いきなりの追記(2010年6月5日)
この記事で邪推した件は、著者ご本人から否定いただきましたので(コメント欄を参照)、単なる妄想記事となりました。ですが、いきなり削除では経緯が見えないので、当分の間そのまま本記事を残しておきます。
「旧石器捏造事件の研究」(著者:角張淳一、発行:鳥影社)について、以前に当Blogで取り上げたことがあったが、疑問として「なぜこの時期に発刊したのか?」ということを示した。どうやらこの理由が、この本にぶつけてきたのではないかと感じたのでご紹介しよう。
上に示した「講座 日本の考古学 1 旧石器時代 上」(編:稲田孝司, 佐藤宏之、発行:青木書店)である。本書の内容を目次で示すと、
序論
- 旧石器時代の人類史と日本列島(稲田孝司)
- 旧石器時代研究の歴史(佐藤宏之)
第1章 第四紀更新世の自然と人類
- 更新世堆積物とテフラ(早田勉)
- 旧石器時代遺跡の地層学(趙哲済)
- 旧石器時代研究における年代・古環境論(工藤雄一郎)
- 更新世の植生と環境(杉山真二)
- 更新世の哺乳類(河村善也)
- 旧石器時代の動物骨・木の利用(小野昭)
- 旧石器時代遺跡の立地(鈴木忠司)
- 更新世の人類化石(藤田尚)
第2章 旧石器文化の編年と地域性
- 北海道(山原敏朗、寺崎康史)
- 東北地方(渋谷孝雄、石川恵美子)
- 関東地方北部(小菅将夫、西井幸雄)
- 関東地方南部(諏訪間順、野口淳、島立桂)
- 中部地方(中村由克、佐藤雅一)
- 東海・北陸地方(池谷信之、冨樫孝志、麻柄一志)
- 近畿地方(佐藤良二、絹川一徳)
- 中国・四国地方(藤野次史、多田仁)
- 九州地方(萩原博文、木崎康弘)
以上のように、多くの著者によって構成されている大著であることがわかる。が、「旧石器捏造事件の研究」にどちらかと言えば捏造に荷担したように描かれている人が本書に加わっていることで、おそらく「禊ぎは済んだ」的に考古学を捏造事件前に戻そう、あるいは「もう過ぎ去ったことだ。みんな忘れた頃だろう」的にすっとぼけて、日本の考古学なるシリーズを厚顔無恥に出してきたことに対し、角張淳一氏が何の反省も見られない関係者等に対して周囲に警鐘を鳴らしたのが、「旧石器捏造事件の研究」の出版行為ではないかと思ったわけである。
「講座 日本の考古学 1 旧石器時代 上」が出たのが今年4月、「旧石器捏造事件の研究」が出たのがその翌月。となれば、このタイミングで計って出してきたとしか、私には思えないのだ。しかも、「講座 日本の考古学 1 旧石器時代 上」の出版にはかなりの長い時間を要したとのことなので、満を持してタイミングを合わせてきたと言っても過言ではないだろう、と。
とはいいつつ、私自身は考古学の世界とはまったく無縁であるので、あくまで推測でしかない。ただ、もしも当たっていたとするなら、日本の考古学の学者世界というのもずいぶんとまぁ貧相な世界なのだと感じてしまう。狭い世界に閉じこもっているのであれば、それもまた自明であるわけだが。
拙著は2007年2月に発刊予定でしたが、出版社が潰れてしまいました。その後、金銭的に出版できる状態になく、今年の2月に出版を決意し、ようやく出版となりました。
小生は、『日本の考古学講座』刊行のことは全くしりませんでしたので、貴兄の言われるようなことはありません。全くの偶然です。
投稿情報: 角張淳一 | 2010/06/05 17:09
角張淳一様、コメント&ご指摘感謝申し上げます。
本当なら2007年2月の予定だった、ということで私の読後感としても「なるほど」と納得できました。なお、ここで申し上げるとついでのように見えてしまいますが、久しぶりに面白い本に出会えたことに対してありがたく思っています。
投稿情報: XWIN II | 2010/06/06 08:42