昨日と今日は、新入社員(候補)の採用面接にピンチヒッターというかオブザーバで出席させてもらった。このようなものは人事のプロに任せておけばいい、という意見なのだが、どういうわけか「私の視点」が必要とのことで、土日返上で出勤しつつ、何人もの若者の話を聞いた。採用面接なので、皆、一様に入社する気満々なのはよくわかったが、こりゃしっかり教育しないと厳しいなと感じたのも、また事実である。
もっとも、ほとんど社会及び会社経験のない若者と、イヤでも経験豊富で修羅場をくぐり抜けているおやぢと違っていて当たり前であるし、逆に私が採用面接を受けた若い頃では、同じことを感じられていただろう事は当然だ。つまり、「即戦力」みたいなものを求めるのが無理なのであり、その現実を踏まえてみないとならないことも自明である。
こうつくづく感ずるのは、中間管理職諸君の社員評価が最近、特にひどすぎると思うからでもある。当たり前のことだが、ベテラン社員と新入社員、あるいは異動(転職)して間もない仕事に慣れていない社員と比較すれば、通常はベテラン社員の方が仕事ができるに決まっている。むしろ、そうでなかったなら、ベテラン社員はこれまで何をやっていたんだ?ということになるわけで、その序列はそうそう変わるものではない。だが、これをそのまま評価軸に正比例にあてがってはならない。確かに、プロは業績をあげてナンボの世界であり、ベテランの方が一般的に報酬が高いのもそういう理由からである(年功序列も元を糺せば、年齢が高いから高報酬ではなかったはずだ)。だが、トータルだけでなくアヴェレージも考慮に入れなければ、新しい人がやる気をなくしてしまうことになる。
にもかかわらず、我が社の一部中間管理職諸君は自身の出世に汲々としており、できないヤツはいらないとばかりにベテランばかりの配置を求める傾向が高く、課内評価も新しい人に辛い結果が出てしまっている。人、組織を育てようという気のない管理職は去れ! というようなことを提言してしまった結果が、これ、採用面接への同席となってしまったわけだ(苦笑)。
と、愚痴はともかく新入社員採用面接に出て話のやりとりを聞いていて面白いと感じたのは、多くが、というかほとんどが「マニュアル」らしきものを持っているようで、受け答えがみんな紋切り型というか、面白くも何ともない、新入社員候補らしからぬ老成化したというか、老練というか、コメントを文字にすればそのまま就職教本の例題ページに載りそうなやりとりばかりである。しっかり対策を立てたのだな、という評価にはなるが、我が社に必要な人材かどうかという判断指標ではひっかからない人ばかり。人事担当者曰く、それでもこの中から採用しなきゃならんのだよ、というのだから、やはり人事のプロは違うなと別の意味で感心した。
だいたい、「企業に入りたい」ということで採用面接を受けに来ているはずなのに、「何とか就職したい」という思いばかりが強く感じられてしまうのはマズいと思う。何とか取り繕おうということで頑張っているのもわかるが、私のような人事の素人でさえわかってしまうくらいだから、人事のプロにはなにをかいわんやである。もちろん、衣食住を確保するのに仕事をしなければならず、それにはより報酬の多い正社員雇用、いい企業に入りたいというのはよくわかる。だが、それだけでは採用してくれと言うのが無理というものである。
では何が必要なのか。それを人に聞いているうちは厳しいだろう。もちろん、経験豊富な人から話を聞くのは素晴らしいことなので、けっして聞くなというのでなく、自分自身の判断指標を持てということである。これは老若男女関係なく(さすがに児童までは厳しいが)、どう日々を過ごすかにかかっている。そういうことを自分の若い頃を振り返りつつ、考えながら今回はここまで。
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