福島第一原発事故から都内(新宿区あたり)では、まとまった雨は今日を含めて3回目となる。最初の雨は原発爆発の直後ということもあってか、大量の放射性物質(放射線)の観測が見られた。今回は、いつも参考にさせていただいている、東京都健康安全研究センター(東京都新宿区百人町)の都内の降下物(塵や雨)の放射能調査結果をもとにデータをグラフ化し、これを見ながらあれこれ語っていこう。
縦軸は、降下物に含まれる沃素131及びセシウム137の測定値で単位はBq/m2(ベクレルパー平方メートル。1平方メートルあたりのベクレル値)。横軸は採取日で午前9時から翌日午前9時までの24時間を単位とする。ご覧のように3月20日から増え始め、21日、22日、23日は沃素131の値が10,000を超えるというとんでもない値となっている。よって、3月23日までの突出した値を除いた3月24日からの値をグラフ化したものが以下のものである。
こうして見るとわかるが、やはり雨の影響は大きいことが確認できる。ただ、3月20~24日が突出しすぎているので目立たないだけだったのだ。この結果から興味深いのは、やはり沃素131の半減期が約8日間ということが裏付けられたことだろう。先月中旬の爆発によって大量に拡散した放射性物質は、雨によって降下することで飛躍的に放射性物質が地表に落ち、その影響がしばらく続いた。そして、その後の雨では値は上昇するものの、数千というオーダーにはならないことから爆発時に比べれば、放射性物質の拡散は抑えられていることがわかる。その証拠が最近は沃素131を観測しない(不検出)ということから確かだろう、となるのである。
そんなところで今回はここまで。
2011年4月24日追記
昨日(23日)、東京地方は大雨状態だったにもかかわらず、測定結果は沃素131もセシウム137も「不検出」であった。やはり、東京上空はほとんど放射性物質の降下は収束(終息)したとなるだろう。今後、爆発とか起こらなければという前提に立つが…。
問題は特に放射性セシウム137でしょう。半減期が30年というこの物質が今後問題になります。私も東京都のデータを分析してみましたが、この半減期30年の137Csと半減期2年の134Csの積算降下量が5月18日までに13807Bq/㎡となっていることです。セシウムは土壌の表面に強く保持され、地中深くまでは浸透しないことが分かっていますので、ほとんどが土の表面に存在することになり、それが何十年にもわたって放射能を出し続けます。土の性状によっても変わるとは思いますが地中1~2cmにほとんどが止まると思われます。となると風等で舞い上がった土埃は子供をはじめ人が呼吸等によって体内被曝することになります。この13807Bq/㎡は~690Bq/kg程度ですから、決して無視できる数値ではありません。今後土壌の分析が急がれるべきだと思います。
投稿情報: 丘のイルカ | 2011/05/20 16:00