世間的にはどう受け取っているのかは知らないが、昨今またマスコミがバカ騒ぎしていると感じているのが、件の100歳超行方知れず問題だ。確かに、30年以上ミイラ状態になるまで放置していたという事件は異常であるが、音信不通とか、連絡が取れないとか、住民基本台帳に載っていないとか、こんなレベルの話と同一線上に語るのは、明らかに騒ぎすぎだろう。
あまり制度に興味のない方であれば、今回の騒ぎを「長寿社会の根幹を揺るがす」などの煽り文句で「すわ一大事」とか思うのかも知れないが、実はそんなに大した問題ではないと私は考える。
そもそも、我が国の戸籍制度並びに住民基本台帳制度を睥睨すれば、申請者の性善説に基づく「申請(申告)主義」であるので、やろうと思えばいくらでも詐称は可能であるし、転入・転居・転出についてはザル同然である。住民基本台帳に基づいて様々な行政サーヴィスを受けることができるのは事実であるが、それを必要としないのであれば、載せなくすることも前住所地に載せっぱなしにしておくことも難しいことではないのだ。
とはいえ、現在は高齢者を把握しやすい制度が発足している。それも10年も前に。その制度とは介護保険制度である。医療保険制度は、保険証(医療保険資格)さえ持っていればいつでも受診可能であるが、介護保険制度はそうではない。定期的に要介護認定を受けたり、ケアプランを立てるためにケアマネージャがかかわっているし、様々なサーヴィス提供事業者がかかわってくる。もちろん例外はあるだろうが、音信不通とか行方不明扱いとするには、それこそ組織的に悪事を働かない限り困難だと言えよう。
高齢者の介護保険サーヴィス適用率がどの程度なのか知らないが、100歳超ともなれば、おそらく8割程度は適用されていることだろう。いわゆる施設入所者もそれなりにあると思われる。問題は、公的制度を受給していない(敬老金とかいわゆる代理受領可能なものを除く)高齢者のみで、これも全員が該当するというものではない。
以上により、私が大したことではないと思うのは、
- 大半の高齢者は介護保険サーヴィスを受けており、行方不明状態等に置かれていない。
- 高齢者にかかわらず住民基本台帳等に載っていない、実態と合っていない事例はごまんとある。
- 我が国のマスコミ報道の傾向として針小棒大に扱い、熱しやすく冷めやすいという傾向が高い。
- トップニュースを次ぐニュースに大した内容のものがない。
ということからである。
無論、特異な例はある。だが、特異な例は例外であって一般ではない。年金問題等とは制度上の違いも含めて、このような事象が発生するのはやむを得ないものである。これを解決するには、国民一人一人を管理できる体制にしなければならないのは言うまでもないが、こういう動きが出たら出たでまた騒ぎ立てるのがマスコミである。
結局のところ、マッチポンプでマスコミの仕事を減らさないための方便にしか見えないのだ。
私もまったく同感です。一人一人所在確認に回るなど高い給料をもらっている都あるいは市の職員のすることかと思います。よほど暇なのでしょうね。所在あるいは生存を確認する最も確実で費用のかからない方法は年金の支給を止める、あるいは小切手で郵送することです。受け取っている人がいれば必ず本人あるいは後見人から連絡があるはずです。なければ死んでいるか役所のお世話など必要としない人たちです。そのような人はそっとしておいてあげればいいのです。
投稿情報: mafimafi | 2010/08/05 14:30
mafimafi様、コメントありがとうございます。
東京都は、区市町村に正式に調査依頼をしたとのことです。始まりました、無駄遣いが…ってところでしょうか。高齢者が不現住だったとしても住民票を消除できないのは、これが行政サーヴィスの生命線であり、これを行うことは死を意味するから、という意見もわからないではありません。
しかし、さすがに神戸市の例のように125歳まで放置するのは、いかがなものかとも思いますが…。
間違いなく言えることは、騒ぎすぎのマスコミに何でわざわざ行政が動かなきゃならんのだ?ということです。どうせ記者が公務執行妨害同然に、なぜ調べないなぜ調べないと矢の催促をし、あまりにうるさいので仕方なくポーズをとっている。結果として無駄遣いをマスコミが助長している、ということかと。
投稿情報: XWIN II | 2010/08/10 20:07
江戸時代のように大家さんや世話人が無給で役所に代わって通行手形(パスポート)の発給のような行政サービスを行っていた時代に戻りたいものです。政治の基本が道徳であるという信念で先ず湯島に聖堂を作った徳川家康の偉大さが際立ちます。
投稿情報: 木造院電車両マニア | 2010/08/11 13:05
医療保険と介護保険の利用状況のチェック
これを洗い直して年金受給者で利用が全く無いものから生存確認を行うことを予算を増額しても緊急に行うことが不正受給を阻止する最短の道であると思います。また焼き場のデータも行政と共有することで更に事務のスピードアップになると思います。欧米では土葬が主流ですが死亡診断書に葬儀店の署名が求められています。すべてを疑うという文化でしょうが、日本も欧米化していますのでこれも必要かもしれません。最早儒教精神を期待すること自体茶番です。
投稿情報: 木造院電車両マニア | 2010/08/26 19:56