13.1インチでFull HDの快適さを一言で言うなら、それは高精細であると言うこと。単に高精細であると言うだけなら、携帯電話等の液晶ディスプレイの方が3インチクラスでVGA以上であれば高精細である。しかし、それに加えて実ピクセル(ドット)の多さとパネル自体の発色(ソフトウェアレベルでの調整も大きいが、それを実現できるのはハードウェアあってこそ)もよいので、昨日の今日でこのFull HDパネルに惚れ込んでしまった。さようなら、旧VAIO (type) Zである(苦笑)。もっとも、明るさという点だけはTFTを実現するトランジスタ搭載量がFull HDパネルの方が多いことから、旧VAIO Zと比べてやや暗めであることは否めない。ただ、これも発色の良さと目の慣れの問題であることもあって、私にとっては気にならないレベルである。
さて、今回は新VAIO Z(2010年春モデル、VPCZ1)に搭載されているマイクロプロセッサ(CPU)であるCore i7 Mobileについて見ていこう。言うまでもなく、Core iシリーズはCoreマイクロアーキテクチャを次ぐ、Intel社のNehalemアーキテクチャを搭載したもので、必死に以前と比べて消費電力性能が優れていることを喧伝している。この必死さ具合から、確実に消費電力は最高TDPは同等でも、実際にはトータルとして(瞬発的に)高くなっていることが予想できていた。実際、モバイルとして45nmプロセスのものはハイエンドだけに固定され、32nmプロセスになってようやく一般向けに出てきたことからも明らかだろう。
さて、前振りはこのくらいにして、まずはIntel社純正の「インテルプロセッサー識別ユーティリティー」を使って確認しよう。
字がつぶれて見えないが、これ無意味に横900ドット以上もあるので、全体を俯瞰するための配慮である。以下、個別に部分表示させていく。
既に、Windows 7からの報告から改めて純正ツールで確認するまでもないが、この純正ツールの利点は「報告値」とある部分である。Core i7はTurbo Boost機能を持っているので、定格コアクロック以上に動作することができる。この仕掛け自体はCore2シリーズからも搭載されていたが、なかなか効果的に機能を発揮することはほとんどなく、あっても数パーセント上がればましだった。が、しかし。いきなり3.05GHzとの報告。特に重い処理をしているわけではないからか、瞬間速度に反応しやすいのかはわからないが、いきなりTurbo Boost状態とは恐れ入った(笑)。
「CPUテクノロジー」の項。全部「有」となっている。細かいことだが、SSE4とひとまとめにされていることが手抜きっぽいか。
「CPUID」の項。Nehalemアーキテクチャと言いつつも、世代(Family)は6のまま。P6→Banias→Coreの系譜を受け継いでいる。余談だが、次のSandy Bridgeはこれがいくつになるのか注目している。というのは、NetBurstマイクロアーキテクチャを搭載したプロセッサの世代は「F」、つまり最後(CPUIDのFamilyは0x0h~0xFhしか付けられない)の数字だった。なぜ6の次の7でなかったのかと言えば、NetBurstマイクロアーキテクチャの最初のプロセッサであるPentium 4の前に第7世代と呼ばれたプロセッサがあったことを思い出せば十分だろう。そう、Merced(初代Itanium)である。
当時、Intel社はP6(第6世代)はPentium IIIで終了(おそらく本当はPentium IIで終わるつもりだったが、対AMD社戦でIIIの必要性を感じたからだろう)し、次はIA-32でなくIA-64のMercedが第7世代として登場し、IA-64への移行戦略を採っていた。しかし、Merced自身の遅れや手強いAMD社との戦いから、急遽NetBurstマイクロアーキテクチャの市場投入を決め、これをIA-32の最終として世代を最終「F」世代(10進数で言えば第15世代)とした。
だが現実は、NetBurstマイクロアーキテクチャは物理法則から拒絶され、MercedことItaniumのIA-64はほとんど普及せず、64-bitはAMD社が提唱したAMD64がデファクトスタンダードとなって、Intel社もほぼそっくりなIntel64(当初はEM64T)を採用せざるを得なかった。しかし、Intel社はIntel Israelの投入したBanias(Pentium M)によって数多のライバルを打ち負かし、ついにはブランド名までCoreに変え、Intelプロセッサの主力となった。BaniasはP6の改良版なのでCPUIDのFamilyは6のまま。それがこのCore i7まで継承され今日に至っている、というわけである。
さて、横道に逸れるのはこのくらいにして、表示されている情報を眺めれば、これもCore i7-620Mのスペックどおり。
では引き続き、CPU-Z(バージョン1.53.1)での情報を確認しよう。
理由は不明だが、「Selection」とある部分でプロセッサコアの選択ができないようになっている。また、「Core Speed」を確認すると1.33GHzとあるので、今度はTurbo BoostでなくEnhanced SpeedStepが働いていることがわかる。そして、今更でどうでもいいような話だが、プロセッサ内部に記録されている文字列が「@ 2.67GHz」とあるのが、往年のIntel社と違う、変わったという印象を持った。というのは、Intel社のコアクロック表記は原則切捨てであって、唯一の例外は縁起の悪い「6」という数字が3つ以上重なるときだけ、最後の「6」を「7」とする(例えば、666.666…という場合、通常ルールなら666とするが縁起が悪いので667とする)ものだった。GHz単位でなくMHz単位で表記すれば定格は2666.666…MHzとなるので、2666MHzでなく2667MHzとするのはわかるが、GHz表記(小数点以下第2位まで)なら2.66GHzとなるべきなのに2.67GHzとなっている。どうでもいいことかもしれないが、こういうところに「思惑」が潜んでいるのかな…と。
といったところで、今回はここまで。
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