最初にこのニュース(「保安院、東電の放射性数値に「誤りの可能性」「大変遺憾」」)を聞いたときに耳を疑ったが、すぐに「ああ、やっぱりな」と思った。なぜか。それは、通常測定されることのないような(つまり想定されていないような)高い放射線量値にプログラムが対応していなかった可能性が指摘できるからである。意図的(隠蔽)、という疑いを持つ方もあるかもしれないが、私は話は単純だと見る。理由は、東京電力(会社員と下請けに丸投げ)も経済産業省原子力安全・保安院(公務員と天下り、御用学者)も異常値を異常値だと認識できず、専門家集団の原子力安全委員会によって、ようやくそれがわかるレベルだからだ。つまり、そういった知識のない東京電力が、分析プログラムが適切な数値を出しているか否かの検証などできるはずがないので、意図的に悪意を持って誤った解析結果を発表していたとは思えないからである。
一方、分析結果解析プログラムもどこまでが上限か(要は仕様上の上限値はどこまでか)によって、いくら分析結果が誤っていようと「それは仕様です」(いい意味での)という可能性もある。例えば、どんなに多くても正の整数値のみで30,000を超えることはないと言われれば、16-bit整数値(0~65,535:十進整数)で設計するだろう。そうした設計で実装されたプログラムに対し、100,000という整数値がデータとして入力されてしまったなら、それはどうコーディング(プログラミング)されたかによって様々な結果となる、つまり不定値となり、素人さんから見れば「バグだ」と騒ぐだろう。だが、わかる人から見ればこれがバグなどでないことは自明だ。
あまりに情報が少ないので、この程度の予想しかできないが、とどのつまり、東京電力にも保安院にも分析・判断能力などなく、分析プログラムに問題(不具合)があるというのは責任転嫁だとしかならない。官邸が素人集団なのは仕方ないにしても、原発の専門家と見られていた集団もこの体たらくでは、米仏の応援部隊に頼むしかなくなる。実際、そうなっているわけだが、つくづく初動の遅さが悔やまれる。子供の火遊びが大火災になってしまったかのようだ。
コメント