望の場合は、インフォメーションセンター までお問い合わせください」と逃げを打っただけとも読める。結局のところ、今日の記者会見で何が発表されるのか、刮目するしかないのである。
2011年5月1日午後追記
本件についてプレスリリース「PlayStation®NetworkおよびQriocity™(キュリオシティ)への不正アクセスに関する現状と今後の対応について システムセキュリティを更に高度化し個人情報保護を強化、段階的にサービスを再開」が出たが、ユーザばかにしてんのかと思えるほどの極悪レベルの対応。東電に例えるなら、しばらく停電が復旧しない地域に対して30日間電気料金無料だといった感じで、東電ですらやらないレベル。くそにい(糞SONY)と断定して良さそうだ(呆)。
2011年5月4日追記
「“PlayStation Network”/“Qriocity”についてのよくあるお問い合わせ」に5月3日付追加分に
Q:"PlayStation Network"を退会・解約したいがどうすればよいか?
A:"PlayStation Network"は、お客様ご自身で解約することができません。登録情報の削除をご希望の場合はインフォメーションセンター までお問い合わせください。
が追記された。やはり「退会」という言葉を避けているのは確実となろう。
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