昨日午後3時半過ぎの福島第一原発1号機の水素爆発について、NHKをはじめとするマスコミ各社によってどんなに遅くとも午後4時過ぎまでには多くの人たちが知るに及び(最初に映像で流したのは日テレ?)、海外の報道機関(米CNNや英BBC、独ZDFなどなど)でもほぼ同タイミングで報道されるなど、原発爆発事故は世界各国に伝わった。言い古された言葉であるが、まさに情報化社会である。
だが、我が国の政府関係の公式発表は、なかなかその速度について行くことができない。なので、発表の遅れが不審につながり、それが不安を生み、妙な噂が駆け巡る負の連鎖も見えている(官房長官の話にも出てきたが)。こうなってしまうのも昨年秋のいわゆる尖閣ビデオを非公開と決め込み、情報操作しようとしたことが経験則というか、同じようなものではないかとの見方もあるが、これは政権側の自業自得とも言える。とはいえ、例のない事態なので、その推移を見極めるのも困難であるし、実際に原発に関わっている人たちの奮闘も思えば、情報開示が遅いと責(攻)められるものではないこともまた自明ではある(昨日午後5時の原子力保安委員会の会見予定が延期になったのも爆発事故を受けてのものだが、却ってこれが隠しているように見えてしまう。記者の追求が厳しいのはわかるが…)。
確実な情報を公開しなければならない。これは間違いない。推測モドキはダメ。これも間違いない。ただ、津波などよりもはるかに速い放射線(放射性物質)であれば、警報が出てからでは間に合わない。だからこその室内待機的なアナウンスでもあったろうが、これだけ素早く爆発事故の映像が流れてしまう(尖閣ビデオのように制限できない)状況下においては、空振りリスク覚悟(緊急地震速報で結構空振りしてますよね)でやってもいいのではというのもわかる。
昨日は、国内報道が言い方は悪いが「垂れ流し」的報道ばかりなので、海外メディアの取り扱いがどうなのかを注目していた。海外メディアの注目は津波もさることながら、原発のメルトダウン(炉心溶融)に関するもので、日本時間昨日未明あたり(つまり比較的初期の報道。欧米との時差を考慮すれば)の段階で、福島や女川の原発についての危険性を指摘し、スリーマイル島やチェルノブイリと同程度のおそれがあるとしていた(Meltdownという単語が既に踊っていた)。国内報道では、ほとんど原発についてふれていない時期からである。
無論、これは原発事故の放射能漏れは最悪の場合、世界規模かつ長期的な影響が及ぶからで、我が国から物理的に距離が離れている欧米諸国から注目すべき重要点だからだが、それでも我が国よりも先に報道で出てしまうところに、報道規制とか政府側の「胡散臭さ」を感じてしまうのだ。
インターネットによる高度情報化社会の到来は、チュニジアやエジプトの政権を変えてしまった。それだけのパワーを持つものと公式発表はうまく付き合っていかなければならない。正確で確実だけではもうダメなのだ。難しいのは百も承知で、スピードも求められる。記者会見を見ていれば、あまりに無知な記者質問もあり、いかがなものか的なものも理解はするが、広報担当者(名ばかり?)なのだからしっかり対応していただきたいとしつつ、今回はここまで。
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