昨日(現地時間17日)、Intel社はマイクロプロセッサブランド名を整理すると発表し、Centrinoブランドは
「With this focus on Intel Core, the Centrino processor technology brand will be retired for PCs beginning next year. However, Centrino has tremendous equity as a wireless technology, so we will transition the name to our Wi-Fi and WiMAX products beginning in 2010. 」
(「Intel's New Brand Structure Explained」Technology@Intel より引用。)
ということで、プラットホームブランドからWi-FiやWiMAXへと変更になるという。Centrinoブランドが登場したのは2003年と6年前のこととなるが、Centrino 2が登場してからは1年を経ていない。こうしたところからして、Centrinoブランドの存在意義自体がなくなりつつあると思っていたが、やはりそういう流れとなったようだ。
Centrinoブランド(以下、Centrino 2も含む)は、今日の視点で言えば、Mobile PCに与えられるいわゆるプラットホームブランドとされているが、そもそもこのようなブランドを登場させなければならなくなったのには、2003年当時のことを思い起こせばすぐにピンと来る。それは、コードネームBaniasことPentium Mの登場であった。
Pentium Mは、現在の最新プロセッサCore i7の直接の先祖ともいえるCoreマイクロアーキテクチャのさらに先祖にあたるBaniasアーキテクチャを持つが、要はP6マイクロアーキテクチャをMobile向けに改良した結果、電力効率のよいマイクロプロセッサが誕生し、当時の主流だった電力大食いのPentium 4よりも優れた能力を発揮するものとなった。当時は、クロック至上主義ともいうべき時代であり、高い動作クロックの方が性能が高いということが当たり前だと一般的に流布されていた。しかし、Baniasは低い動作クロックでもPentium 4を凌駕する性能を持ってしまったので、これをそのまま出してしまったのではPentium 4の市場を侵食してしまうことになる。これを怖れた結果、BaniasのプロセッサブランドはPentium Mとされたが、ロゴは地味なものが採用され、一方でマイクロプロセッサ単体をアピールするのではなく、Pentium Mは構成部品の一つに過ぎないと位置づけたCentrinoブランドを用意し、Pentium MはMobile専用でCentrinoを構成する他のチップと密接不可分なものとされた。つまり、直接Pentium 4と競合しないようにし、動作クロック数も表立って見えないようにしたのである。それがCentrinoブランドの本来の役割だったのだ。
しかし、Intel社の考えている以上にCentrinoブランドは大成功をおさめ、Mobile出身のCore 2が市場を席巻するようになってもそのまま採用され続けた。そしてようやく今、クロック至上主義もはるか昔に終焉となり、動作クロック数比較はコアアーキテクチャにほとんど変わりがなくなったこともあって、そのまま性能指標に戻りつつある。そうなれば、マイクロプロセッサを目立たせないプラットホームブランドなど必要がなくなるのは自明というものだろう。
Centrinoブランドの役割が変わるということで、そんなことをちょっと考えてしまったとさ。
何時も読ませて頂いています。Centrino の黎明期?に Z1/P を購入、現在も iMac の脇で、現役 windows マシンとして使用しているユーザーとしてはちょっと寂しいものがあります。Centrino ブランドについては、CPU (clock)だけが命ではなく、チップセットや周辺デバイスなどを含めた CPU システムが大事とのメッセージだと受け取っていましたが、最近の core 2, core 4, core 8, ... という流れはなんとなく CPU 命に戻ったような気もしています。
投稿情報: Josef | 2009/06/19 09:49
Josef 様、コメントありがとうございます。
私もZ1/P持っていますが、残念ながら現役マシンではありません。しかし、予備役に入っていますので、月に一度は電源を入れ、アップデート等は行っています。XPマシンですので、まだまだ十分現役で使えますよね。
プラットホームブランド戦略は、きっかけはともかく、抱き合わせ販売的な要素が強いので、その昔はAMD社が独禁法がらみの批判を展開していましたが、今では優れたGPUを持ったAMD社の方がプラットホームとしてはIntel社単独よりも上なので、そこを攻め込むことはできずにプロセッサ命となっているのでしょう。それ以前に、旧Pentium 4チームがCore i7担当ということが一番大きな理由かと思っていますが(苦笑)。
投稿情報: XWIN II | 2009/06/19 12:16